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#046 「学園祭準備」

「で、学園祭で何をやるか、だよな」

隼人が腕を組み、教室の机をドンと叩いた。


「普通に喫茶店とかでいいんじゃない?」と美弥。

「無難だな」要が頷く。


「いやいや、それじゃ面白くないだろ!」

隼人の目がきらりと光る。

「どうせやるなら――メイド喫茶だ!」


「……は?」

全員の声が揃った。


「何言ってんのよバカじゃないの」美弥が呆れる。

「いや、絶対盛り上がるって! 特別クラスに一般生徒が入れる日なんだからさ!」


彼の勢いに押されるように、話し合いは流れていく。

最終的に――


「……しょうがないわね」

はるなが観念したように肩を落とした。


「よし、決定!」

隼人がガッツポーズ。


その後、役割分担が始まった。

「じゃあ、飾りつけとメニュー決めは――想太とはるな、頼む」


「えっ」

僕とはるなの声が重なる。


「な、なんで私と……」

「他に誰も文句言ってないから決まり」要が淡々と告げる。


「……っ」

はるなは顔を赤くし、机の上を睨んだ。

僕も少し居心地の悪さを覚えつつ、「よろしくな」と口にする。


「べ、別にいいけど!」

そっぽを向いた彼女の声は、いつもより少し高かった。


放課後。

準備のために教室を出た僕たちの前に、黒い影が立ちはだかった。


「今回の担当SPは私です」


サングラスをきらりと光らせ、新人SP君が直立不動で敬礼した。


「あ、また君か」

僕が苦笑すると、彼は真剣に頷く。

「はい。学園祭は人が多く集まりますので、特に警戒を」


「……別に私たち、要人じゃないんだけど」

はるなが小声でぼやく。


「そういうわけにも参りません」

新人SP君は真面目そのもの。


だが次の瞬間、サングラスがずり落ちて、慌てて直す姿に廊下の女子たちがくすくす笑った。


「きゃー! SP君、かっこいい〜!」

「似合う〜!」


「……なんでそっちが人気になるのよ!」

はるなが思わず声を上げ、僕は思わず吹き出してしまった。


こうして、特別クラスの学園祭準備は、にぎやかに幕を開けたのだった。

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