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閑話 ご主人様から見たわんことにゃんこ そのはち

 

膝をついて畳の上にカードを置き、両手を添えて襖をスーッと引き開けようとした。けれども襖はガタガタと途中で引っ掛かってしまって、強引に引っ張って開ける羽目になった。

長年の開閉ですっかり襖の滑りが悪くなっているな……と、カルロスはぼんやりと考え、自らの思考にふと疑問を覚えた。


待て。

俺は一度も、『フスマ』なんて物には触った事も無いぞ。


その自問と共に、先ほどまでは渾然としていた思考がゆるりと剥離していく感覚を覚える。


……ああ、そうか。

これはいつもの、ユーリが見ている過去夢か。


カルロスの第一のしもべであるシャルは、精神壁を構築するのも得意であり、主人といえども覗こうと意識しなくては彼の思考は読めない。

しかし、第二のしもべたるユーリの方は全く何の備えも無い状態である為、平時から彼女の思考は常に主人へ向けて全解放。

カルロスとユーリ、両者が起きている時には適当に加減した精神壁を構築してやれるし、せめてユーリだけでも起きていればこんな夢は見ないのだが……2人揃って同じ時間に眠っている時には。

意識が混じり合って、お互いが別個の存在だという感覚が薄くなり、カルロスがかつて体験などした事も無い出来事を、あたかも過去の実体験であるかのように、当たり前のように感じながら。時折こうして、ユーリが見ている夢を共に見てしまう羽目になるのだ。


ただ幸いな事に、カルロスの生きる世界とユーリの生きる世界では、ありとあらゆるモノがあまりにもかけ離れている為に、大抵すぐに、カルロスの自我が『なんだこりゃ?』と違和感を覚え、それがきっかけになってユーリ自身の自我は勝手に離れていく。少なくともこれまでは意識の境が完全に曖昧になる事も無く、こんな夢を見たからといってもさしたる疲労感も無く、目覚めた後への影響は皆無である。


そして、起きている時のユーリのダダ漏れ思考から察するに、どうやらこの現象を彼女は自覚していないらしい。

カルロスは現在他人の夢に勝手に入り込んでいる訳だが、決して意図的に潜り込んでいる訳ではない。

いわばユーリの思考を強制的に送りつけられているようなもので、どちらが悪いという事でもないのだが非常に厄介な現象である。


夢の中で、過去のユーリの身体と全く同じ視点、心で夢の世界を眺めていたカルロスだったが、意識が剥離したのを切欠に、彼女の思考と自分の思考に明確な区切りが出来る。ユーリの視覚と聴覚を借りて、彼女の現在の状況や情報を得ようとしている時のように。


(……襖、ガタガタだけど、引っ越すんだし、別にいっか)


ユーリは一度立ち上がって玄関に向かい、靴箱の上に何気なく置かれていた金属的で不思議な輝きを放つ手のひらサイズの細長く円柱状の物を手に取った。しかし、金属だとしたら異様に軽い。


ユーリ、それは何だ?


文字通り夢現をさ迷っている彼女の意識を、覚醒させない程度にカルロスが静かに疑問符を投げかけると、


(制汗スプレー。襖のレールにこれ吹きかけると、滑りが良くなる)


ユーリ以外に存在しない筈の空間で、別の人物からの問い掛けがあった事を不審に思うでもなく、いつものように彼女はスラスラとカルロスの些細な疑問に回答する。

こんな風に問答を交えしつこく語り掛けると、夢を見ているユーリの意識は覚醒へと向かってゆき、彼女の夢に介在していたカルロスは逆に深い眠りに就いてしまう。

今夜のところは別段悪夢という雰囲気でもなさそうであるし、無駄に惰眠を貪る訳にもいかないので、カルロスはなるべく静かにユーリの夢を傍観する事にした。


ユーリは再び襖の前に戻ると、制汗スプレーをレールに軽く吹き付け、劇的に滑りの良くなったそれを引き開けて、押し入れの中から箱を取り出した。またもや金属的な輝きを放つ一抱えほどのそれは、ユーリ曰く(昔、お菓子が入っていた箱)らしい。

躊躇なく蓋を持ち上げて傍らに置き、中身を取り出す。恐ろしく精密な人物画……写真、という手触りはツルリとしている絵と、こちらは水彩画のような絵と共に文字が書かれたカード。


(うた……)


うた?


