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僕を取り巻く感情  作者: ちぃたろ
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二十話 写真を見つけました

僕が書庫の扉の前で、飲み物を持っていく機会を見計らっていると、マヨルとメノルがジェディの野菜を玄関まで取りに来ました。


 「ジェディ喜んでるね、兄さん」

 「そうだね。でも野菜が無くなってしまうね」

 「庭の草を食べさせたらどうだろうか」

 「ゼロワンに相談してみよう」

 「ゼロワン、庭の草をジェディに食べさせても良いですか?」

 「はい、どうぞ」

 「ありがとうございます」

 「よかったね、兄さん」

 「私達よりも食費がかかる所だったね」


そう言うと、マヨルとメノルはジェディを誘導して庭の草を食べさせ始めました。

草刈りや草むしりの手間が省けます。

そして僕は、いつまで書庫の扉の前に居るのでしょうか。

そろそろ入ってみる事にしました。


 「飲み物を持ってきました」

 「あ…ありがと…う…ございます…」

 「ありがとう!」


二人は何事もなかったように本を読みふけっています。

僕も先程聞いた事は聞かなかった事にして、書庫を後にしました。


 「ゼロワン、また小さなお友達が来ています」


メノルが玄関先から僕に声をかけます。


 「誰でしょう?」


アイヴァンのお友達でしょうか。

僕は庭先に出ていくと、そこにはモジモジと俯いているアイヴァンと同じ歳くらいの女の子が居ました。


 「マリル、こんにちは」

 「こんにちは…アイヴァンのお家に行ったら…おばあちゃんに朝早くママと出かけたって聞いて…動物病院に行ったら…ゼロワンの家じゃないかって…」

 「はい、来ていますよ」

 「初めて…一人で来たから…ちょっと怖かった…」

 「家の中へどうぞ。今、クッキーを焼いています」

 「やったぁ…ゼロワンのクッキー大好き…」


僕がマリルと会話をしている間、マヨルとメノルは聞こえないような小さな声で話をしていました。

それからマヨルがマリルに話しかけます。


 「マリル、ひとつ聞きたい事があります」

 「なーに…?わ…顔、同じだぁ…」

 「私達は双子です」

 「マリルのお母さんは何というお名前ですか?」

 「メリル…名前凄く似てるの…」

 「メリル…」

 「やはり…」

 「メリルは元気ですか?」

 「うん…ママの知り合い…?」

 「私はマヨル」

 「私はメノル」

 「わぁ…みんな名前そっくり」

 「メリルは私達の姉です」

 「私達は代々、国王様に仕えていますが、姉さんは街へ嫁ぎました」

 「なかなか会いに行く事も出来ず、マリルにお会い出来たのは生まれた時以来です」

 「わぁ…ママの弟なんだ」

 「はい、私達はここにしばらく滞在するので、メリルにも会える日が来る事を楽しみにしています」

 「ママにお伝えいただけたら嬉しいです」

 「うん、分かったぁ」


世の中は狭いと書物で読んだ事がありますが、こうして人々は繋がっているのだと知る事が出来ました。


 「クッキーが焼きあがる時間です」

 「良い匂いがしますね」

 「皆さんで休憩にしましょう」


 ラーニンとアイヴァンも本を置いて、キッチンの椅子に座りました。


 「何でマリルが…」

 「おばあちゃんに聞いて、ママに聞いて、大変だったんだから…」

 「来なくてもいいのに」

 「いつもいつもそうやって意地悪言う…」

 「仲良くしましょう」


僕は仲裁に入ったつもりでしたが、仲が良いから喧嘩するのかもしれません。


 「そういえば書庫にある棚の引き出しから写真を見つけたんだ」


アイヴァンはそう言って一枚の古い写真を僕に渡しました。


 「左の男性が博士です」

 「右の人は奥さん?椅子に座っている女の子は子供かな?」


優しく微笑む女性と綺麗におめかしした女の子が博士と一緒に映っています。


 「博士に家族が居たのか、僕は知りません」

 「写真屋さんで撮影したようですから家族写真でしょうね」

 「ご家族が居たとは、驚きましたね」

 「マリルにも見せてよー」


僕の前に座っていたマリルが写真に手を伸ばして受け取りました。


 「可愛い~アイヴァンの小さい頃にそっくり!」

 「え?僕?」

 「うんうん!」

 「マリルはそんなに小さい頃からアイヴァンとお友達なのですね」

 「うん!赤ちゃんの時からずっと一緒だよ」

 「自分じゃ似てるか分からないよ…」

 「は…博士は…、しょ…生涯…こ…孤独だと…お…思っていました…」

 「そうですね」

 「国民名簿にもご家族の表記はありませんでしたし、隠し子…でしょうか…?」

 「アイヴァンの親戚だったりして」


 マリルの言葉に皆、目を合わせました。


 「ちょ…ちょっと…知りたいですね…。は…博士が…、ど…どんな人だったのか…辿ってみたくなります…」

 「僕と博士が親戚って事?」

 「少なくとも、この似ている女の子とは繋がりがあるかもしれませんね」

 「博士の推測年齢を遡ると、この女の子の現在の推定年齢は七十歳といった所でしょうか」

 「僕の…僕のおばあちゃん?」

 「ラーラおばあちゃん!」

 「年齢としては…一致してるね」


アイヴァンは神妙な顔で写真の女の子を見つめています。


 「お母さんに相談してからおばあちゃんに聞いてみるというのはどうでしょうか?」

 「そ…それがいい…と…思います」

 「私も博士の事を知りたくなってきました」

 「うん…僕も…」


話し合いの結果、マリルをお家に送った後、僕とアイヴァンでお母さんの動物病院へ行く事になりました。


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