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#055 「開会宣言!」

翌日の朝、校庭にはすでに生徒たちの歓声が響いていた。

昨日の学園祭の余韻が残る中、今度は体育祭の幕が上がろうとしている。


紅白の旗が風にはためき、校庭の中央には入場ゲートが設けられていた。

観覧席には保護者や来賓も集まり、華やかな雰囲気に包まれている。


「なんだか昨日とは違う緊張感があるな……」

想太はジャージ姿で肩を回しながら呟いた。


「でも、これはこれで楽しそう」

はるなは白いハチマキを結びながら微笑む。

その横顔に朝日が差し込み、思わず見惚れてしまう。


「おいおい、こっち見ろって!」

隼人が豪快に手を振り、観客席の方へアピールしていた。

「特別クラス、いよいよお披露目だな」

要は冷静に整列を確認し、いちかは小さくガッツポーズをしている。


「選抜組だからって、注目されすぎじゃない?」

美弥が苦笑すると、周囲からも同じような囁きが聞こえてきた。


「特別クラスだ……」

「昨日のステージ見た? 今日も何かやるのかな」

「期待しちゃうよね」


そんな声に囲まれ、六人は自然と背筋を伸ばした。


やがて太鼓の合図と共に、開会式が始まる。

全校生徒が整列し、司会の声が校庭に響いた。


「本年度、体育祭をここに開会します!」


拍手と歓声が一斉に湧き上がる。

赤組、白組、それぞれが旗を掲げ、応援団の声が飛ぶ。


「がんばるぞー!」

「おーっ!」


地面が震えるような声に、胸の鼓動も高まっていく。


「……始まっちゃったね」

はるなは小さく呟き、隣の想太を見上げた。


「うん。でも、全力でやるさ」

想太はまっすぐ前を向き、拳を握る。

その表情に、はるなはまた胸を熱くした。


次々と名前が呼ばれ、選手宣誓へと移る。

代表生徒の声がマイクから響き渡り、会場全体に熱気をもたらす。


――いよいよ、始まる。


学園祭で高鳴った鼓動が、今度は競技の舞台で試される。

注目の視線にさらされながら、彼らの物語はさらに大きな渦に飲み込まれていく。


「さあ、最初の競技に備えて移動してください!」

アナウンスの声に従い、生徒たちは一斉に動き出す。


「よし、俺たちの見せ場、作ってやろうぜ!」

隼人の声に、全員が思わず笑みを浮かべた。


――こうして、特別クラスの体育祭は開幕した。

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