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平凡な日常との別れ

 目が覚めると、私は全く見覚えのない所にいた。人の気配は無い。周囲はたくさんの瓦礫があり、また、壊れた機械が散乱しているため、ここは廃工場なのだと思われた。ここにいても不安になるだけなので、とりあえず適当に歩くことにした。見知らぬ場所、しかも廃墟で動き回る。本来なら危険なのだが、何故かは分からないが本能で動いてしまっていた。この判断が良かったのか悪かったのかは分からないが、この日を境に、私の人生は人と大きく異なる様になる。



 私の名前は朝比奈 優花。ここ成陽野市の成陽野大学付属高等学校に通う普通の高校1年生である。


「ごめん、待った?」

「いや、私もさっきここに着いたからそんなに待ってないよ」

「そっか、んじゃ帰ろっ!」


 話しかけてきたのは、幼馴染みでありクラスメイトの谷端 楓である。人付き合いが良く、明るい性格の持ち主。生徒会にも入っているという、よく漫画とかである設定の高校生だ。楓とは家が近いため長い付き合いで、小学生の頃からいつもこうやって一緒に帰っている。他愛もない話をしながら2人で帰るのが、1日の小さな楽しみなのだ。


「おっと、話し込んでたらもう交差点まで来ちゃったよ。それじゃあ、また明日〜!」

「うん。また明日ね。」


 のんびり喋りながら歩き、自宅の近くの交差点で別れる。そこまではよかったのだが、家に入ろうとした瞬間…


「か、怪人だーっ!!怪人が暴れてるぞーっ!!」


 楓の家の方面から、男性の叫び声が聞こえたきたのだ。しかも、そこまで遠くない距離から。そして…


ドッ…カァァン!!…ガラガラガラ……


 鼓膜が破れそうな程の爆発音と崩壊音が聞こえ、燃え上がる炎が目に入ってきた。


「嘘…爆発した方向って……楓っ!」


 私は楓が心配になり、荷物を玄関に置き、猛ダッシュで楓の家へと向かうことにした。


 楓の家の近くに着いた私だが、目の前の光景を見てゾッとしていた。先程の爆発で家やマンションなどが何軒も崩壊し、見るも無惨な光景になっていた。当たりには瓦礫が散乱し、至るところで炎が上がっている。しかし、爆発を起こした怪人はもういないらしく、再び爆発が起こるとか襲われるというような事は無かった。

 ホッ…と安心したのもつかの間、私の脳内に一つの恐ろしい不安がよぎった。角を曲がり、家を目にした瞬間…不安が的中してる事を理解しなければならなかった。…楓の家も爆発に巻き込まれ、崩壊しているという事を。


「嘘…嘘よ…楓…死んでない…よね…?」


 涙目になりながら、望みの薄い希望に縋り、必死に瓦礫をどかす。楓はとある事情により、今は一人暮らしである。そのため、死体がなければ生きているという事だった。2人が別れた交差点から、それぞれの家までの距離はほぼ同じ。歩く速度もほぼ変わらないため、楓も玄関あたりにいるはずだ。そう考え、玄関だった場所の瓦礫をどかし続けた。

 しばらくして、大き過ぎてどかせない物を除いてだが、瓦礫で隠れていた地面がほとんど見えるようになった。そして、探している時に、楓の死体は見当たらなかった。つまり…爆発に巻き込まれずに済んでいたのだ。


「よかった…無事なんだね…」


 私は涙を浮かべて安堵したが、同時に、この場にいないことにより「どこに行ったのか」という新たな不安も出てきてしまった。


「楓ー、どこに行ったのー?」


 声を上げて尋ねるが、一切返答が無い。焦った私は、とりあえずこの事を警察に通報する事にした。爆発で被害を受けなかった人達が既に通報してるだろうが、通報せずにはいられなかった。スマホをポケットから取り出し、連絡しようとしたその時、崩壊した建物の間に小さな穴の様な物が浮いてるのを見つけた。


「なんだろう、これ…」


 興味本位だったのだろうか、恐る恐る手を伸ばし、穴に触れた瞬間…私は勢いよく穴へと吸い込まれたのだった。

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