#022 「混乱する特別教室」
翌日の特別教室。
6人は机を囲み、いつものように授業を受けようとしていた。
しかし──
「はるな様ーー!」
「想太くーん!」
「お姉様ー!」
「天使ちゃん!」
「隼人×要ーー!」
「ともり様ーー!」
窓の外から、無数の声が響いてきた。
「……これ、完全にデモだな」
隼人がため息をついた。
「授業どころじゃないんだけど」
はるなが眉をひそめる。
「騒音レベル、昨日の二倍」
要が冷静に分析した。
「ちょっと! 窓ガラス割れるんじゃない!?」
美弥が思わず声を上げた。
「想太くん、こっち向いてー!」
「はるな様、笑ってー!」
「……無理だろ」
想太はノートを閉じた。
「勉強する気、完全に失せた」
いちかは肩をすくめる。
そのとき、教室のドアがドンドン叩かれた。
「開けてー! 隼人先輩に会わせろ!」
「要くんに質問させてー!」
「いやいやいやいや!」
6人が同時にツッコんだ。
「先生、なんとかして!」
はるながAI端末を睨む。
《静粛に。授業を妨害しないでください》
AI先生の無機質な声が響いた。
……だが、誰も聞かない。
「ともり様ーーー!」
「久遠野の光ーーー!」
「……なんでともりまで巻き込まれてんだよ」
想太がぼやく。
「神様だから仕方ないんじゃない?」
隼人が肩をすくめた。
「宗教的熱狂は止まらない」
要は真顔で頷いた。
「やめてーーー!」
美弥が耳を塞いだ。
「みんな、落ち着いてー!」
いちかが窓から手を振る。
「キャーーー!天使だーーー!」
歓声がさらに大きくなった。
「逆効果ーーー!」
6人が同時に叫んだ。
新人SPが教室に飛び込んできた。
「もう無理っす! 防ぎきれません!」
「俺ら……授業受けられる日って来るのかな」
想太のぼやきに、教室は一斉にぐったりと沈んだ。




