もう仕事なんてしない!
クリスマス。それはたまたまタイミング悪く生まれたら崇められてしまい、病気を治して回ったら腐れ権力者に磔にされたとある男性の誕生日。
クリスマス。それは様々な企業がセールとかいいつつ実際は普段より高い値で売っていたりして、どうせなら無料プレゼントしろよ、とか思う日。
クリスマス。それは某所に住む赤服白髭のオッサンが年に一度働く時期……
☆☆☆☆☆☆☆
「今年も寒いな。」
「そうですね~。あ、ミカン取って下さい。」
「ん。」
「どうも~。」
小さな部屋で2人の人が炬燵に入りながら喋っている。いや、厳密には1人と1匹なのか。なぜならそこにいるのは…
「ところでサンタさん?」
「なんだ?トナカイ?」
「いや、もう24日だなぁ~って。」
そう、炬燵で寛いでいるのはサンタとトナカイなのだ。北欧だとか北極だとかに住んでいるとされる彼らが何故炬燵でミカンを食べているのかは分からないがそうなってるものは仕方がない。そして今日は月は12。日は24。世間ではクリスマスイブと言われている。
「それがどうかしたのか?」
「…いや、サンタさん。24日ですよ?24日ですよ!?もう夜ですよ!?普段働かない貴方が年に一度働く貴重な日でしょうが!!!」
「…あぁ。なぁ、トナカイ。」
「何ですか!?」
「俺さ、もうかれこれ四千年くらい働いてるじゃん?」
「いや、三千と十三年ですけどね。」
「細かいとこはいいのさ。それで俺思ったのよ。普段は子供たちをストーカーして欲しいもの調べてさ、それをもとに業者から仕入れたり自分で作ってさ、最終的に配るわけだけど…たまには休んでもいいんじゃないかって。大体見返りも報酬もない訳だからタダ働きじゃん!三千年のタダ働き!もう休むしかない!!」
「言われてみれば一理ありますね。確かに私も春は毛並みを整えて繁殖して、夏にはたらふく食べ、秋には減量と子育てに終追われ、そして冬にあなたのソリを引っ張って紅白見ながら蕎麦食べるのを繰り返してきましたからね~。」
「いや働けよ!?てゆうか繁殖って何!?それ聞いてない!?」
「ほら、サーシャちゃんいるでしょ?」
「…あぁ、トナカイ♀?」
「そうそう。そのサーシャちゃんと二千年くらい前に思ったわけですよ~。ヒマだなーって。」
「…で?」
「で色々話し合う内に赤ちゃん欲しいねってなって作ったんですよ~。」
「ずいぶん簡単に言うな!」
「あれは雪降る十一月の夜でした。彼女といい感じのムードになった私はおもむろに彼女を押したお…。」
「ストップ!ストップ!!それ以上言うとR⑮入っちゃうから!お茶の間にお届けできないから!」
「うわー、必死ですね~。さすがは三千年独身&童貞を貫いた男~。」
「もうやめて泣きそう…。」
「で、たまにはサボりたいんでしたっけ?」
「そう言われると見も蓋もないんだが、まぁそうだな。」
「偉そうに言わないで下さいよ~。でも確かに一回くらいサボってもバチは当たらなさそうですしね~。」
「というわけで今年はパス。…ほら、お前がグダグダ惚気てる間に餅焼けたぞ。」
「わ~い!僕が醤油で~、サーシャちゃんはきな粉だよね?」
「はい!」
「分かったからちょっとまっ…っていいつの間にいたの!?」
「サンタさんコンニチワ!いつもニコニコトナカイの隣に寄りそ…。」
「ちょっまっ!それ以上はだめぇぇぇぇぇ!」
一人と二匹が仲良くふざけ合い、夜が明ける頃、世界中では大変な騒ぎが起きていた。
「お父さん!私のプレゼントがない!」
「L'imbécile du Père Noël!(サンタさんの馬鹿!)」
「あんなにいい子にしてたのに!!」
「Gib mir gib mir ein Geschenk geben mir!(頂戴頂戴プレゼント頂戴!)」
「我现在在哪里!?(私のプレゼントは!?)」
「Give me my present son of a bitch!!(プレゼントよこせ糞野郎!!)」
『突然ですが緊急ニュースです!世界中でサンタさんがプレゼントを配らないという事件が起こりました。子供たちは泣き叫び大人たちは戸惑い、街は怒りと困惑で溢れ返っています!また、一部の国ではサンタさんの住所と思しきところに直接乗り込み武力行使に出ようというところもある模様です…追加の速報が入りました!国連では緊急会議が開かれ各国首脳陣による話し合いが行われていました。その結果、今回の事態を重く受け止め、世界中の子供たちから手紙を集めてサンタさんの家に贈ることとなった模様で…ぇ?たた大変です!〇国がサンタさんの家らしきところにミサイルを撃ち込むと発表しました!中〇の発表に対して各国政府は必死に中止撤回を求めています!もうサンタさんどうにかしてーーー!!!!!』
「…ねぇサンタさん。今からじゃ遅いかも知れないけど…行かない?」
「…(プルプル)」
「サンタさん…?」
「プレゼントなんて親が買ってやれよ!もう俺ヤダよ!もう仕事なんてしない!!」
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!!」
こうしていつしかクリスマスのプレゼントは親がこっそり買うようになったのでしたとさ。
皆さんお久しぶりです蓮城です。昨日投稿するはずがいつのまにかずれていました。これがきっとクリスマスマジック…はいすいませんでした!(土下座)
長編の方も出来るだけ更新していきますのでよろしくお願いいたします。