(五七五七七の形式で詠う、和歌。何千年も前から受け継がれてる。

お母さん、歌とつくものならなんでも好きだった)


ほー……?


カルロスとしては、ユーリの故郷の古式ゆかしい文化よりもむしろ、あの精密な絵がどうやって描かれているのかの具体的な方法の方が気になる。とはいえ、今ここでカルロスがユーリの記憶から写した知識を強く思い出そうとすると、これまた強制的に彼女を覚醒へと導く結果となるので、あくまでもぼんやりと眺めるのが最良だ。

彼はただ、しもべが見ている夢に予定外に紛れ込んだだけなのだから。


箱に収められていたのは、その和歌とやらが書かれていたカードと写真が一枚ずつだけらしい。

ユーリはカードを持ち上げて、じっと見つめる。


(小倉百人一首、第77番。崇徳院のうた。

『瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の われてもすゑ あはむとぞ思ふ』)


……意味が分からん。


ユーリの故郷の言語知識は現地人並みに保有するカルロスであるが、流石に写した大本であるユーリが古典をスラスラと解するほど深い見識を持ち合わせていなければ、彼とて即座には理解出来ない。


(お母さんがずっと持ってたうた。小倉百人一首の残り99枚は……どこにあるんだろう?)


ユーリはそんな疑問を抱きながら、写真の方に目を落とした。


彼女の内心の声によると、写真に描かれている女性はユーリの母であるらしい。そして母親の腕の中に、産まれて間もない頃のユーリらしき赤ん坊が抱かれている。


……ん?


これ幸いと、彼の世界には無い技術である写真を好奇心から眺めていたカルロスは、写真の中のユーリの母・チカの右手のすぐ隣に、寄り添うように並んで描かれている人物が存在している事に気が付いた。

肖像画だとしたら不思議な事だが、その謎の人物はチカと肘が重なるようにして描かれているが……肝心の姿形は無く、その腕と肘部分しか描かれていない。


一瞬、チカが写真の中で右側に異様に寄っているせいか……と考えたカルロスは、写真を飾る白い枠が右端には無い事に気が付いた。

つまりこの写真はチカとユーリ、そして少なくとももう一人誰かが一緒に描かれていたのだが、それが真っ二つに裂かれた片方、という事になる。

 

しかし、この謎の人物の腕の形……チカと同じように、もしかしたらコイツも並んで子供抱いてんじゃねえか?


消えた写真の右半分は箱の中には見当たらないし、ユーリもその行方をかねてから不審に思っているようだった。くるりと写真をひっくり返すと、そこにも文字が書かれている。


『寸 深郷 悠里

  佳 路琉 9/20』


ユーリの名前が書かれているから、やはり写真の赤ん坊はユーリなのだろう。

左端の文字は丁度裂かれた部分ギリギリに書かれており、右の文字に比べて随分長細い。この一文は半分に分かたれる前に書き込まれていて、行方不明の片方を合わせれば意味の分かる言葉になるのだろうか。


ユーリは半分の写真と和歌カードを箱に戻し、脇に置いていた一枚のカードを取り上げた。そこにもやはり、ユーリ曰くの和歌が書き込まれている。


『艶やかな 薄紅の紗 焼き付けん 安土に眠る 久遠の桜』


しかし、そちらのうたの意味は不思議とすんなりカルロスの頭の中に入ってきた。


『空を覆うほど美しい桜の花が咲き乱れるたびに、綺麗な薄紅色の着物を身に纏ったあなたの姿が、今でも私の瞼に思い出されます。今、あなたは土の下で安らかに眠っておられる事でしょう。

