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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

勇者のキモチ

作者: 壱歳

 久しぶりにドラクエ3をやって、淡々とシナリオをこなしていく勇者を見て思っていた事を、何気無く交わしてた夫婦で会話してたら、何故か話がとても膨らんだので、ここまで話が広げてみました。

 それじゃ、短編書いてみようと思って書いてみたものです。


 キャラ設定については、後書きを見てください。


2015/08/16 修正

 何か小難しい説明でしたけど、こんな世界で勇者やってる、 っていいます。

 とは言うものの、うちのご先祖様が今回の討伐隊みたいな事をやって、魔族軍を撃退する偉業を達成したらしいんですよ。

 何か小難しい説明でしたけど、こんな世界で勇者をやる事になった、ヘリオスっていいます。

 そういえば、説明にもあった通り、俺のご先祖様が今回の討伐隊みたいな事をやって、魔族軍を撃退する偉業を達成したらしいんですよ。その子孫なら、同じようにやり遂げてくれるだろう、って事で、俺が勇者に選ばれた訳なんですよねぇー……。

 ここは人族の最大の王国、ルスティエラ王国の首都、

 

 この世界は人族、精霊族、獣人族が連合するルスティエラ連合国と、魔王率いる魔族の国、オスクリーダ王国で二分されている。

 この二つの大国は、千年前の大戦後に領地を分割し、結界を張って互いに不介入する事で平和を保っていた。


 しかし、とある事件が発端となり、再び争いが起きてしまった。

 魔族側の勢力はとても強く、連合国側は守勢に回るのが精一杯だった。


 そこで連合国側は、勇者率いる討伐隊を結成させ、魔王を討伐する事を決定した。


 精霊族からは、精霊族随一と言われた大魔導士でもある、美しき王女ロッサ・グラキエスタが選ばれた。

 獣人族からは、獣人族最強の王の意思を継いだ息子であり、大剣を使わせれば敵無しと謳われている、獣人王国騎士団団長のラグラーン・トゥルエノが代表として選ばれた。


 そして人族からは、ルスティエラ王国の第1皇女でもあり、聖女と敬われているサラサ・ウラノス・ルスティエラと、この連合国を救った勇者の子孫でもあるヘリオス・ウェルスムを勇者として旅立たせる事とした。


 この4人だけの討伐隊の旅が、今始まる。


~ 勇者のキモチ ~


 あ、どうも。

 何か小難しい説明でしたけど、こんな世界で勇者をやる事になった、ヘリオスっていいます。

 そういえば、説明にもあった通り、俺のご先祖様が今回の討伐隊みたいな事をやって、魔族軍を撃退する偉業を達成したらしいんですよ。その子孫なら、同じようにやり遂げてくれるだろう、って事で、俺が勇者に選ばれた訳なんですよねぇー……。


 そんなバカな、って話ですよ。


 何で、数人程度で頑張って、戦争を止められるっていうんですか? しかも、その伝説の人の子孫だからって、同じ事が出来ると思ったら大間違いだ! 血筋で勇者なんて決めんじゃねーよ。

 俺の強さなんてさぁ、同じ位の年代で、この街の中じゃ強いよねー、って噂される程度の強さしかないっていうのに……。


 まぁ、とりあえず、行くしかないんだよねー。ここ最近、うちの家族に監視付けてるみたいだしさぁー。

 「討伐に行かない」なんて言ったら、俺は平気だけど、父さんと母さん……も、まぁ大丈夫だろうなぁ。

 しかし、うちの天使ちゃん(妹、4歳、超可愛い)に何かした日にゃぁ、一家総出でこの国潰す。えぇ、もう粉々にしてやりますよ。


 ……え? 一国を潰せるような実力があるっていうのに、何で国の言う事を聞いて旅立つのかって?

 それは、うちの天使ちゃんに「にーにぃ、がんばってねぇ(はぁと)」なんて、キュートな笑顔で言われてみなさいな。そりゃもう、張り切って魔王討伐に行くしかないじゃないか!!

