貯金箱
僕はハンマーを握りしめて”それ”に近づいた。
眠っているようだ。
僕にはまだ気づいていない。
少し息を吸って、吐いた。
まさかこんなことになるなんて。
ずっと一緒にいた。
雨の日も雪の日も。
でもそれは君には耐えられなかったのだろう。
そして今日僕の想いが君の中で飽和してしまったんだ。
ごめん、ごめんね…。
胸の中で後悔だけが積もっていく。
でもそれでも終われない。
君のいない世界を僕は一人で生きていく。
僕の中で君が行き続けてるって信じてるから。
「さようなら」
僕はハンマーを振り下ろした。
ガシャンッと大きな音を立てて机の上に硬貨が散らばった。