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僕を取り巻く感情  作者: ちぃたろ
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二十四話 話し合いをしました

 「僕の充電は学校やお仕事に行っている日中に行えば問題ないと推測します」

 「そうですか…ですが、休日は充電が出来ないですね」


 僕の推測は間違えていたようです。

休日の事を含めていませんでした。

僕はシステムを辿り、マヨルとメノルは頭を悩ませています。


 「提案なのですが、子供達も多く出入りするようになりましたし、蓄電池の部屋に鍵をかけてはいかがでしょうか?」

 「それは名案ですね。あの莫大な量の蓄電池を見たら子供達も驚いてしまうと思いますし、いつ誰が扉を開けるか分かりませんからね」

 「分かりました。では、書物に書いてあったやり方で、鍵穴を作り、その穴の形に合わせた鍵を作ります。念の為、二つ用意しますので、一つはマヨルとメノルのどちらかが持っている事にしましょう」


マヨルとメノルは胸を撫で下ろしました。


 「これで充電の問題は解決しましたね」

 「しかし、飲食物を摂らない事はいずれ気付かれてしまうように思います。どのように説明しましょうか?」

 「アイヴァンと一緒に食事をする際、ゼロワンが何も食べていない事に疑問がないようでしたね」

 「アイヴァンは僕がロボットだと気付いています」

 「それは…本当ですか?」


マヨルとメノルが驚いています。


 「はい。以前、アイヴァンがラーニンに聞いていました。ラーニンは答えませんでしたが、アイヴァンは僕がロボットであろうと友達だと言っていました」

 「それで、食事を摂らないゼロワンを疑問視していなかったのですね」

 「そう推測します」

 「問題はレミーナですね」

 「レミーナが気付いている可能性は低いように思います」

 「蓄電池の部屋をゼロワンの自室として、自室で食事をしているという事にしましょうか」

 「無理矢理ではありますが、そのくらいしか思いつきませんね」

 「僕は嘘が下手なようなので、知られてしまった時はごめんなさい」

 「その時は、口外しないようお願いするほかないです」

 「女性が一人というのも今になって問題があるように思えてきました」

 「私達は命を賭けて安全だと言い切れますが、世間の目というものがあります」

 「アイヴァンの安全確保の為ですから致し方ないと僕は判断します」

 「それに、国王様へのご確認もしておりませんでした」

 「気持ちばかり先走ってしまい、何という失態を侵してしまったのでしょう」


マヨルとメノルの顔色はみるみるうちに青ざめていきました。


 「明日の早朝に宮殿へ向かいます。そして、国王様にお許しをいただいてから、アイヴァンのお家へ向かう事にします」

 「分かりました。では、僕はアイヴァンのお家へ先に行って事情を話し、引っ越しの準備や買い物を済ませておきます」

 「よろしくお願します」

 「国王様のお人柄であれば、子供を夜間一人にしておくよりも良いと仰っていただけるはずです…アイヴァンの事は国王様もご存じですから、許して頂ける事を願うばかりです」


その後、いくつかの話し合いが終わり、マヨルとメノルは床に就きました。

ただただ書物を読む毎日だった日々が、ますます大きく変わっていく事に、僕は戸惑いも喜びも驚きもありません。

しかし、アイヴァンと出会ってからの僕の記録は確実に増え、様々な人々の〝心〟〝感情〟を身近で学ぶ事が出来たのは確かです。

僕は蓄電池の部屋で充電を開始し、目を閉じました。

 翌朝、充電が終わり、蓄電池の部屋から出ると、すでにマヨルとラーニンの姿がありません。


 「おはようございます」

 「メノル、おはようございます」

 「マヨルとラーニンは早朝に宮殿へと出発しました」

 「ラーニンもですか?」

 「はい。ラーニンも国王様へ報告等があるそうです」

 「では、メノルの朝食をお作りします」

 「いつもありがとうございます」


僕が朝食を作っているとメノルはキッチンの椅子にずっと座っています。


 「ゼロワンの料理はシェフのように美味しいです。勉強も出来るし、教えるのも上手ですし、とても優しいです。欠点はあるのですか?」

 「以前もお伝えしましたが、僕はロボットですから、レシピを再現する事や書物を記録する事、そして子供達それぞれ伝え方を分析し、その子に合った対応が出来ます。欠点といえば、相手の心が読めない事や感情が机上の空論でしかない事でしょう。その感情について解説は出来ますが、それぞれの感情の出方には人それぞれ個性があるので、難しい事も多いです。それと、実体験がないので共有が出来ません。共に悲しみ共に喜ぶという事が出来ません。そして、僕に優しさもありません。システムが最善策を提案しているに過ぎないのです」

 「分かってはいるのですが…それが優しさなのではないかと思うのです。私達人間にも色々な人間が居ます。この国にも悪事を働く者も居れば騙されてしまう心優しい人も居て、疑い深い人も居れば考え無しに行動してしまう人も居ます。ゼロワンの最善策はいつも私達人間にとって優しい提案なのです。ロボットであっても優しくない提案をするロボットも居るのではないか?と考える事があります」

 「どうでしょうか?僕は他のロボットといえば宮殿のロボットしか知りませんが、そのロボット達は優しくない提案をするのでしょうか?」

 「宮殿のロボットは同一動作しか行わないので提案をする事はありません。ゼロワンと共に作られたとされるロボット達もゼロワンのように人間にとって優しいと思われるロボットなのでしょうか?」

 「僕にその時の記録が残されていれば参考になったかもしれませんが、メノルが言うように僕が優しいロボットなのだとすれば人間同様、優しくないロボットも存在する可能性はあります」

 「高性能ロボットで尚且つ優しくないロボットとなると末恐ろしいです」

 「そうですね。あと僕には言葉のニュアンスの違いも理解が難しい事がありましたね」

 「そうでした。それでも私は、ゼロワンが欠点のない優しくて親切な男性にしか見えないのです」

 「ありがとうございます。朝食が出来ました。僕は洗濯を終えたら鍵を作り、アイヴァンのお家へ行きます」

 「それでは私も一緒に行きます。家に一人で居ても手持無沙汰ですし、人手は多い方が良いでしょう」

 「ありがとうございます」

 「鍵に関してもお手伝い出来る事があればお声掛け下さい。いただきます」

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