 こんな天使ちゃんに逆らえようか。いや誰もおるまい。(反語)


~ ~ ~ ~ ~


 旅を始めて数ヶ月、勇者達はとある村に襲い掛かってきた魔物共と戦っていた。

 魔物というのは、特に知能を持っておらず、生ある物を獲物として狙い襲い掛かってくる。その魔物は、誰もが持つ負の心から生まれる禍々しい魔力、瘴気が集まり、具現化したものと言われている。


「グルアアアアァァッ!!」

「ぐああぁっ!?」

「リオっ!? ちっと、下がってろっ! 姫様っ、回復を頼むっ! おらあああぁぁっ!!」

「はいっ! リオ様っ、大丈夫ですかっ!」

「ぐぅっ、すまない……ラグの奴、一人じゃ任せてられねぇ。早く頼む!」

「はいっ! 海よ、空よ、大地よ、満ちたる命の躍動よ、汝の傷を癒した給え! 【治癒】(ヒール)!」

「……よしっ! 行くぞっ!!」


~ 勇者のキモチ ~


 とか言っちゃってー、回復魔法も良いんだか悪いんだか、よく分かんなくなってきましたよー。

 だってさぁ、回復するじゃん? 前線に出て魔物と戦うじゃん? 怪我するじゃん? んでまた回復するじゃん? 怪我するじゃん……それの繰り返し。せっかく回復して怪我も塞がってるのに、すぐ怪我する為に戦うって、ねぇ。


 まぁ、今は回復魔法があるからいいけどさ、冒険し始めの時なんて、魔力もそんなに無いもんだから、メインは薬草だよ、薬草。

 薬草もぐもぐ、まずいー、もういっちょー、みたいな?


 次の街に着くまでに怪我しまくったが為に、薬草でお腹いっぱいになった時は絶望しかありませんよ。

 街について、久しぶりのお風呂と屋根のある部屋のベッド。そして、美味しい料理……のはずが、薬草でお腹一杯だから食べる気がおきないとかね。

 目の前においしそうな食事が並べられているのにですよ?

 美味しそうな料理いっぱーい。でも、お腹いっぱーい。しかも、口の中は草の匂いしかしなーい。とかねぇ、泣けてこない?


 あ、ちなみに姫様は、目の前で遠慮なく平らげてくれましたよ。それはもう、とぉぉぉっっっても、美味しそうにねっ!

 ……絶対、この姫様ドSだわ。


 あー、それにしても、回復魔法中毒とかあったらどうしよう。そんなもんがあったら、マジ滅入るわー。

 普通の畑仕事に戻りたーい。うちで飼ってた、乳牛のミルクとクリームは元気かなぁ?


 そういえばサラ姫様だって、凄い武器持ってんじゃねぇか。たまには、前に出て戦ってほしいもんだよなー。

 ってか、姫様が持つ武器っていうのが、棘つきの鉄球ってどうよ?

 神の教えだとかで、剣とか槍とか刃がある武器は駄目らしいんだけど……見た目ゴツい鈍器って、ねぇ?

 美少女がゴツい鈍器を振り回すのは、狂気の沙汰としか思えんよ。


 それに、姫様が戦った後って、かなり無残な光景なんだよねー。

 血とか肉とかがブッシャーだよ? 世が世だったら、放送禁止だよね。 


 ……姫様と目が合った瞬間、ニヤッとしやがった。

 コワッ!?


