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エミール婚約話が始動します。

「モーヴァンのセレーネ様かルドゥーテのメルヴィナ様かテレサ様、もしくは他の家のご令嬢だと、オルグレンのキャシー様、エインズワースのクレア様、ターナー家のコーネリア様、このご令嬢の中だと、エミールの相手に誰が一番良いのかしら?あの子の出自の難しさを思うと、ローゼ派の侯爵家から貰うべきか、中立派から選ぶべきか迷う所よね。エミール自身は賢い子だから、こちらが持って行った話を受けるそうよ」


リクソール夫妻は真剣にアーデン家後継のエミールの婚約者の選定に入っていた。


セフィールも今回は難しいなと、眉間にしわを寄せた。


「エミール殿には、俺としてはうちの分家のユアンの娘を薦めたいが、アーデン家の為を想うならルドゥーテの長女メルヴィナ嬢が無難だな」


ユアンの娘とはエインズワース伯爵家のクレアの事である。ユアンはセフィールの従兄でリクソール分家の伯爵だった。


「レティシアは、ローゼ家の為を思えば、モーヴァンのセレーネ様が良いのではないかと言って来たわ。アーデンとモーヴァンが弱体化するのを抑える為に、両家に力を合わせさせたら良いのではないかという考えみたいね」


「流石にルドゥーテ侯爵家が、令嬢が二人もいるのに黙っていないだろう。しかも仲が悪く、後継がはっきりしないモーヴァン家に嫁がせる筈も無いしな」


「ユアン様のところのクレア様も良い案かもしれないわね。貴方の血筋の姫は、レティシア以外だとクレア様とセドリック様の娘のパーシヴァル伯爵家のエステル様くらいだものね」


パーシヴァル伯爵家は、ユアンの弟のセドリックが婿入りしているローゼ派の伯爵家だった。


「ローゼ派か中立派か、身内家かという選択だな。パーシヴァルは、ローゼ派で身内だから除外だな。うちに得がないし、エミール殿の力になれる程の家ではないからな。ローゼ派の伯爵家の中では中流だろう」


リクソールで支援すればパーシヴァルでも良いが、レティシアをローゼ家に嫁がせるので、ローゼ派から中立派のリクソール家に取り込まれないかと恐れられないか、心配な面もある。しかし、レティシアの助けになるご令嬢にアーデン家に入って貰いたいという親心もリクソール夫妻にはある為、単にアーデン家の後継の相手というだけではなく、ご令嬢の気質や器の問題も考慮するという部分も、材料の半分を占めていた。


セフィールが「無難でメルヴィナ嬢、うちの希望を重視でクレア、レテシィアが頑張るつもりがあるのならセレーネ嬢でも良いだろう。ローゼ家とうちで支援すれば、ブライアン殿のお子が継ぐ事に成るのは当然だろう。何ならブライアン殿の長男にクレアを嫁がせようか…アーデンよりも嫡子と認められていない家に嫁がせるのは賭けには成るが、ユアンもモーヴァン侯爵家の当主の長男になら、文句は言わないだろう」と言った。


「アンディは、ローゼ家は門下家の揉め事に何処にも肩入れしないと言っているから、モーヴァンの支援はしないから、それも考慮すべき問題なのよ」


「そうか。アンディ殿はリューク殿と比べると随分とドライなのだな。生粋のローゼ公爵家の嫡子だからかな」


「そうねぇ。リュークお兄様は、アーデン家の子息だったから、お兄様と比べるとアンディは根っからの公爵家嫡子だし、箱入りな面もあるけど、考え方自体はローゼ家第一で情に流される様な事はないわね」


セフィールは「アーデン家はローゼ家の援護は期待できないのか…」と呟いた。


「では、クレアは出せないな。元々、ローゼ家とアーデン家の両方に繋ぎを取らなくとも良いのだし、レティシアの力になればと思ったが、レティシアなら門下家の夫人達など、どうにでも従えられるだろう。レティシアが一番関わる事に成るのだし、セレーネ嬢が良いと言うのなら、それで行っても良いか…ルドゥーテ侯爵も多少目に余る部分もあるから、エミール殿からしても舅はブライアン殿の方が気楽だろう。うまくモーヴァンの内部を落ち着かせられるなら、ローゼ家の為にもそちらが良いとは思う。エミール殿には悪いが、レティシアの力になって頂こうか」


「レティシアの為の選択ね。それでもクレア様を出さない辺りは貴方らしいわね。それだとクレア様は中立家に嫁がせる事になるわね」


「隣の領のターナー伯爵家か、マクドウェル伯爵家だな。王妃の取り巻きの仲間の家だから、シュザンヌ殿もクレアを嫁がせるのに気心が知れていて良いだろう」


シュザンヌとはユアンの妻のエインズワース伯爵夫人の事である。


「どちらでも良いからクレアに選ばせて良い。クレアも十五歳だし、早めに嫁ぎ先を決めた方が良い」


セフィールがそう言うのに対して、リリアナは、クレアと親族として親しいレティシアから聞いて貰っていた情報から、マクドウェル家の子息のオースティンを気に入っているらしいという情報を渡した。


「では、クレアはマクドウェルで良いな。しかし、エミール殿の話がうまく行かなければ、クレアの可能性も残したいから、エミール殿の話が纏まってからだな。レイモンド殿も今のモーヴァン家では難色を示される怖れは多いにあるからな」


「では、近いうちにアーデン家に行って確認を取りましょう。その後は、モーヴァンのセレーネ様ね。セレーネ様自身はエミールに好意を寄せてらっしゃるという話だから、夫婦関係は上手く行きそうよ」


「それは、エミール殿にならルドゥーテ侯爵家の令嬢達だって好意はあるだろう。実家よりも上位家を狙うならアンディ殿かエミール殿くらいだからな。しかもエミール殿は、親の代では悪く言われるが、女性達の間では騒がれない筈が無いランドール特有の美貌だからな。それでもローゼ家の血筋が濃く出た事は本当に幸いだったな」


「それに関しては、天の配剤だわね!そうで無かったら、面と向かってアーデンの嫡子のエミールに嫌味をいうのはルドゥーテ侯爵だけでは済まなかったでしょうね」


少し憂い顔でリリアナが言うとセフィールも「そうだろうな」と頷いた。一応優先順位をつけて動く事になり、直ぐにアーデン家と繋ぎを取って、セフィールとリリアナで次の休みに訪問する事に成った。


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