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動けぬノボルに御座候


 せっかく自分を抑えることができたのに、最悪の報告があがってきた。

 ドラゴ中将が凶刃に倒れたのである。

 ノボルはマユに、このことをたぬき商会へ知らせるよう命じた。そして新領地諸公の様子を探らせる。

「どう見る、ヤハラどの?」

「殿と同じ見解です」

 つまり、暴発が予想される、というのだ。

 悪人は討ち取れ。それが一番簡単な方法である。しかしボルザックという男は、そんなに簡単なものではない。ヤハラや、イズモキョウカを見ていればわかる。

 策謀陰謀、なにを考えているのかわからない連中だ。兵法の中にもこのような策略はあるが、そのエキスを丁寧に抽出すると、先の二人が採れるに違いない。ノボルはそう考えていた。

 こんな時、イズモのたぬきはどうしているか。どのように国を見ているのか、ふと知りたくなる。まあ、秋に収穫した麦の山を、あちらに売りこちらにさばきして忙しいかもしれない。

 それにしても、ドラゴ中将が殺害されたというのに、我ながらおかしいほど感情が波打たぬ。冷静であった。雑兵隊の父とも言える、ドラゴ中将だというのに。これは陰謀がもつ麻酔に、感覚が麻痺しているのか? はたまたヤハラがそばにいてくれるからなのか。ノボルにはわからない。

 その日のうちに、たぬき商会から使いが来た。使いと言っても、忍びのことだが。

「ドラゴ中将の一件をお知らせいただき、誠にありがとうございましたと、お嬢さまが」

 お互いさまですと、ヤハラが対応した。

「なお、コズミク城周辺の情報ですが……」

 軍縮の指示が、本国から届いたという。

 どういうことか?

 西側新領地で凶作が発生したため、国の財政がまかなえない。そこで西側新領地では、兵士を三割解雇すべし……というものらしい。

 西側新領地。

 つまりドラゴ中将と共に闘った者たちを、削減するということだ。

 当然のことながら、ノボルのような辺境の領主には、この知らせは届いていない。コズミク城の王子たちで吟味、考慮した上で、諸公に達するのだ。

「というのは建前です」

 忍びは続けた。

「本当は王子たちもひそかに、ボルザックの動きを調べておりまして」

 つまり、ボルザックと敵対の意志あり、ということだ。

「新領地諸公に檄文を飛ばすなどして、人数を確保しております」

 それはゴンから、一部聞いている。その人数の中に、ノボルが入っていないことも。

「待ってください。王子たちは人数を確保している、と言いましたね?」

 ヤハラが口をはさむ。

「王子たちはボルザックに対して、行動を起こすつもりなのですか?」

「兵役を離される者たちと共に、直談判に向かわれると」

「本当に、それだけですか?」

「……実は」

 もちろんそれだけで済むはずは無い。

 ボルザック派に傾いた者を粛清、もちろん首魁の首も落とすつもりだ。

「忍び、軍縮の指示はボルザックの名で下ったものか?」

 ノボルの問いに忍びは、国王陛下の名ですと答えた。

「……謀叛、反乱とされますね」

「王子たちはボルザックを討ったあとで、国王陛下や第一王子に理由を説明すれば、という考えです」

「このような指示を陛下の名で出すのだ、すでに王室はボルザックが掌握しているやも知れんのだぞ」

「無謀ですね」

 通常王室というものは、血肉を分けた親子兄弟でも、仲が悪いものだ。しかしこの国は、中将たち忠臣による教育が効を奏したようで、他国のようないさかいは無い。そのことが逆に、王子たちをこの暴挙に走らせたのかもしれない。ヤハラはそう分析した。

 幸い、ノボルは決起メンバー……暴挙メンバーには選ばれていない。

 いわゆる当局からのマークは無いのだ。


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