永遠に私の心の中で咲き続けて欲しい。これからもずっとあなたを忘れません』


(私が作ったうた、下手だけど……お母さんは和歌が好きだったから、この箱に一緒に仕舞っておくの)


そうか……お前が一生懸命考えたうただから、意味が頭の中に入ってきたんだな、ユーリ。

しかし、31文字ですげー長い意味になるんだな『ワカ』ってのは。


自作のうたを書き込んだカードを撫でる、ユーリの細い指先を目で追っていたカルロスは、最後の文節に目を留めた。


意味は、永遠。

読み方は『クオン』?


カルロスがユーリ作のうたに気を取られている間にも、彼女はカードを箱の中に入れて蓋を被せる。


「瀬をはやみ、岩にせかるる滝川の……」


(川の流れが速いので、岩にせき止められ分かたれた急流がまた一つになるように、あの人と今は別れても将来はきっと再び逢おう)


ユーリの思考が、母が大事にしていたという和歌に集中し始めたらしく、カルロスの頭の中にも謎の古語によるうたの、だいたいの大意が流れ込んできた。


さっきの『ワカ』の意味か。

……後半は俺がガキの頃に、ユーリに言った言葉にどこか似てるな。


遥か昔の異世界でも、出会いと別れがあったものなんだな……と、ぼんやりと考えているカルロスの周囲の世界が、徐々に白っぽく塗り替えられてゆく。どうやら、ユーリが自然に目を覚ます刻限が近付いてきているらしい。

夢の中のユーリは、元通り箱を押し入れに仕舞って……襖を閉じようと、添えた両手をスーッと静かに動かしてゆく。それに伴い、明快な自分の意識というものが曖昧になりつつある。

トン、という襖が閉じられる小さく軽い音と共に、カルロスもまた完全に彼女の夢の世界から乖離してゆく感覚を覚えた。



「マスター、もう朝ですよ。そろそろ起きて下さいマスター」

「ん~……」


ゆっさゆっさ、と乱暴に肩を揺さぶられる感覚に、カルロスは自分を起こそうとしている相手を振り払うように腕を振り上げて寝返りを打った。


「後輩のお嬢さん方が、マスターに相談されたいとドアの前で待っていらっしゃるのですから、いい加減観念して下さい」

「……今日は先約がある……あいつらの相談にはお前が乗れ、シャル。精油は持って来てるだろ……」


それでも遠慮容赦無く、カルロスの頭の下からグイッと枕を抜き取るしもべに、彼は両目を閉じたまま片手を持ち上げて軽く振って指示とした。

連盟の後輩達……特に年若い少女達は、調香師であるカルロスが持ち歩いている様々な花から抽出した精油、そのアロマ効果の恩恵を受けたいと、本部滞在中に訪ねてくる事がある。疲労を回復してリラックスするものや、集中力を高める香りが特に人気だ。


「はあ……わたしが出て行くと、こちらは何もしていないのに彼女らの反応は苛められ怯える子ウサギのようで、嫌なんですけどねぇ……」


ボスッと、カルロスの顔面に引き抜いていった枕を叩きつけて、シャルの気配が遠のいていく。

確かに、シャルはカルロスのクォンであると知っている連盟の少女魔術師達相手に彼を向かわせるのは、あまり歓迎されないだろう。だが、今日の『先約相手』の下へ、あのわんこを連れて行く方がよほど具合が悪い。

