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#013 「廊下の追走劇」

放課後の廊下。

6人が並んで歩き始めると、すぐにざわめきが広がった。


「待ってーーー!!」

「写真撮ってー!」

「一緒に帰ろう!」


ファンクラブの波が、一気に押し寄せてくる。


「ちょ、やばくない!?」

想太が青ざめた。


「走るしかないな」

隼人が短く言い、6人は全速力で駆け出した。


「きゃーーー!!!」

歓声と共にファンクラブも走り出す。


SP隊も慌てて追いかける。

黒いスーツの群れが廊下を疾走した。


「全力疾走してるのに……追いつけないっす!」

新人SPが絶叫する。


「馬鹿な……俺の脚が抜かれた?」

ベテランSPが顔を歪めた。


「愛の力よーーー!!!」

女子ファンが叫びながら加速する。


「体育会系って怖ぇぇぇ!」

想太が涙目で走る。


「ちょっと! 廊下でドリフトしないで!」

はるなが後ろを振り返って叫んだ。


「真剣に走ってどうするのよ……」

美弥は呆れながらも全力疾走。


「統計的に、この速度は異常だ」

要の冷静な声が響く。


「分析してる場合!?」

いちかが泣きそうな顔で走った。


カーブを曲がるたびに、悲鳴と歓声が入り混じる。

廊下はもはや運動会のトラックと化していた。


「止まってください!危険です!」

SPが叫ぶが、誰も止まらない。


「きゃーーー! 隼人先輩ーー!」

「要くん!分析してー!」

「はるな様ー!こっち向いてー!」


「無理だってば!!!」

6人は息を合わせて叫んだ。


そのとき、スピーカーから無機質な声が流れた。


『廊下は走らないでください。繰り返します──廊下は走らないでください』


AI先生の冷静なアナウンス。


「「「無理だろーーーっ!!!」」」

6人とSPとファンクラブ、全員の声が見事にハモった。


廊下中にその叫びが響き渡った。

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