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【第一章8】友よ、グラスを掲げよ、新たなる仲間に乾杯!

「席についてください新人さん。俺の隣が空いているので、そこへどうぞ。良然はその隣に、そして橙恩は早くご自分の席へ座ってください」


部屋に入ったは良いものの、どちらに座るべきか考えていると、扉に一番近いところに座っていたメガネを掛けた心配になるほど濃い隈が特徴的な男性が自分の隣の席をポンポンと叩く。


「し、失礼します」

「あぁ、敬語は不要です。どの道、俺はあなたの部署とは違う部署に所属しているので顔を合わせることはないでしょう。さぁグラスを貸してください、酒は飲めますね?」

「いえ、そこまでしていただくわけには、」

「俺の出身地方の伝統なんです、ご了承くださいね。ほら、残方様が乾杯の音頭を取りますからグラスを持って」

「蘭慶ー俺にも注いでくれよー」

「あなたは自分で注ぎなさい、いつまで新人気分で甘ったれてるんです」


空のグラスを男性に渡そうとした良然は彼の呆れたような一瞥に「ちぇ」と不貞腐れた顔で自分で酒を注ぎ始めた。

 全員が酒で満たされたグラスを持ったのを確認した中将は立ち上がり、右手でグラスを掲げた。中身の透明な液体が証明の光を反射して壁や机に光の紋様を残していく。


「皆も腹をすかせておるじゃろうから簡潔に終わらせよう。さあグラスを掲げよう!新たに加わった良き仲間との出会いに乾杯しようではないか!」


中将の乾杯の合図とともに全員がグラスを掲げて乾杯と口々に叫ぶ。その後は各々に談笑をしたり、料理を楽しんだりし始めた。時折僕に話しかけてきて納得したように頷いて帰っていく人もいたが、良然に聞いても、隣の男性に聞いても、どちらも「気にするな」としか言わず、理由は教えてくれなかった。

 ちなみに隈が酷い男性は秦蘭慶(しん らんけい)といい、報告処理を主に管理するらしい。たしかにまぁ、あんまり関わりが無さそうな部署だけれども、今までの情報がすべてその部署で管理されていると聞くと、少し興味が湧かない訳じゃない。本人曰く「目と腰を酷使する仕事」らしい。道理でそんなもうひっどい隈が…


「なぁーその肉俺にも1つくれよー」

「いつも言ってるでしょう、絶対に駄目です。いい加減諦めなさい意地汚いですよ。小母さんに頼んでおかわりをもらってきなさい」


…良然のダル絡みが彼の隈の原因もあり得る。他の隊員達が話しかけに行った時は時折微笑みすら浮かべて談笑していたのに、良然がダル絡みを始めると今にも舌打ちをしそうな…あ、今舌打ちした…大変だな蘭慶さんも…


「俺の顔に、なにか?」

「あ、いえ。大変そうだなと思いまして」


僕の視線に気がついた蘭慶は少し首をかしげた。とくに用事があった訳でもなかったので少し申し訳なく思いつつ話を逸らすと、蘭慶は僕の隣でいつの間にか酔いつぶれて机に突っ伏している良然を見て、納得したように頷いた


「あぁ…まぁ、この基地の中で唯一礼物をもっていないので、こいつもこいつなりに気を張っていたのでしょう。俺が推測するに…新しく赴任してきたあなたにガキっぽくて偉そうな、別の言い方をすれば強気な態度だったのでは?」

「よくわかりましたね」


僕が大変ですねと言った相手は蘭慶だったのだが、彼はどうやら酔いつぶれた良然のことだと思ったらしい。

 それでも僕が肯定すると彼はまるで、そうでしょうねと言わんばかりに大きく頷いてため息をついた。そして軍服のポケットからメガネ拭きを取り出し、メガネを拭き始めた。


「良然が起きたら必ず謝らせます。元はといえば彼を甘やかしてしまった俺等にも非はありますから俺が謝るべきかもしれません。すみませんでした」

「あっ、そ、そんなこと無いですよ、そんな、僕も悪いところありますし、」

「まあそう言うと思いました。むしろそう言わなければ話をぶった切るつもりでしたし」

「え」


…なんなんだこの人

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