煮えたぎる静寂
優しいあなたといたい
真夏になめらかに這う
とろりとした水のようなあなたと
朝日を憂い
夜に深く息をすい
瞳に映して微笑みあいたい
利己的な欲望
張り詰めた友情
無知故の恋
諦めの愛
遠く離れた
小高い丘の上
肩を並べて
風が頬を撫で
草原が耳を溶かし
私たちは月に見惚れる
熱はいらない
温もりを
刺激はいらない
ほろりとした甘みを
蜜柑のはがれる音を
蜂蜜が滴る香りを
共に感じ微笑むあなたを
まなざしにおののき
逃げ惑いながら
昼寝をするあなたを
優しいあなたを抱擁したい
寂しいあなたを抱擁したい
あなたの中に
鎖が重い渦をまく
鎖は過去にのびて
後悔と悲しみが鎖を熱す
その熱
冷ますこと
寂しさが許さない
あなたの痛みが癒える日は来るのだろうか
優しいあなたが犯した罪を
知りたいと願う私はなんなのだろう
優しいあなた
真夏になめらかに這う
とろりとした水のようなあなた
朝日を憂い
夜に深く息をすい
瞳に映して
微笑まないで
『痛い』と泣いて
全部捨てて
それでもあなたのとなりにいるから
あなたのとなりにいたいから