~ ~ ~ ~ ~


「ロッサ・グラキエスタよ。そなたの努力は結ばれたようです。あなたは、賢者としての道を進む事が可能となりますが、その覚悟はございますでしょうか?」

「はい。」

「それでは、祈りなさい……メルクリウス様、この者の道を示しください!」


 片膝をつき、祈りを捧げるローサの姿が淡く白い光に包まれた。

 どうやら、クラスチェンジが無事に終わったようだ。


「おめでとう、ローサ。」

「うむ。ありがとう、勇者殿。」

「これで、ローサもハイクラスになったってわけだな。やったな。」

「そうね。これで、皆ハイクラスになったってわけね。」

「ちょっ、おい……。」

「あぁ、勇者殿は違ったのう。勇者というクラスはそれ以上も、それ以下もないのじゃ。仕方あるまいて。」


~ 勇者のキモチ ~


 クラスチェンジかー。羨ましいなぁー。

 ローサの奴は、今までの努力が実を結び、魔導師の上位クラスである賢者になれるという事で、皆で職業の神である、メルクリウス様を祭る神殿に来ている。


 ……あ、俺? 俺は、ローサの言う通り、勇者で終わりらしいよ。その前も無く、その後もございません。


 今時、クラスチェンジできないとか無くない?

 皆、クラスチェンジしちゃってさぁー、俺だけそのままって。

 俺だけ、成長していないみたいじゃん?

 俺だって、ボーヤのままではいられないのですよ。


 それにしてもローサの奴め、自分がクラスチェンジできたからって。

 何だ、あの上から目線は? ったく、偉そうにしやがって。


 知恵や知識は大量に詰め込んだっていうのに、胸には何も詰め込めなかったくせに……いや、そうだ! あそこには、絶望が詰まっているのだ!


 流石、ムーネータイラー国の王女だ……やべっ!? こっち見た。

 しかも、あの視線……何だ、あの殺意はっ? オラ、こんなすっげぇ殺意感じた事ねぇぞ。


 何なんでしょう。ウチのパーティの女性達は心の中を読めるのだろうか?


 何故か知らないけど、寒気が止まらないぜ!

 今すぐ逃げ出したいわー。


~ ~ ~ ~ ~


「――ふむ。どうやら、モーリエの港町まで戻らねばな【光の雫】を作れぬようじゃのう。」

「うーん、じゃあ仕方無いわね。リオ様、【転送方陣】(ポイントワープ)お願いできるかしら?」

「急いで戻っても、素材って直ぐに集まるのか?」

「そうじゃのう……あやつから送られた魔導郵便(メール)によると、商会からは取り寄せるのに5日程度は掛かるらしいのう。」

「そっか。それなら、港町までゆっくり戻っても……。」

「「えぇーーーっ!?」」


 女性陣2人からは、否定的な声が上がった。


「リオ様。私は、早くお風呂に入りたいわ! もう10日もお風呂のある宿屋に泊まってないんですよっ! もう、限界だわっ!」

「私も同じ意見じゃ。お風呂もそうじゃが、そろそろ甘味の欲求が収まらぬのじゃ。」

「おぉ、そうだそうだ。リオ、俺もケーキ食いたいぞ! 今すぐ!」


 三種三様、それぞれ意見を申し立てつつ、勇者にジリジリと迫り寄る。


「……はぁ。」


~ 勇者のキモチ ~


 それにしても、【転送方陣】(ポイントワープ)の魔法考えた奴って誰だよ……って、ご先祖様だよ!

 いや、便利ですよ? 急いでいる時なんて、とても助かってます……特に女性陣が。ほら、トイレとか……ゲフン、ゲフン! 言わせんなよ。

 凄ぇ便利なんですけど、たまにはのんびり景色を眺めながら旅したいなぁー、なんて思うじゃん?


 うん、言いたい事は分かるよ。魔王の居る所へ向かって、旅をしてるじゃないかって事でしょ?

