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21.すれ違い

神林と距離を置くようになってからはや一ヶ月。

瀧の他人行儀はまだ続き、神林もそれに負けじと何かとしつこく話し掛けていたが、何の進展も見られなかった。

が、この二人だけの間だけに起こっていることなので、学校でその話題を出す人は少なかった。

もちろん二人とも告白される回数は以前とは比較にならないぐらい多くなったが、それ以外は特に変わってはいなかった。

この間に起きた瀧の変化と言えば、今までの残っていた男っぽさが消え、どこから誰が見ても一瞬目を奪われるような、女になった事だった。

ほかにもうひとつある。

中沢隼人に告白を受けたことだ。

ほかの人の告白はその場で断っているのだが、神林に似た中沢君の告白だけは保留にして貰っていた。

断らなければいけないことはよくわかっている。

中沢君を見ている訳ではなく、瀧は中沢君を通して神林を見ているのだから。

それは中沢君にとても失礼なことだとわかっていた。

が、結局断ることは出来なかった。

自分の中にすっかり根付いた感情の深さを再確認する。

「タ〜キ〜♪今日デートだって?」

「なっ…!?違っ…!…付き合ってる訳じゃないんだから…!」

「照れちゃって♪」

「里奈っ!!」

真っ赤になって言い訳がましくしている瀧を見て、里奈がほくそ笑む。

出掛けるのは本当だった。

中沢君に買い物に誘われて、放課後に制服のまま落ち合うことになっている。

「付き合っちゃえばいいのに♪」

里奈が私の前に座る神林を意識して言っていることは充分にわかっている。

が、まだそれを平気で流せるほど心の整理はついていない。

「…ちょっと…ね」

「付き合ったら教えてよ♪」

「わかったってば…」

里奈が殊更神林を槍玉に上げるが、里奈達がいるときには神林は何も言っては来なかった。

放課後すぐに教室を出ようと急いでると、神林が後ろの席の私を振り返る。

「バスケ、付き合ってくれよな?」

「…里奈達との話し聞いてたでしょ?約束があるから。他の人に当たって」

視線を合わさずにそういうと、瀧はさっさと席を立った。

「時間空いたら連絡くれ」

後ろから聞こえる声を無視して、瀧は学校をあとにした。


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