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お久しぶりになってしまって申し訳ありませんでした。リリアナの方を書いていたら(難産でした)燃え尽きてしまってレティシアに戻ってこれなくて、今日はハロウィン☆というよりも月末!十月中に出したいと思って普段なら話がひと段落するまでかくのですが、一話が長いとチェックが大変な事に今更気が付きまして、少し短めにパパっと出したいと思います。絶対にエタりません。ただ趣味で書いているため、不定期更新はどうかお許しを。
一ヶ月ほど経って、ようやくリリアナとアンディ達が王都に戻って来た。
大枠の事は決めて来たので、後の事は、レイモンドやライナス達でやって貰うらしいが、『ローゼ領の文官や武官の人達に過労働させていないわよね!?』とレティシアはリリアナに問い詰めたい気持ちになったが、察知能力が作動したのか、リリアナはローゼ家には顔を見せずにリクソール侯爵家の王都の屋敷の方に戻った。
セフィールが待ちかねていた所為も大きいのだとは思う。セフィールとて忙しい筈なのに、更に忙しいリュークに連れられて、レティシアのところにも一ヶ月の間に三回ほど現れていたのだから、リュークが同情するくらい哀愁が漂っていたのだろう。
レティシアも父に会えて嬉しかったが、帰って来いというアピールが強すぎて、リュークやミゲルと一緒に苦笑するしかない状況に、早くリリアナとアンディが帰って来ないかと思っていたので、ほっとした。
ちなみにローレンシアもその間、ローゼ領で領主館で対応していた為、リュークもセフィールの様に表に出さなったが寂しさは勿論感じていたようで、ローレンシアが戻った途端、三割増しで笑顔が甘くなった様にレティシアからは見えた。仲が良くて羨ましい事である。
皆でローゼ公爵夫人と嫡子の無事の帰還に抱き合って喜んだが、レティシアは婚約者と今迄仲があまり良好で無かった為にハグをするのに若干ためらってしまったが、流石にしないという選択肢は無いかと、戦地から無事に戻って来た婚約者の首に手を回して「無事で本当に良かったわ」と耳元で囁いてから、長めにぎゅっと抱きしめたら、アンディも戦地で思うところがあったのか「レティシアも母上がいない間、屋敷を守ってくれてありがとう」ときゅっと抱きしめ返された。初めて婚約者らしい事をした事にレティシアは勿論、アンディも少し驚いたのだが、同時に妙に照れくさい気持ちになってしまってお互いに合わせた目を彷徨わせた。
レティシアは、周りが生温かい目で二人を見ていないか気になったが、皆もアンディが前線に出ていた事で、婚約者のレティシアの心配も分かるといった雰囲気で、誰も冷やかすような見方をする人間は居らず、アンディとレティシアだけが内心で初めての抱擁に、気恥ずかしい気持ちになってしまったのだった。
リュークがアンディに「良くやってくれた。ローゼ家の次期当主として申し分ない働きだった。王都の屋敷でゆっくりと休むといい」と褒め称えると、アンディは「皆の働きのお陰です」と謙遜では無く本当にそう思っている様で、手放しの賛辞に少し恥じ入るような表情を浮かべた。
レティシアは、エミール経由で今回のアンディの事を聞いているが、母であるリリアナが出しゃばり過ぎた感はあったが、副領主であるレイモンドとの連携も抜群で、何より最前線で戦うという、領主嫡子にとって一番領民や国民に支持される行動をとったのだから、もう少し自分で評価を高くしても良いのではないかと思った。
現に王都では、どこに行ってもアンディへの賛辞で溢れているらしい。
これは、レティシアが最近セレーネと文通を始めていて、そこからの情報だった。レティシアも外出の制限は、もうされていないものの、アンディの武勲がもてはやされる時期に、婚約者のレティシアは、かなり嫉妬される立場にあるので、茶会の誘いなどは丁寧にお断りを続けていた。
それでセレーネがレティシアに手紙に書いて、今の状況を知らせてくれる様になった。ミゲルの未来の奥方の次くらいに、レティシアが当てにしようと考えていた人物が、どうやら今から助けになってくれる状況に、レティシアは一人ほくそ笑んだ。レティシアが選んだといってもいいエミールの婚約者が助けになってくれるので、正直、メルヴィナに悪い事をしてしまったと思う気持ちが飛んで行ってしまった。やはりローゼ家のために動ける人材がアーデン家に居てくれるというのは、レティシアにとって、とても心強い。
セレーネからの手紙には、茶会での噂話だったり、エミールがマリアンヌから聞いた事だったりと、王都からローゼ領の事まで押さえられており、才女と呼び声高い存在ではあったが、セレーネが今迄、子爵令嬢くらいの振舞いをして来たので、爪を隠していた部分があったのが、エミールとの婚約を契機に解き放たれたようだった。
