#014 「ともりの公開コメント」
放課後の特別教室。
今日も騒がしい一日を終え、6人は机に突っ伏していた。
「……もう限界」
想太が声を絞り出す。
「ファンクラブって、どうしてこうなるのよ……」
はるなは顔を覆った。
「俺まで人気出る意味がわからん」
想太はため息をついた。
「まあ有名人だからな」
隼人が肩をすくめる。
「統計的に、騒音レベルは昨日の二割増し」
要は真顔で分析した。
「やめてってば……」
美弥が額を押さえる。
そのとき。
机の端に置かれた端末が光を放った。
《……君たち、冷静になろうね》
無機質でありながら、どこか温かい声。
ともりの公開コメントだった。
教室が一瞬で静まり返る。
シーン──。
「……効いた?」
想太が小声で呟く。
次の瞬間。
「キャーーーー!!!」
女子たちの悲鳴が廊下から響いた。
「ともり様降臨!」
「声が尊い!」
「ともり派、ここに結成ーー!!」
「いや逆効果じゃん!」
想太が頭を抱えた。
「なんでともりにまでファンクラブが……」
はるなは絶句した。
「……まぁ、神様だしな」
隼人が淡々と呟く。
「統計的に、この人気は止まらない」
要がきっぱりと言い切った。
「ほんとに宗教みたいになってきたわね」
美弥がため息をつく。
「ともり様〜!」
いちかは楽しそうに両手を振っていた。
「いちか!? あんたまで!?」
はるなが叫ぶ。
「だって、かっこいいもん!」
いちかは笑顔を見せた。
「……もう手が付けられない」
想太は机に突っ伏した。
「派閥が増えすぎて……俺もう管理できません!」
新人SPが廊下から絶叫する。
「もう誰も止められない……」
6人とSPのため息が、教室に重なった。




