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視点がコロコロと変わります。今回はアンディ視点

リクソール侯爵家の令嬢レティシアは、『ローゼの姫』という通り名で呼ばれている。


二大公爵家、ローゼ家の姫という意味だが、ローゼ公爵家の嫡子のアンディよりも尊い血筋と、母にそっくりな射干玉(ぬばたま)の髪にアメジストの瞳から、見事にローゼ家の血筋を体現している事から、そう言われる様になった。


公爵子息のアンディからすると、自分よりもローゼ家らしい容貌をしたレティシアは、目の上のたん瘤であった。


祖父や曽祖父まで、レティシアの事を目に入れても痛くないのでは無いかと思う位、昔から可愛がられている。


それにローゼの門下家からも、ローゼの姫として丁重に扱われているのを見ると、まだローゼ家の人間でも無いのに、見た目だけで判断されている事に対して憤りを感じていた。


直接レティシアに「良い気に成るなよ」と忠告した事も有るが、レティシアは、ローゼ公爵である父にその事を言い付けて、アンディは酷く怒られる事になった。


レティシアにどれ程の価値があると言うのか、皆が大事にし過ぎるから我儘な令嬢になって、自分の言う事を何一つ聞こうとしないんだとアンディは思って悔しくなった。皆が、公爵家後継の自分よりもレテシィアが真のローゼ家の血筋だと影で言う。


自分とレティシアの結婚は真の血筋に戻すために必要だと言われても、それでは自分はローゼ家の真の血筋では無いのかと悩んで堂々巡りに陥った。


アンディには二歳下の弟のミゲルが居るが、ミゲルはハトコに当たるレティシアと、とても仲が良い。


仲が良いならミゲルと結婚すれば良いのにと、アンディはミゲルに言うと、ミゲルは「レティは、リクソール侯爵家の姫なのに、公爵家の次男の自分とでは身分が合わないから無理」だと言う。


「兄上が公爵位を僕に譲ると言うのなら、レティは僕と自動的に結婚することになると思うけど、僕も兄上を押しのける程の才がある訳でも無いからね」


そう言う姿は、年下とは思えない程大人びていて、父達もミゲルの方が後継に良いのではと思っているのではないかと穿った見方をしてしまう。


「アンディは、ちょっと考え過ぎだね」


そう言って笑うのは、アーデン侯爵家嫡子で同じ歳の従弟であるエミール・アーデンだ。


「エミールは一人っ子だし、俺の様に婚約者が居る訳でも無いのだから自由で良いだろう」


それにエミールは、レティシアと同じく黒髪に紫の瞳をしているのもアンディが羨ましく思う一因だった。


「レティシアと婚約が決まっているなんて、どれ程羨まれる事かアンディは分かっていないの!?レティシアは、あのリクソール候の溺愛する姫で、尚且つローゼ公爵家の令嬢で在らせられたリリアナ様の娘なんだよ?王族だって喉から手が出る程欲しがってるって言うのに、婚約破棄などしたらアンディは、ローゼ家の中で失脚する事になるよ」


「俺が駄目ならミゲルが代わりにローゼ家を継ぐだろう。俺よりも向いていそうだし、レティシアとの仲も良好だ」


アンディが不貞腐れて言うのにエミールは、ため息を一つ吐いた。

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