#077 「誓いと未来」
夜の街は静かで、街灯に照らされた道を6人の影が並んで伸びていた。
風は少し冷たく、昼間の賑わいが夢のように遠く感じられる。
「……さっきの新郎新婦、幸せそうだったな」
隼人がしみじみと呟いた。
「うん。見てるこっちまで温かくなった」
はるなが笑顔を見せる。
「結婚、か……」
想太はその言葉を繰り返し、無意識に隣のはるなを見た。
はるなも気づき、慌てて視線を逸らす。
「ま、まだ私たちには早いけどね」
その声はどこかぎこちなかった。
「ははっ、顔が真っ赤だぞ」
隼人が茶化すと、美弥が「からかわないの」と冷たく睨んだ。
「……でも、考えちゃうよな」
いちかがぽつりと言った。
「二人で未来を歩くって、どんな感じなんだろう」
要は少し歩みを緩め、仲間たちを見渡した。
「僕たちがこうして自由に歩けるのも、守られているからだ」
「……守られている?」
想太が首をかしげる。
「気づいてないのか」
要は淡々と答える。
「久遠家のSPが、人払いをするように見守っている。僕たちが無事に帰れるのは、そのおかげだ」
「えっ……そうなの?」
いちかが驚きの声を上げ、美弥は静かに頷いた。
「久遠家に生まれた者なら、当然知っていることよ」
「……なるほどな。俺たち、特別扱いされてるんだな」
隼人は頭をかき、少し居心地悪そうに笑った。
「特別、か……」
想太は小さく呟き、心臓の鼓動が速くなるのを感じた。
はるなも同じ気持ちなのか、黙って歩きながら頬を染めている。
「私は……いつか結婚したいな」
いちかが勇気を出して言葉にした。
「大切な人と、今日みたいに笑える未来を持ちたい」
「……いいな、それ」
要は彼女の隣で短く答えた。その声は穏やかで、けれど力強かった。
「結婚って、まだ遠い話だけどさ」
隼人が肩をすくめる。
「でも、今日みたいな式を見たら、悪くないって思った」
「悪くない、ね。あなたにしては上出来な言葉ね」
美弥が皮肉を返すが、その声は優しかった。
夜空には星が滲み、街の光と溶け合って輝いていた。
6人は足を止め、しばし見上げた。
――誓いと未来。
それはまだ形にならないけれど、確かに胸の奥で芽生え始めていた。