 たださぁ、この旅ってかなり殺気だってるわけですよ。

 いつ、どこから、見た事も無い魔物が襲いかかるか分からないんだもの。景色眺めて、なんて暢気に旅が出来るわけないじゃん。


 ただ、今まで行った場所へ戻るという事なら、大分余裕が出来るわけですよ。薬草でお腹一杯になる事も無いわけですよ。


 まぁとりあえず、雰囲気的に使わないとダメみたいな感じになってるしね。はいはい、【転送方陣】(ポイントワープ)ねぇー。使いますよ、使いますよっと……。


~ ~ ~ ~ ~


 旅立ってから1年程度は経ったであろうか? しかし、その旅も終焉に近づいていた。

 それは、旅の目的地でもある魔王城に辿り着いたからだ。ここに、諸悪の根源たる魔王が待ち構えている。

 その魔王との決着を付ける為、勇者達は魔王城へと乗り込んだ。


「――お前が魔王か?」

「そうだ。それにしても、随分と遅かったではないか。

 お前達が来るのは分かっていたぞ。勇者などと呼ばれる矮小の存在たる人間よ。」

「矮小、か。確かにそうかもしれないが、そう言っていられるのも今のうちさ。」

「はっ、ほざきよるわ! ならば力を見せてみよ!」

「そのつもりさ! 皆っ!!」


「分かってるわっ! 四天王は私達に任せてっ!!」


「ほぅ、お前等だけで我等を止めるか。」

「オーホッホ、身の程知りなさい!」


「身の程のぅ……その言葉、そのまま返してやろうぞ。」

「行くぜぇっ! リオっ! 魔王は任せたぞっ!!」


「来るがよいっ! ワシの筋肉で受け止めてやろうぞっ!!」

「……お前は、魔法を使えよ。」


 そう言って、姫様達は魔族の四天王と切り結び、勇者は魔王に対して斬り掛かり、魔王の持っている杖と鍔迫り合い状態となった。


~ 二人の内緒話 ~


 勇者と魔王は、皆には聞こえないような声量で話し合う。


「待ってたよぉ、リオきゅん。」

「ちょっ、リオきゅんって。それにしても、本当に魔王城の玉座の間で待っててくれたんだね。」

「えーっ、ちゃんとメールしたじゃーん。信じてくれてなかったのぉー?」

「いや、そういう訳じゃ無いんだけどさ……いや、それにしても、シューちゃんから始めて受け取ったメールのタイトルさぁ、あれは無いわぁー。」


 初めて魔王のヴィシュー・ソル・オスクリーダから受け取った魔導郵便(メール)のタイトルは、こんなんだった。


「人恋しくて寂しい魔王ちゃん 275歳より」


 ……って、スパムメールかよっ!? っていうか年齢何これっ!!


 最初はタイトルを見た通り、タチの悪い悪戯だと思っていた……けど、魔導郵便(メール)は普通の手紙と違い、魔力が干渉しているメールだという事だ。そのメールから漂う魔力は、今まで味わった事の無い程の桁外れの魔力だった。

 これは間違いなく悪戯じゃないと思って、俺はメールの中身を見てみた!


「メールでは初めまして、勇者きゅん。私、魔王やってるヴィシュー・ソル・オスクリーダっていうの。シューちゃんって呼んでね(はぁと)。早速なんだけど、もっとお話したいから連絡ちょうだい。

 アドレス:……」


「やっぱスパムじゃねーかっ!」


 って突っ込んだのも懐かしい話だ……そんな怪しさ満載のメールから始まったんだけど、どういうわけかメル友になっちゃったんだ。


 え? 何でメル友になったかって?

 べ、別に、メールに添付された魔導写真に写ってた顔が、好みドストライクだったってわけじゃないんだからねっ!


