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僕を取り巻く感情  作者: ちぃたろ
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四十九話 ラーニンは悩んでいます

 「ん?何が違うんだ?俺だって、この喋り方以外でも喋れるんだぜ?でも疲れるからこのままにしてるだけだ」

 「え⁉そ、そうなんですか?」


皆、目を丸めています。


 「設定はされてるみてぇだな。でも無理してそれを使う事ねぇかなぁって。だからラーニンも無理してどうこうする必要ねぇって思うぜ」

 「あ……ありがとうございます」

 「いいって事よ!」


ラデスは得意げな表情をしました。


 「その、他に設定されている喋り方というのも聞いてみたいですね」

 「そうですね。何か話してみてください」

 「無茶ぶりすんなよなー!」

 「ぼ……僕も……興味があります」


皆、ラデスに注目しています。


 「仕方ねぇな……俺はラデスですだ!これからもよろしくお願いしますだ!」

 「だ?」

 「……だ?」

 「何かおかしいですだ?」

 「そ……その喋り方は、どのような趣旨で設定されたのでしょうか……敬語を話そうとすると誤作動が起きてしまうのでしょうか」

 「だから俺はこっちでいいってーの!ラーニンも無理に話そうって思えば思う程、誤作動が起きちゃうんじゃねぇーの?」

 「そ……うですね。何だか……き、気持ちが…楽になりました。い……今まで、いつも喋り方をからかわれて……でもっ、夢中になってる時はそんな事、忘れて喋る事が出来るんです。だから……ほ、他の人となるべく会話をしないようにして……指摘されても……ぼ、僕は自分から逃げて……。でもっ、す……少なくとも……僕が信頼している人の前では……詰まる事なく……話せるように……なりたいです」


ラーニンはそう言うと少しだけ顔を上げ、照れたように笑いました。


 「俺に出来る事があったら何でも言ってくれよな!」

 「そうですね。私達もサポートさせていただきます」


ラデスは無邪気な笑顔を向け、メノルは優しい表情で微笑み、ラーニンの肩に手を置いています。


 「お話中、申し訳ありません。そろそろ夜明けが近いです。お話の続きは馬車の中で。国民に気付かれないように森を抜け、宮殿へ向かいましょう」

 「分かりました」

 「いよいよ、俺壊されんのかぁ……」

 「まだ決まったわけではありませんから」


僕達は馬車に乗り込み、マヨルがジュディに跨りました。


 「ちゃんと樽も乗っけてんのな‼」

 「当たり前です」


ラデスとメノルはすっかり仲良くなったように見えます。


 「そうそう、それはそうとラーニンの続き話そうぜ!」

 「ラ…ラデスが……う、羨ましいです……」

 「前向き思考と言いますか、能天気と言いますか……」

 「へへっ!あんま褒めんなよ!んで、何から話せば解決すんだ?」


 以前、マヨルとメノルが人間も誤作動を起こすと話していた事があります。

ラーニンの誤作動の原因は何でしょうか。

僕の場合は『大切な人』の事で誤作動が起こると言われています。


 「解決するには根源を整理する事だと判断します。原因を突き止める事が解決の糸口となるでしょう」

 「ラーニンには心当たりあんのか?」


少し間を持った後にラーニンは答えました。


 「ない……ですね」

 「無いのかよー」

 「メノルは何かご存知でしょうか?」


メノルも少し間を空けてから口を開きます。


 「原因は私にも分かりません。私はラーニンと幼少期から宮殿で共に過ごしていましたが、昔は好奇心旺盛でいつもはしゃいでいる子供でした。しかし、物心ついた頃からオドオドとするようになりました」

 「昔のラーニンはアイヴァンのような子供だったと推測します」

 「そうかもしれません。活発な頃のラーニンには友達がたくさん居ました。宮殿従者の子供達は宮殿の敷地内で生活を送る為、自ずと一緒に居る事は多かったです」

 「ぼ、僕に友達なんて……い…いませんよ」

 「私達三人はエリートコースと周りに言われていましたから、私達の事を良く思っていない子も確かに居ました」

 「エリートコースって何だ?」

 「私と兄さんは執事の家系で、ラーニンは研究所長の家系です。努力せずとも、その地位に就けると言われていました。しかし、そんな甘い世界ではありません。私と兄さんも幼少期から作法・武術・勉学・経営学などあらゆる事を学んできましたし、ラーニンは更に専門的な勉学をしてきたと思います」

 「……ま、周りは好き勝手……い…言います」

 「今ではラーニンに先を越され、私達は未だ執事見習いですが、ラーニンはすでに所長です」

 「努力を踏みにじられるような出来事があったのでしょうか?」

 「あ、あまり……小さい頃の記憶が……ありません。ぼ…僕は……け、研究所に…居る事が多かったです……」

 「そうですね。ラーニンはちょうどアイヴァンと同じくらいの歳の頃からオドオドとするようになり、いつしか学校にあまり来なくなりました」

 「アイヴァンも先日、ラーラおばあちゃんの事があり、学校に行きませんでした」

 「その時、ラーニンがアイヴァンに学校には行った方がいいと言った時には驚きました」

 「ぼ…僕はきっと……そのまま…行けなくなったんだと……お、思うんです。だ、だから……そ…そうなってほしくなくて……」

 「キョウクン?ってやつだな!」

 「そうなんでしょうね」

 「思春期が関係しているという事でしょうか?」

 「うーん……」


ラーニンは首を傾げています。


 「私も詳しい事は分かりません。今でも色々と言われますから、当時も何か酷い事を言われたのかもしれませんし、双子である私達よりも荷が重い事もたくさんあったと思います」

 「ラーニンにも記録があればいいのになぁ~!」

 「そ…そうですね。そ、そうすれば……原因が分かるかも……しれません」

 「級友に聞いてみるというのも一つの手ではありますが、ラーニンは研究所の人以外とは関わらないので、やはり何か嫌な思い出があるのでしょう」


ラーニンは唇を噛みしめて俯きました。

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