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僕を取り巻く感情  作者: ちぃたろ
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四十四話 検査と修理が始まります

 「ですから、それも国王の決定次第です……ですが、事が大きいのでその可能性もあります」

 「六十年ぶりにやっと兄ちゃんに会えたのにこんな形になってごめん」


弟だと名乗る見ず知らずの少年に謝罪され、僕は何と声をかける事が正解なのでしょうか。

ですが、声を発する間もなくラデスが声を上げました。


 「壊されたとしてもそれは仕方ねぇ!受け入れる!でも二度とこんな事しねぇ!……あのカンセンって奴になると厳しいかもしれねぇけど……自分の意思では絶対にしないぜ!」

 「勝手ではありますが、ゼロワンのウイルス防除をラデスにも構築しました。ほぼ全ての機械ウイルスからプログラム及びシステムを守る事が出来ます。感染によってこのような事が起こる可能性は極めて低いでしょう」

 「そうなのか!ありがとな、ラーニン!」

 「いえ。もし、事態を起こす事があればラデスに水をかける……もしくは、高圧電流を流す事もこの蓄電池があれば可能です」

 「そっか。よかった!俺がもしまた暴走した時は思う存分やってくれ!」


ニカッと笑うラデスを見て、ラーニンもマヨルも少し切ない表情をしていると推測します。

僕には何故だか分かりません。


 「次はゼロワンの検査をしましょう」

 「はい」


 台に寝そべるラデスが起き上がると、入れ替わって今度は僕がそこへ横たわります。

僕の身体にいつものように線を繋ぎ、しばらくするとラーニンが話し始めました。


 「……内部は異常なしです。しかし、外部の窪みの補修は難しいですね。内側からかなりの圧力をかけないと戻らないでしょう」

 「研究所に戻れば直せるんですか?」

 「いえ、今の所この強化プレートを直せるものはないですね」


しばらく静まり返った後、僕は最善策が提案をしてみます。

 

 「僕が自分で叩いたら直りますか?」

 「やってみる価値はあります」


 僕は言われた通りに窪みの裏から叩きました。

しかし、先程と変わらない窪みのままです。


 「ゼロワンの腕力でも難しいようですね」


すると、それまで静かにしていたラデスがモジモジと体を動かし、痺れを切らしたように口を開きます。


 「……あのさ!俺が殴ればいいんじゃねーの?」

 「そうですね。同じ強さの衝撃であれば直る可能性はありますね」

 「こ!これは攻撃じゃねーぞ!直す為だからな!」

 「分かっていますよ」


ラデスは拳を握りしめ僕の窪みを裏から叩くとボコッという音が部屋に響き渡りました。


 「おぉぉ~成功ですね。やはり拳の強化がされているラデスの方がより力がありますね」

 「ラデス、ありがとうございます」

 「俺がやっちゃった事だから……直ってよかったぜ」


照れたような表情をしているラデスが頭を掻いています。


 「それと……ゼロワンに記録されている情報で、ゼロワンが聞き取れなかった部分がありました。ラデスは何と言っていたんですか?」

 「それは兄ちゃんって言ったんだ」

 「なるほど……」

 「あれは兄ちゃんと言っていたんですね」

 「最後、ゼロワンに願望が発生している記録があります。その際、ゼロワンのハロウが強烈な発光をしていました。現在は消失していますが、未確認のシステムが自己構築されていた形跡があります。そのシステムによってゼロワンの体内に流れる電流が集結し、体外へ放出したようです」

 「僕の中でそのような事が起きていたのですね」

 「そんな事が出来るんですか!ゼロワンにはまだまだ解明されていない部分がたくさんありますね」

 「今後しばらくはこのメカニズムの解明に時間を費やす事になりそうです。以上で検査は終わりです。お二人は身体の汚れを落としましょう」


 皆で井戸の所へ行き、僕は桶を使って汚れを流しました。

ラデスはタオルを絞って自分の身体を拭き始めます。


 「ラデスの加工は水耐性がないから洗い流す事が出来ないんですね。その分、防汚加工で汚れにくくし、払うだけでも落としやすくなっている……アスラは雨も降らず水資源がないから少量の水で済むように撥水と防汚の加工なのか……」


ラーニンはその後もブツブツと呟きながら解析を続けていました。

それからマヨルは、庭の少し離れた所で連絡をとっています。


 「……はい。侵入者はそういった事情があったと説明しています。はい、分かりました。それでは失礼致します」


遠隔通信機での会話が終わるとこちらへ戻ってきました。


 「明日の早朝、混乱を防ぐため国民がまだ寝静まっている時間にゼロワンやラーニンと共に、万全の措置をとった上で宮殿へラデスを連れてくるようにとの事です。ゼロワンは私と共に夜明けまでラデスの見張りを行いましょう」

 「分かりました。お二人はお疲れだと推測します。僕がラデスを見ていますからマヨルも休んでください」

 「そ……そう……ですね…きゅ…急にどっと疲れが……」

 「ラーニン!……ふぅ……」


 ふらつくラーニンをマヨルが抱えると、大きく息を吐き、遠慮がちに言いました。


 「すみません。お言葉に甘えて、私も少しお休みを頂きます。ラデス、これ以上の悪事は許しません。ゼロワン一人にお任せするなど心苦しいですが……しばしの間、よろしくお願いします」

 「何もしねーっての!」


マヨルはラーニンを抱えると家の中に入り、僕はラデスと街を見下ろしました。

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