 ……調子に乗りました。ごめんなさい。


 まぁ、そんなこんなで、シューちゃんも、巻き込まれちゃった形だし、戦争なんてしたくなかったっていう話をしたり、血筋の所為で魔王にならなくちゃいけなかった、なんて俺と同じような境遇に共感しちゃったり、シューちゃん可愛いかったりして、何かほっとけなくなっちゃったんだよねー。


 で、そろそろ魔王城に着くって事で、ご対面して戦う振りして、お話しようって事になっているわけですわ。


「最初は、2人だけで逃げちゃおうかと思ってたんだけどさ、皆とも短いなりに情が移っちゃってね。

 出来れば、皆にも俺達の考えを聞いてもらおうかなぁ、と思ってるんだよ。」

「そうだね。私達だけ逃げて、皆に面倒事だけお願いするのも可哀想だしね。

 よし、もうぶっちゃけちゃおう。」


~ ~ ~ ~ ~


 勇者と魔王が切り結ぶ事数回、2人の動きが急に止まる。


「どうしたんだ!? リオ、何があった?」

「魔王様っ!? どうかされましたかっ!?」


「うん。ちょっと皆に聞いて欲しい事があるの。」

「実はさぁ、俺も、魔王であるこいつも、本当は勇者とか魔王とかになりたかった訳じゃなくてさ……というよりも、はっきり言って、もう争いたくもないんだよ。

 血筋で、勇者、魔王、ってなってるけどさ、俺としては、シューちゃんとは仲良くしたいんだ。」

「そうなの。私もリオきゅんと争いたくないの。」


「何だ。そのような事でしたか。」

「それは……。」

「「「「「「丁度良かった(わ)。」」」」」」


 俺とシューちゃんは、皆の言葉を理解できず、時間が止まったかのうに動きを止めてしまった。


「「へ?」」


「実は、アタシ達も魔王様と同じで、お姫様達と交流を深めていたのよん。」

「そうなのじゃ。魔族の方達も我等と同様なのじゃ。例えば、人里を襲い掛かるような魔物というのは、どちらの国でも同じで、討伐対象として刈っているそうじゃ。

 知能も無く、ただ己の欲望のままに襲い掛かってくるような魔物というのは、魔族とはまったく関係ない存在なのじゃよ。」

「そうなのだ! 我々も人族、獣人族、精霊族の方達と交流を深めたいと思っていたのですぞっ! ハッ!」

「……だから、おめぇはいちいちポージングしてんじゃねぇよ。」


「まぁ、そういう事なのよ。本当なら争う必要なんて無かったのよ。それなのにウチのパパは、強欲な貴族達に上手く乗せられちゃって、魔族領地欲しさに争い出しちゃったってわけよ。

 それにしても、流石魔王様と勇者様ね。そういう意見に辿り着いてくれて、本当に良かったわ。」


「あ、そうなんだ……あれ? じゃあさ……。」

「私とリオきゅんが隠れてやっていた、魔導郵便(メール)のやり取りって……。」


「「「「「「知ってました(わ)。」」」」」」

「え? 勇者達もそんな事してたのか? マジで!?」


 あ、バカ一人発見。

 流石、戦闘バカのラグ。安定のアホっぷりをありがとう。


「……ったく、ラグは空気読めないわねぇ。」

「本当じゃのう。」

「えっ!? 俺、何かしたかっ!?」

「まぁいいわ。それじゃリオ様、皆で転送方陣(ポイントワープ)で王城に行ってみましょ。」


「……はーい。」


~ ~ ~ ~ ~


「おぉっ!? 勇者よ、わが娘よ、よくぞ戻っ……た?」

「はい、どうも。勇者でーす。」

「ただいま、パパ。あ、そうそう、紹介するね。こちらが、パパや貴族の皆様が討伐して領地をせしめようしていた魔族の国を治める魔王様でーす。」

「ひ、姫様っ! なぜ、このような……? ひっ!?」


 姫様は黙って、公爵に棘付き鉄球棍棒を突き付ける。


「まったく、あなた達が余計な事さえしなければ、争い事も無く暮らせたというのに……。」

「ひっ、ひめ、さま。一体、何……。」

「公爵閣下と近衛騎士団長がグルだったんですってねぇ? ちゃんと証拠も押さえてますのよ? 領民を魔族領の境目に押し込んで、あたかも魔族が襲ってきたように殺したそうね。」

「そっ、そんな事は……。」

「だから、証拠は押さえてるって言ってるでしょ。影! 押さえた書類や映像魔石をパパに渡して。」

「ハッ!」


 おぉっ!? いつの間にこんな間諜使ってたの?


