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その3


 そして深夜。

 続報届く。

 解散の勅命に対し、隊長クラスで会議を開いていた決起軍だが、そこに第三者とも言えない第三者が介入してきた。

 かつてノボルたちが訓練に励んでいた、東練兵場の東組。ゴンが配属された西組。もちろん北も南も。異変に気づいた各隊が、兵を挙げてきたのだ。

 何事か? との問いに、維新断行ですと真っ正面から答えたらしい。

 それどころか、大臣たちを襲撃したのはお前たちか? という質問にも、維新の礎になっていただきました、と答えた。

 基本的に非常事態。自ら凶行を認めた決起軍を、鎮圧部隊として捕縛しなければならないだろう。しかし、ドクセンブルグ軍の行動は、指示や命令を受けたものではない。それに勅命優先だ。

 原隊復帰の勅命が出ている以上、捕縛する訳にはいかない。

 そして王軍相討つなどという状況は、王国の消耗でしかない。避けるべきことだ。そこでドクセンブルグ軍は待機の姿勢に入ったらしい。事態の推移を見守るためだ。

 報告によると、そこから各隊長による訓示があったらしい。そこから原隊復帰となった。

「……原隊復帰ということは、ヤハラどの」

「王子たちの安否は? 原隊復帰という判断の根拠は?」

 伝令……ライゾウの友人である忍びは、そこまではわかりません、と答えた。

「とりあえず、忍びよ。決起軍は目的達成の確認なく、原隊復帰をはじめたのだな?」

「はい、我々もボルザックの生死は、確認しておりません」

 報告は、以上。忍びは調査の位置に戻った。

 ノボルは畳の上に腰をおろした。胡座をかく。疲れがどっと押し寄せてきた。ヤハラも同じく、畳に胡座をかいた。

「……ヤハラどの、次に入る報告は……」

「……決起軍隊長たちの、逮捕でしょうね」

「勅命に従い原隊へ復帰するのだ、賊軍ということには……」

「国王陛下の忠臣を、あまりに殺しすぎました。謀叛とみなされても、仕方ありません」

「恩赦……それはないだろうか?」

「原隊復帰の勅命は、ボルザックが入れた知恵でしょう。奴が生きている限り、それはありません。恩赦を適用する要素も、見つかりません」

「そうだ、ならば裁きの場だ。そこで赤心を訴えれば……」

「殿、これ以上ヤハラを困らせないでください」

「……すまん」

 雪と血の維新断行は、これで幕をおろした。そう見て差し支えない。

 残されたのは、決起軍リーダーの処分だけだ。

「殿、気落ちはわかりますが、帰還兵の出迎えです。受け入れ体制をしっかりしませんと」

「そうだな、キョウカどのはあのように言ってくれたが、どこの隊の誰が決起軍に参加したか、それくらいは把握しておかなければな」

 しかし現実問題として、二〇〇〇もの兵が隊長の指揮も無しに、帰還してくるのだ。何をどうすれば良いのか、ノボルにもわからない。ヤハラも頭を抱えていた。

「ただいま帰りました」

 緊張感のない声だった。マユが帰ってきたのだ。まずはヤハラにハグ。報告は、その後だ。

「いやぁ〜〜大変でしたよ、兵隊さん二〇〇〇人に説明するのは」

 遠慮なし、マユは火鉢にあたった。

 というか、兵隊に説明とは、なんのことか?

「あれ? 隊長さんもヤハラさまも聞いてませんか、キョウカさまから?」

 ここで、たぬきの名前か。やるじゃん、たぬき。すげぇな、たぬき。今夜はたぬきのための夜だぜ。

 心強い名を聞いて、そんな軽口を叩きたくなるほど、気分が軽くなった。これはもう、キョウカさまさまというところだ。

 マユは言う。

「キョウカさまの指示で、帰還する兵隊さんたちは、そのまま脱走させます。で、新領地の各たぬき商会営業所で身柄を確保。そのまま雇い入れだそうです」

 呆けている場合じゃありませんよと、マユごときに言われた。

「隊長さん、ヒノモトから剣術指南役を、どんどん送ってもらってください。たぬき商会は、武装結社になるんですから!」


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