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リクソール侯爵セフィールは、妻のリリアナにクロフォード侯爵家の娘の情報を聞いていた。


「ミリアリア様は、レティシアと同じ歳の十四歳でジュリアン殿下とも同じ歳で、普通の貴族なら歳回りが合うとは言えないけれど、王族の方のご結婚は早いから無理な話ではないと思うわ」


「シャルロット妃には話を通してあるのか?」


セフィールが問うと、リリアナが頷いた。


「ただ陛下が…ジュリアン殿下にはレティシアを諦めていらっしゃらないらしくて、シャルロットも強くは言えないみたいなの。しかもジュリアン殿下自身もレティシアが良いと言い始めているらしいの。困ったわね」


「あの馬鹿王ばかりか、息子まで二代にわたって迷惑を掛けて来るとは、本気で首を絞めたくなってくるな」


王は、昔にリリアナに求婚して来た過去があり、リリアナがそれを断ってセフィールと婚約したら、王家の影を使ってセフィールを殺そうとした過去があって、その所為でセフィールは王を敬う気持ちが微塵も湧かなかった。


「駄目よ!王家が倒れたら、被害を受けるのは多くの民なのよ。それに、クロフォード侯爵家の塩の利権を平和的に国に譲渡させるのに、王家と縁付かせると言ったのは貴方でしょう?レティシアの事で怒ってしまって本来の目的を忘れてしまった訳ではないわよね?」


セフィールはそれでも、王と王子が気に入らないらしく、他に王家の血筋の者がいたらとっくに始末したのにと物騒な事をつぶやいた。


「ジュリアン殿下の縁談の件は、リューク兄様とフィリップ様にも圧力を強めて頂いて頂戴。陛下もリューク兄様の言葉には流石に耳を傾けるわ」


リリアナの言うリューク兄様とは、アンディの父であるローゼ公爵の事だ。ローゼ公爵は公爵位を継ぐ前から王の側近で、今は宰相の地位にあった。


フィリップは、リュークと同じく王の側近で、副宰相の地位にある。ランドール公爵の異母弟で、シャルロット妃とも更に腹違いの同じ歳の兄弟だった。


現ランドール公爵は、前公爵の正妻の子だが、フィリップは第一側室の子で、シャルロットは第三側室の子で兄弟全員で母が違う。


アーデン侯爵夫人のマリアンヌだけは、シャルロットと父も母も同じ、同腹の姉妹であった。


ランドール公爵自体は、ランドール領からほぼ出て来ない為、幻の様な存在だが、異腹の兄弟が王都で副宰相を務め、妹が王の正妃に成っている。ローゼ公爵家と並び立ち反目しあう家ではあるが、リリアナはシャルロット妃とは幼馴染で友人であるし、マリアンヌは妹の様に可愛がって来た。


フィリップは、リリアナはあまり関りはないが、義兄のリュークが共に王の側近を務める間柄だった。


ローゼ派とランドール派が、常に小競り合いをしていて、家同士も昔からの宿敵ではあるが、個人の単位で言うと、今のローゼ家とランドール家は割合仲が良かったりするのだが、それでも二大公爵家の適切な距離は、諸々の諸事情で必要不可欠な為、利害が一致した時のみ裏で協力しあう関係にとどめられていた。


そして、リクソール侯爵セフィールは監査室室長であり、リリアナも監査室に籍を置く官吏であった。二人で国益の為に塩の利権を持つクロフォード家を、平和的解決で取り込もうとしている所だった。


リクソール夫妻は、その情報収集力で、最近は貴族の仲人役を多くしている為、リクソール侯爵家から齎された縁談には乗った方が家の為だと言われているので、リリアナ達が話を持って行く事自体は、そう難しい事ではない。ただクロフォード侯爵家は、塩の利権を手放したくないので、王家と姻戚関係を望んでいないという問題があった。


それを覆す為に、ローゼ家ランドール家にも利害が一致する案件に当たる為、協力を要請するつもりでいるのだ。


まずはセフィールから、宰相のリュークに根回しをして、更にフィリップにもランドール公爵家の意思として圧力を掛けて貰おうとリリアナ達は話し合った。


ジュリアン殿下がレティシアを妃に望んだとしても、王家よりも公爵家の方が力が実質、(うえ)の状態では、公爵家の嫡子の婚約者を取り上げたりは出来る筈もなかった。


ただ、アンディとレティシアが余り関係が上手く行っていない為、王子殿下もレティシアを望まれる様な隙を作ってしまったのだろう。


レティシアには厳しく言い聞かせる必要があるとリリアナは考えていたが、セフィールはアンディの方をリュークに頼んで折れさせようと考えていた。


後日、両方に婚約者との仲を早急に改善する様に努力せよという命令が下され、レティシアもアンディもお互いが知らない所で項垂れる事になった。


そしてレティシアもアンディも互いに相手を自分に惚れさせる計画を立て、それを両方がエミールに相談して来た為に、エミールが頭を抱えて悩む羽目になった。

エミールが苦労性かもしれません。

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