そしてセレーネからの最新の手紙に記されていたのは、エミールからの伝言だった。エミールから直接手紙を貰っても良いのだが、エミールとセレーネは最近よく会うらしく(こちらも仲が良くて羨ましい事であるが)エミールからよりもセレーネが女性である分、アンディが不在の屋敷に手紙を送るのに適しているだろうと、気を遣ってくれているらしい。
レティシアからすると親戚だし、セレーネと婚約したのだし、と誤解など受けようも無いと思いがちだが、婚約前はジュリアン王子と二大派閥があったエミールと、頻繁に文の遣り取りをするのは、あまり外聞はよろしくない。しかも従兄のアンディが婚約者なのだから、親戚だからという言い訳は、たぶん通用しない。
そういう事情も考慮してくれての事だろうが、今回の内容は何もセレーネに頼まなくても良かったのでは無いかと思うものだった。
セレーネは非常に遠回しに、上品にオブラートに包んで書いて来てくれているが、中身を要約すると、戦場で戦った後の男性の側の事情で、そういう状況下では、大体が精神が昂ってしまって、娼館などで女性に癒して貰いたい気持ちになるものらしい。
エミールの分析によれば、戦場というのは、いくら此方が有利な状況に有ろうとも、命の危険を感じ、そして無事に帰ってこられた兵士は、状況が子孫を残す為の種の保存の危機にさらされていた為か、女性を欲するものらしい。これは文献にあったので、エミール自身には分からないが、ローゼ領で戦ったアーデン領の兵士達にもそういう傾向が明らかにあったそうなので、あながち本の中だけの説という訳でも無いと思うとエミールの考えが書いてあった。
そして、レイモンドがどれほど勧めても、アンディは娼館に行ったりしなかったから、レティシアにその矛先が向かないか、レイモンドやローレンシアまでが口に出して心配しているそうで、(ここまで皆に心配されるのは多分レティシアの父であるリクソール侯爵の怒りを皆が恐れている為だと思われるが)レイモンドなどはレティシアを娘のように思っている所為もあって、どうにかアンディを説得したが、『王都でレティシアがローゼの屋敷に入ってくれたのには、不誠実な事は出来ないし、絶対に裏切りたくない』と頑なに拒んだという。
こうしてエミールが知らせて来たのは、レティシア自身に身の振り方を決めさせるためだろうと推測出来る。アンディとは七歳の時に婚約して…いや、生まれる前から結婚が運命づけられた関係なのだし、レティシアが婚約者として受け入れるか否かを、事前情報を加味して検討して欲しいというところなのだろう。
セフィールに関しては、怒るといっても、もう既にローゼ家にレティシアが入った時点で、怒って更に嫌がらせをしているので、これ以上怒ったにしてもレティシアが宥める事は出来ると思う。ただでさえ無礼なリリアナの振舞いを、皆で笑って許してくれるローゼ家の人達の迷惑になるような事は、これ以上はレティシアは許せない。
セフィールは一見破天荒な人ではあるが、一通り嫌がらせが済んだ今の段階では、理に適った行動ならば、それに対して更にローゼ家に喧嘩を売るほど馬鹿な人ではないとレティシアは考えている。
♢♦♢
レティシアは夕食後、リクソール家から連れて来た侍女に手伝って貰って念入りに湯浴みを済ませ、普段、着ないような白いレースの夜着に身を包んだ。
この屋敷に入った時から、婚前交渉はあるものと考えて来たので、皆が心配するほどレティシアに不安はない。これだけ婚約期間が長いのだから、覚悟があるのは当然で、出来れば愛情が芽生えれば良いなという夢はあったものの、それは贅沢だと分かっていた。
元の関係の悪さから、親戚の情はあるというところまで来れた分、この後に子でも出来れば家族愛的なものが湧いてくるという期待は持っている。
とにかく気持ちが先に無ければ嫌だという教育は受けていない。レティシアには最初から、選択肢はアンディだけだ。逆も然りなのだが、男性の女遊びは寛容な貴族社会において、アンディは真面目過ぎたし、頑固で律儀にレティシアに操を立てていた。男性としては珍しいが、レティシアはアンディが少しロマンチストなのだと考えている。あと義理に篤いというところも確実にある。
おそらくは、レティシアにばかり貞節を重んじさせるのが悪いと考えていると思われる。割合関係が良くなってからのアンディは、傲慢な部分が消え、頑固なところはあっても、レティシアに対して敬意をもって対等な関係で接して来ているので、自分だけに許される自由というものは存在しないと考えているところが節々に見えた。そういう所は、人として好ましくレティシアからも映っていた。
そしてアンディから続き扉に声が掛かったので、レティシアは入室の許可の返事をした。
いきなりの急展開!?早めにつづきは書きます!