「えぇ、魔族側も過激派の者が一人で突っ走ったようですな。人族の策略に乗じて、魔王様の名を騙り、連合国側に襲いかかった模様です。」

「あ、ちなみにコイツよん。」


 美魔女の|四天王|(軍略王シュラヴァナ)が放り出したのは、荒縄で亀甲縛りにして、更に手足も背中に締め上げられた魔族だった。その容姿は中年っぽい。


 あれ? おかしいな? コイツ顔を紅潮させて、「ハァハァ」言ってるぞ?

 それに、「もっと、この卑しき豚にお仕置きを下さいませ。」なんて言ってるような……幻聴だ。聞こえない、聞こえない。


 いやぁ、それにしても皆、俺達の知らない間に何やってんの? ってか、姫様って凄いなぁー、ドSで腹黒って……って、殺気を込めてこっち見んな。


「で、パパ。これから、どうするの?」

「……うむ。儂の目や考えも濁っていたようだ。儂は、ここで退いた方が良いのだろうな。10日後、サラサを女王として戴冠式を迎えると同時に、オスクリーダ王国との和解を発表しよう。そして、今後はルスティエラ連合会議は、オスクリーダ王国の王も交えるようにしよう。」

「ま、そんな所かしらね。どうかしら? タラーシュ様、魔王さん。」


 タラーシュ様?

 ……あぁ、そういう事ね。このお姫様を射止めたのは、四天王の騎士王タラーシュさんだったって事かぁ。

 うちのお姫様、ドSだけど大丈夫かなぁ? あの愛を受け止めるのは骨が折れそう……いや、砕けそうだよね。頑張ってね、タラーシュさん。


 それにしても、魔王よりも先に名前出して良いんか? 不敬罪とか無いのかなぁ? っていうか、今、俺達が王様達にやっている事自体が、不敬罪みたいなもんか。


 何か、最終的にクーデターになっちまったな……。


~ ~ ~ ~ ~


 最後は流される感じになっちゃったけれど、魔族とも仲直りできたし。

 何よりも、これから先、魔王ちゃんと誰の目を気にする事無く、二人の仲を育む事が出来るんだ。それで良しとするか。


「じゃ、デートでもしよっか。俺の生まれた街を案内するよ、魔王ちゃん。」

「うん! リオきゅんの生まれ育った場所を見たーい。」

「……シューちゃん。「きゅん」は、止めてほしいかなぁ……。」

「えー、いいじゃーん! で、どこがお薦めなの?」

「そうだなぁ……まずは、うちの家族を紹介しようかな。ウチの天使ちゃんが……。」


 ま、こんなのもアリだよね。

○キャラ設定

連合国チーム

 勇者:ヘリオス・ウェルスム

  イケメン、若干女難の相あり


 僧侶(姫):サラサ・ウラノス・ルスティエラ

  美少女、ドS、撲殺大好き


 魔導師:ロッサ・グラキエスタ

  精霊族、美人、スタイル良し、胸は残念


 戦士(騎士):ラグラーン・トゥルエノ

  虎人族、突撃バカ、脳筋


魔族国チーム

 魔王:ヴィシュー・ソル・オスクリーダ

  かわいい、ゆるふわ系、威嚇の為に幻覚で怖いおっさんの姿を演じる


四天王

 騎士王:タラーシュ

  イケメン、気が強そう(隠れドM)


 拳闘王:ヴィルーダ

  ナイスガイ、マッチョ、こっちのマッチョは頭が切れる


 軍略王:シュラヴァナ

  美魔女、かわいい男の子大好き、おばさんは禁句


 魔導王:ルー・パークシャ

  何故か誰よりもマッスル、でも魔法使い、

  でも魔法を使わないのがジャスティスw

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