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#039 「いちかの爆弾発言」

昼休みの屋上。

六人はいつものように弁当を広げていた。

けれど今日は、どこか空気が違っていた。


図書館での“事件”のあと。

僕とはるなは、まだお互いをまともに見られていない。


「ねえねえ〜」

いちかがサンドイッチをかじりながら、にやりと笑った。

「二人とも、昨日図書館でなにしてたの?」


「なっ……!」

僕とはるなが同時に固まる。


「勉強だよ! ただの勉強!」

僕が慌てて答えると、いちかは首をかしげた。


「ふぅん……でも顔、すっごく赤いよ?」

その一言に、場の空気が一瞬でざわめいた。


「ちょ、ちょっと待って! いちか、なに言って――」

はるなが弁当箱を閉じかけたそのとき。


「だって、もう好きなんでしょ? 想太くんのこと」

――爆弾が落ちた。


「ええええええっ!?」

僕の声が屋上に響き渡る。


「ちょっ、いちかぁぁぁぁ!」

はるなが真っ赤になり、いちかの肩を揺さぶる。


「ちょ、ちょっと待て、本気で言ってるのか!?」

僕は頭を抱えた。


「いや〜、見てれば分かるでしょ?」

いちかはけろりと笑っている。


「……おいおい、マジで爆弾落としたな」

隼人が呆れたように笑い、ジュースを一口。


「統計的に、今の発言は破壊力抜群」

要がさらりとまとめて、さらに追い打ちをかけた。


「……まあ、否定しないところが答えよね」

美弥が小さく笑う。その視線ははるなに向けられていた。


「ち、ちがっ……違うんだから!」

はるなは両手を振りながら、必死に否定する。


でも、声は震えていて、説得力がまるでない。


僕は言葉を失ったまま、ただ彼女を見つめていた。

心臓がまた、いつもより早く鳴っている。


――本当に、そうなのか?

もしそうなら……僕は――。


屋上を吹き抜ける風が、答えを待つように冷たく感じられた。

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