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僕を取り巻く感情  作者: ちぃたろ
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四十三話 事件の詳細を知りました

 「あんたすっげーな!」

 「あ、はは……ありがとうございます。僕はラーニンといいます。何だか調子が狂いますね」

 「ラーニン!研究者?」

 「はい、そうです」

 「今、アスラには研究者が居ねぇんだよ」

 「そうなんですか⁉」

 「特に研究するものもないからな~」

 「ラデスはアスラに引き取られたロボットだったんですね」

 「そうだぜ!俺は鉱山の男だ!」


 ラデスは先程から片方の口角を上げて、歯を見せた笑い方をしています。


 「ゼロワンとの違いが多くありすぎて戸惑いますね。ラデスの方がより人間に近い感じがします。少年…青年…といいますか」

 「そうか?俺は十六歳くらいの見た目らしいぞ。自分が人間かロボットかなんて考えた事ねぇな~」


またラデスは笑って言いました。


 「顔の可動域もゼロワンより少し大きいようですね。ゼロワンは表情の変化がほとんどないので…」

 「まぁ、俺もこれくらいしかねぇけどな」


ラデスはニカッと歯を見せた笑顔と、眉を上げて目つきをキリっとさせた戦闘中の表情、眉を下げて少し悲しげな表情、そして真顔と様々な表情見せています。


 「表情は多い方だと思います。ゼロワンも凄いけど、ラデスはラデスで、また違った性能があるんですね。他のお二人はどのような性能なんですか?」

 「知らねぇ~闘争のラデスみたいに何か付いてると思うけど、分かんない。でも兄ちゃんは兄弟で一番性能が良いっぽい…多分…。マリンメイはよくおもちゃ作って遊んでた……ような気がするような気が~~~忘れたぁぁ」

 「皆、それぞれ何歳くらいの見た目で、どこの国に引き取られたんでしょうか?」

 「マリンメイは五歳くらいだったか?ディアクアに引き取られて、メアベールは二十五歳くらい?多分!んで、クアンベリだ」

 「なるほど…四国分断後、会った事はありますか?」

 「ねぇな~元気してっかなぁ~」


そう言って、ラデスはまた笑いました。

その様子を見ていたマヨルが我慢ならないと言った様子で少し声を荒げます。


 「君はウッドフォレスに侵入し、街を破壊しました。どうしてそのように笑っていられるのですか?」

 「あ…そうだった。その事は本当に悪い事したと思ってるんだぜ。でも…俺だってしたくてしたわけじゃねぇんだ……だって人に危害を加えちゃいけないって俺教わったし!」

 「ウイルスに感染していたから、自分の意思ではないと言いたいのは分かります。しかし、やった事はとても罪深い事です。ラーニンとの会話の最中に申し訳ありませんが、私からも国の従士として彼に質問があります。何故このような事になったのですか?」


ラデスは一呼吸おいてから話始めました。


 「アスラは鉱山地域で、石しか採れねぇ…雨も降らなきゃ川もねぇし、作物も育たねぇ…だから国の男みんな採掘と運搬を仕事にして、女子供はみんなで料理を作るんだ。国民みんな家族みたいな感じで暮らしてる。四国分断してからは、隣のルワゴマタ王国から生活に必要なものを鉱石と交換して生活してきた。高価らしい石も山ほどあるんだぜ。でもルワゴマタ王国は天候のせいでこの一年は何も交換できないって言ってきたんだって。他の国も同じ。自分の国で精一杯だって。今ある残りの分じゃ一ヶ月も…」

 「アスラは水食料に恵まれず、アスラから鉱石を納める事でウッドフォレスから水食料を納めていたと学校で習いました。そのおかげで、ウッドフォレスには木工製品だけでなく、鉄製品や武器、防具、装飾品にも力を入れる事が出来、僕の製作する機械の材料等ありとあらゆるものに今でも使用されています」

 「ラーニンの言うようにアスラの鉱石はウッドフォレスに馴染み深いものですね。そんな窮地の状況で、何故ウッドフォレスに相談や交渉ではなく、襲撃という方法を選んだのですか?」

 「国王様は『今更交渉を持ちかけるわけにはいかない』って。そんな時、アグゼストって奴が現れて……ウッドフォレスに頭を下げなくたって、手に入れちゃえばいいんだって。そしたらアスラはミライ…ミラエイ?…ゴウアンタイ…?になるって言ったんだ」

 「未来永劫安泰ですね」

 「それだ!やっぱり兄ちゃんはあったまいいな!」


 僕は頭が良いのではなく……そう言おうとしましたが、今はそのようなやりとりをする時間ではないと判断します。


 「アグゼスト……初めて聞く名前ですね。どこの国の方でしょうか」

 「僕も聞いた事のない名前です」

 「得体の知れない奴。俺も初めて会った。そんな初めて会った奴に国王様は……」

 「それでアスラの国王様はアグゼストという人物の話に乗ってしまったのですか」

 「そっ……『国を守る為のラデス、今こそその時!国を守る為にウッドフォレスを攻撃しろ!』って……いくら国王様の命令でも俺は嫌だって言ったんだ!守るってそっちじゃねぇーだろ‼って」

 「そうですね。様々な解釈がある言葉ではありますが、私はラデスと同じ考えです」

 「そうだろ⁉俺は人に危害を加えてはいけないって言われてるし、こっちから攻撃出来ないって言ったんだよ!……そしたら、あのアグゼストが……俺に何かして……身体が動かなくなった」

 「その時に感染させられたのかもしれません。アグゼストがどのような人物で、どのような方法で感染させたのか辿ってみましたが、情報は消去されていました」

 「ラデスの攻撃が強くなった時に『国王様の命令』という声が遠くから聞こえました。あの声の主がアグゼストだったのですか?」

 「うん、そいつがアグゼスト。俺がそのカンセン?を跳ねのけようとすると、あいつの声が頭ん中に響いて、自分が自分じゃなくなる」

 「なるほど。証拠不十分ではありますが、今回のウッドフォレス襲撃事件の発端はアスラ飢餓による主犯アスラ国王とアグゼストの共犯により起きた騒動という事で報告致します。ウッドフォレスの国王より、決定が下されるまで我々の監視下において拘束させていただきます」

 「分かった!本当にごめんなさい……ウッドフォレスのみんなに怪我させちまったし、建物も……俺……直すから!一緒に直す!」

 「今は状況把握出来ていませんが、怪我人だけでなく……考えたくはないですが、死者も……可能性はあります。あなたは加減したかもしれませんが、相手は人間です。それも国王の決……」


 マヨルが言い終わる前にラデスは口を開きました。


 「俺……壊されるの?」

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