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社会不適合者の最期

作者: ラベンダー

 「明日の23時59分に君は死ぬよ」——天からの声が聞こえた。しかし、だからといって何か特別なことをするわけでもない。いつも通りの日常を送ろう。そう思った。


 俺は朝の12時に起床する。世間ではこれを「昼の12時」と呼ぶらしいが、俺には関係ない。非常識で社会不適合者の俺は、そんな一般的な時間感覚を持ち合わせていない。目を覚ました俺は、ベッドの上でスマホをいじる。SNSだ。芸能人や一般人の投稿に目を通し、気に入らないものには遠慮なく意見をぶつける。もちろん、政治についても同じだ。俺の意見が間違っているかもしれない。だが、それでも発信することに意味がある。もしかすると、俺の考えが正しい可能性もあるのだから。


 そうしているうちに、時計の針は16時を指していた。そろそろ朝ごはんを食べよう。冷蔵庫を開けると、そこにはカップラーメンがある。それを手に取り、お湯を注ぐ。湯気が立ち昇るのをぼんやりと眺めながら、俺は思う。あれ?今日死ぬんだっけ?


 18時になった。俺はカップラーメンを食べ終わるとベッドで寝転がった。天からの声は多分夢だと思うので気にせず、寝ようと思う。


 21時になった。俺はトイレで起きてしまった。トイレを済ませるとまたベッドに戻った。しかし、そろそろ観たいアニメが始まる時間なのでリビングに移動した。俺はテレビをつけて、SNSを開く。俺はいつも、アニメを観ながら、SNSでアニメをみた感想を書く。そのアニメは21時30分から始まる。仮に今日死ぬのだとしても、このアニメを観ることが出来るのならそれも悪くない。俺は仕事もアルバイトすらしていない。ニートだ。ニートは面白いと思っていたけれど、大して面白くはなかった。そんなくだらないことを考えていると、21時30分になった。アニメが始まる。


 そのアニメは伏線がたくさんある。そういったことを考察をすることは面白い。YouTubeの考察動画を見て、「へー」と思う。


 22時なった。そのアニメは終わった。俺はあと、2時間の命だ。果たして、本当に死ぬのだろうか?正直、死んでも死ななくてもどちらでもいい。


 俺は生きる意味とか全く考えたことがない。生きていることが異常だと思っているからだ。俺の考えではきっとこの世に生まれる前の姿が本当の世界なのだと思っている。だから、今こうして生きていることは異常なのだ。この世から消えてやっと正常な状態へと戻るのだろう。それなら、早く帰ろう。


 22時から23時45分までボーッとしていた。具体的に言うとボッーと人生を振り返っていた。その間、泣いたり、笑ったりしていた。ひとりで何をしているのだろう?ずっと何をしてきたのだろう?正しい終わり方なのだろうか?わからない。


 23時50分になった。俺はどうやって死ぬのだろう?心臓麻痺だろうか?それとも、脳梗塞か?だんだん、不安になってきた。やはり、人間として生まれたからには死への恐怖がある。それは俺でも感じる。人間以外の動物でも同じか。身体が震えている。生きているのだなと実感した。もう、この世に思い残すことはない。強いてあるとすれば、今日のアニメの続きがすごく気になることだ。どうやって、終わるのだろう?来週には俺は死んでこの世にいな


 終

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