しばらくゴロゴロと寝返りを打ってから、カルロスはむっくりと起き上がった。

ベッドから下り立ち室内を見回すと、傍らのテーブルの上にはシャルが律儀に用意しておいてくれたらしき服が一揃え。


「さてと。約束の時間までまだ余裕があるが、早めに向かっておくか」


寝癖でぐしゃぐしゃになった髪の毛を無造作にかき上げて、カルロスは軽く眉をしかめた。

もつれにもつれた彼のサラサラな金髪は細く、櫛を入れる際に乱雑に扱うと簡単に千切れる。寝起きに綺麗に整えるのは、非常に面倒くさい代物なのである。


「……しまった。シャルには俺の髪を梳かせてから、後輩対応に向かわせれば良かった……」



普段はしもべに綺麗に整えさせている髪の毛に悪戦苦闘しつつ、朝の支度を調えたカルロスは、朝食もとらずに滞在中の部屋を抜け出した。

窓からうららかに朝日が差し込む本部の塔の内部、広々とした円形の回廊には人影も見当たらず、目の前の吹き抜けを通過してゆく階層昇降移動陣も、誰も使ってはいないようだ。カルロスは足早に移動陣の前に立ち、キーワードを唱える。

目的の部屋は三階下だった筈。


「ダウン・3」


踏み出した足は本来ならば存在しない筈の半透明な床……敢えて言うならば圧縮された空気……を踏みしめて、カルロスの身体は緩やかに下階へ向けて運ばれてゆく。そしてその途中、


「あ」

「ああっ!?」


ふと隣の上昇用移動陣の起動気配を感じて、何気なく下へと視線を向けたカルロスは、同期のフード好き魔術師とバッチリ目が合ってしまった。

お互い、驚きから思わず声を漏らす間にも、それぞれの上昇・下降移動は止まらない。


「よー、アティリオ。こんな朝から会うとは気が合うな」

「待てカルロス! 僕は君に用があって……!」

「ああん? 用つってもなあ……」


そんな短い会話を交わしている間に、アティリオと同じ高度となり、あっという間に距離が開いていく。確か以前にも、似たような経験をした気がする。


目的の階に到着したカルロスは、移動陣出口にひょいっと下り立つと軽く伸びをして、呼び出した主との待ち合わせの部屋に向かうべく歩を進め……


「……カルロス!」


ダカダカダカ! という、とても賑やかな足音を響かせながら、塔の中に設置されてはいるが利用者の少ない螺旋階段を、もの凄い早さで駆け下りてきたアティリオが、息も乱さずにカルロスの名を叫びつつ眼前に立ちはだかった。


「……お前、ほんっと見た目に反して体力も脚力もあるよな~。

朝っぱらから階段下りご苦労さん」

「こちらは用があると言っているのだから、形だけでも迎えに行こうという姿勢ぐらい持て。せめて、僕の到着を待て。

いい年して協調性に欠けているぞ」

「お前の用件なんざ、聞かんでもだいたい分かる」


ビシッと人差し指を突きつけて、朝っぱらから説教をかましてくるアティリオに、カルロスは半ばウンザリしながらアティリオが唇を開くのと同時に言葉を紡いだ。


「ティカはどこだ?」


彼らの台詞は、完璧かつ綺麗に重なった。


「尋ねられると分かっているのなら、僕に一言あってしかるべきだろう」

「なんでだ」


カルロスさんちのにゃんことは何の関係も無い立場である事は明白であるにも関わらず、いかにも要報告こそ自明の理と言いたげに胸を張るアティリオに、カルロスは思わずツッコミを入れていた。

どうやらカルロスの第二のしもべたるユーリは、かねてよりの危惧の通り、時と場合によって良かったり悪かったりなアティリオの癖である、世話焼き根性が大いにそそられる存在であるらしい。

ただし、人間の姿限定で。


「ティカは今、閣下のお屋敷に居る」

「……パヴォド伯爵の屋敷に?

