特別編・『兄妹シリーズ』年越しラジオ2019
お待たせ(?)
咲「『兄妹シリーズ』年越しラジオ2019! お送りしますは私、葉山咲良と、」
香「皆さんこんにちは、主人公の雲居香純です」
咲「ごめんね、香純ちゃん。始まって早々だけど、『待った』を入れさせてもらえる?」
香「何でしょうか。この主人公に何か文句でも?」
咲「それだよ」
香「?」
咲「香純ちゃん、あなたは主人公じゃないよ」
香「なんと。私がこの『兄妹シリーズ』の主人公じゃないとでも言うのですか?」
咲「言うのですよ。何故なら“兄妹”シリーズだから」
香「そうは言っても、最近は寺井兄妹よりも私の出番の方が多いですよ。何ならサードシーズンは完全に私のためのエピソードだったじゃないですか」
咲「……うん、それは私も思ったよ。でも、主人公は寺井兄妹のお兄さんである晴輝だから」
香「わかってますよ、冗談です。軽い気持ちで言ってみた冗談があまりに真実味を帯び過ぎていて、中々引っ込みがつかなくて」
咲「そうだね。修学旅行の時にも出番があったよね」
香「はい。僭越ながら暗躍させていただきました」
咲「にこやかに言うことじゃないよ? あの時ってあなたは具体的には何をしたの?」
香「大したことはしてません。常識では対応できない事態だったので、そういう分野に明るそうな七海に連絡を入れて晴輝先輩に協力するよう促しただけです。七海は私に逆らえないので」
咲「そうだったね。香純ちゃんは夕霧くん経由で七海ちゃんと知り合ったんだったよね。……今怖いこと言わなかった? 逆らえないって」
香「私も個人的に七海とは短くない付き合いになりそうだったので、力関係を明確にしただけです」
咲「怖いって! 小学生相手に何をしてるのよ」
香「師匠のせいですね。子ども相手に格別優しくしたり甘やかしたりすることができないんです」
咲「家達さんね……。まさか香純ちゃんの師匠が家達さんだったなんて。確かに似ているところはあるけれど」
香「葉山先輩も師匠とお知り合いなんでしたっけね」
咲「うん。私の、というよりも両親の縁からなんだけど。何回か家にも来たことがあるわ」
香「先輩がたの親世代のコミュニティってすごいですよね。魑魅魍魎というか……」
咲「魑魅魍魎は言い過ぎ……ああー……うーん……」
香「そこで口籠ってしまうとリアル感が増しますね」
咲「あー、でも、家達さんは私には優しかったよ」
香「おやおや。愛されキャラ自慢ですか?」
咲「違う違う! 会うたびに『お父さんを労ってあげなさい』って言ってお菓子をくれたから」
香「あの人が労るなんて、お父さまどれだけ苦労してるんですか」
咲「親世代の中で一番老けるくらいには」
香「……この話題、打ち切りましょうか」
咲「……そうね。ところで、今回の年越しラジオは何かコーナーはないの?」
香「今回はほとんどフリートークで良いらしいですよ。決してネタがないからという訳ではなく」
咲「ネタがないからという訳ではなく。でも、ほとんどっていうのは?」
香「一つだけやっておかなければならないものがあるんですよ。題して『「温かさの理由」の扱いが困る件』!」
咲「え、何なのそれは⁉︎」
香「1stシーズンに「温かさの理由」というお話がありましたよね?」
咲「ええ。語り手は私だったし」
香「アレって時系列的には十二月のお話なんですが、5thシーズンの時系列とも重なりますよね」
咲「そうね。5thシーズンはまさに冬のお話だから」
香「「温かさの理由」は色々なゴタゴタが終わった後の冬の日常を書きたかった故に書かれたのですが、あまりに時系列を先取りし過ぎたために、5thシーズンの人間関係や心理描写と合いません」
咲「あぁ……」
香「「温かさの理由」では葉山先輩は晴輝先輩への恋愛感情を自覚していないかのように描かれていますが、実際は修学旅行前の時点で既に自覚してますよね。ぶっちゃけ告ろうとまでしてますよね」
咲「それはぶっちゃけ過ぎでしょう! ……まあ、そうなんだけど。そうなんだけど!」
香「そのあたり矛盾が生じてしまっているため、言及を受ける前にこちらから謝罪しておこうかと思いまして」
咲「謝罪って。というか、香純ちゃんはなんでそのことを知っているの」
香「このラジオはある程度役柄を離れた発言が許されますから」
咲「そんな権利があって良い訳がない」
香「という訳で、謝罪します。葉山先輩が」
咲「晴輝への恋心を自覚して、1stシーズンの描写との矛盾を生じさせてしまったことをお詫び申し上げます。申し訳ございませんでした。……って、どうして私が謝らなければならないの⁉︎ しかも、こんな内容の謝罪ってあり得るの⁉︎」
香「はいはい、という訳で今回のラジオのノルマを達成したところで、今年の年越しラジオの締めとさせていただきたいと思います。お送りしましたのは主人公並に忙しかった雲居香純と〜、」
咲「…………ヒロインとは思えない酷い扱いの葉山咲良がお送りしました」
香「それでは皆さま、良いお年を〜!」




