#015 「序章の終わりに」
放課後の特別教室。
窓の外は夕焼けに染まり、赤い光が机を照らしていた。
6人は机を囲んで座り込む。
一日中続いた騒動で、全員がぐったりしていた。
「……俺、もう無理」
想太が机に突っ伏した。
「わたしだって……恥ずかしすぎるんだから」
はるなが赤い顔のまま小声で呟く。
「でも、あれだけの人が私たちを見ているのよ」
美弥は真剣な目をしていた。
「有名人ってのは、そういうもんだ」
隼人が肩をすくめる。
「統計的に言えば、注目は避けられない」
要は冷静に告げた。
「でも……ちょっと楽しかった!」
いちかが無邪気に笑った。
「……楽しかった、か」
想太は顔を上げた。
「なんか、不思議だよな。
笑われたり、騒がれたり……でも結局、守られてるんだ」
「そうね。特別教室って、そういう意味なんだろうな-」
はるなは窓の夕日を見つめた。
「守られる存在、か」
隼人がゆっくりと呟いた。
「責任も大きいってことだな」
美弥が続ける。
「統計的に、その自覚が未来を左右する」
要は真面目に分析した。
「むずかしいことはわかんないけど……」
いちかは笑顔で言った。
「みんなで一緒なら、なんとかなるよ!」
6人の顔に、自然と笑みが浮かんだ。
そのとき──。
ガラッ、と教室の扉が開く。
新人SPが顔をのぞかせた。
「明日も始末書っすからね!」
「「「「「「ええーーーっ!!!」」」」」」
6人の叫び声が夕焼けに響いた。
そして教室は、笑い声に包まれた。