どうしてまた」

「俺んちだけじゃあ、女の子に必要な教養や作法は教えきれんからな。

どっかで行儀見習いにでも行かせてやろうと思ったら、俺の伝手はパヴォド伯爵家ぐらいなもんだ」


一応、まるっきりの嘘という訳でもない。

ユーリをにゃんこ姿のまま伯爵家に預けるのは、こちらの世界の淑女のありようを観察させ、ある程度自力で学んでもらうという目的もある。前回のお泊まりの成果もあってか、予想外なグラシアノとの対面においても、礼を失した態度はとらなかったようだし。


「そうか、レディ・フィデリアの下でなら、確かに学ぶところも多いだろうな」


心配性で思い込みも強い、口うるさいおかんのようなハーフエルフは、人間姿のユーリ長期不在状態について、両腕を組んで納得したように見受けられた。


「もう良いか?

こっちも先約があんだよ。アティリオに構ってる間に、待ち合わせ時間が……」

「先輩」


タンタン、と踵を付けたまま足の爪先だけで床を叩いてカルロスが不機嫌に確認すると、アティリオは首を左右に振った。いったい何の用件だ、後にしてくれと断り文句を叩きつけるよりも早く、カルロスの背後から待ち合わせ人の声が掛けられた。


「ウィリー」

「おはよう、ウィルフレド」


軽い口論に発展しかけた会話はひとまず中断して、カルロスとアティリオは駆け寄ってきた後輩に朝の挨拶を送った。


「おはようございます。カルロス先輩、アティリオ先輩」


カルロスの背中が見え急いでやってきたらしく、控えめな色合いの金髪を肩で揺らし息を切らしているエルフの少年。ウィルフレドこと、愛称はウィリー。

昨日、ウィリーにとっては苦手分野である伝達術を駆使してまで、カルロスに取り急ぎ相談したい事があると連絡を寄越してきた張本人である。


「すみません、約束の時間に遅れましたか?」

「いや、俺が早めに出ただけだ。

つー訳でアティリオ、俺はこれからウィリーと話がある」


カルロスの中で、ウィリーは純血のエルフ族なだけに成長速度が遅く、年齢のわりに背が低いが性格はクソ生意気……という印象だった後輩だが、本部に顔を出さないここ数年間の間で、ウィリー少年も多少は社交性を身につけたらしい。相変わらず背丈の成長はゆっくりなようだが、今の彼は先輩相手にきちんと丁寧語を話し、魔術師のローブ姿もなかなか様になっている。


……よく考えたらコイツ、シャルと同い年なんだよな。

そう考えると、うちのわんこはそこそこ早熟だったって事になるのか?


「……ウィルフレドと? 君が?

兄弟弟子でも任務のパートナーでもないカルロスに、いったい何の用があるんだい、ウィルフレド?

一時的とはいえ、君のバディである僕には話せないような事なのかい?」


本部勤めの魔術師の『奉仕義務』には、大抵複数のメンバーが組んで臨む。情報伝達術が得意なアティリオと、魔術適性が炎である広範囲攻撃型魔術師なウィルフレドは、確かに組む機会も多そうだ。

お節介焼きなアティリオの保護対象には、まだ未成年であるウィリーもバッチリ含まれているらしい。そんな問い掛けをなすのはやや踏み込み過ぎな感もあるが、その穏やかな口調も表情も、ものの見事に人間姿のユーリに向ける『心配性のお兄ちゃん』な態度と同じものだ。


やや腰を屈めてウィリーと視線を合わせ、あくまでも優しく問うアティリオに、まだ年若いエルフ少年はしばし逡巡した様子でチラリと周囲の様子を窺った。

そして、カルロスを見上げて物問いたげな表情を浮かべる。


「カルロス先輩、今日は、あの銀髪の人は……」

「シャルは雑用中。

なるべく一緒じゃない時に話したいんだろ?」


カルロスが安心させるようにウィリーの頭を軽く撫でてやると、躊躇いがちに頷く。


「じゃあ、個人的な事で申し訳ありませんが、アティリオ先輩もご一緒に、こちらへお願いします。お話は、そこで」


ウィリーは魔術実験室のドアを開けて、カルロスとアティリオに入室を促した。



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