すれ違い1
〜ギルの書斎〜
ワンが立ち去ると同時に11名が揃って姿を見せる。
なんたる数奇な偶然。
天文学的に見てもあり得ない、ワンの神魔に阻害され、1人が欠けた登場に、滅びの燈一同の時が止まる。
一番肝心のクロノスがいなかったのだ。
ルーカル
「ギル!!お前やってくれたな?はっ?俺らの作戦なんてお見通しってわけか。くそっ。クロノスをどこにやった?」
神魔の痕跡を感じ取り確信する。
ギル、奴が飛ばしたのだ。
ギル
「あっ?んっ?いや。その、まず、えっと。。1人足りないの?」
知るわけがないのだ。
こいつらが何故ここにいるのかすら理解してないのに、意味がわからない。
ルーカル
「本当にお前って、昔から俺の事、見下して馬鹿にして、おちょくるよな?まったく、サプライズで殺しにきたのに。なんだよ、知ってたのか。ほらっ、サプライズの仕返しに成功した気持ちを聞かせろよ?」
ギル
「すーっ。あのっ、1人足りないのなら、探しに行くってのはどうかな?ほら、大切な仲間なんだろ?」
言えない。
怖くて言えなかった。
死ぬほど驚いているのだ。
11人の強者に囲まれている危機的な状況から逃げる事しか考えてなかった。
ワン、何故、お前が今ここにいないのだ。
心底、親友を恨んだ。
ルーカル
「確かに、探しに行かないといけないよな。で!!どこやった?」
神気が身体から迸り威圧する。
真っ白な気がみるみる紫色に変化していく。
ギル
「うーんっとね。内緒。」
何度も言うが知らないのだ。
満面の笑みで諦めた。
〜ハザマもどきの空間〜
ワン
「なんでお前がいるの?クロノス!!」
隠れ家に招かざる客がいたのだ。
クロノス
「ハザマ?いやっ、ハザマより大きいな。」
一緒にいた仲間が1人もいない事に驚き、そして全身が硬直する。
敵が目の前にいたのだ。
しかも、格上。
ワン
「ねぇ?どうやって来たの?ここ、誰にも言って無いし、誰でも来れる場所じゃないんだけど?」
キョロキョロ不審な動きをするクロノスを神術で拘束させる。
彼の身体から気持ち悪い気が停めどなく溢れてこの世界を侵食し始めていた。
クロノス
「エヴァン・ワン!ここどこなんだよ??気持ち悪い。ハザマより遥かに気持ち悪い。ウゲェ。。俺が知りたいんだよ?馬鹿。ウゲェ。。」
吐き気が止まらない。
神魔に汚染された身体から力が抜き取られていく。
お互い、何故?が止まらない。
ワン
「お前、凄いな。神魔に完璧に汚染されてるじゃん。魔族辞めたの?お前、相当気持ち悪いよ?」
未知の力を体に宿すクロノスに哀れみを感じる。
今なら、理解出来るのだ。
この紫色した力の正体をワンは知っていたのだ。
何故ならワン自身もその力を持っていたからである。
「お前、凄いよ。天才だ。よく思いついたよな。」
クロノスに異質な炎を見せる。
美しいグレー色の炎がワンの右手に揺らいでいたのだ。
クロノス
「何それ?」
炎から目を逸らす事ができなかった。
意識が遠のいていく。
ワン
「お前らがいう神魔だよ。色は違うけど、これも神魔。はぁ、せっかく人がひっそりとやってたのに台無しじゃん。そんなに汚れた神魔だと、全てが無駄になっちゃった。」
グレー色の炎がみるみる小さくなっていく。
「くそっ。悔しいな。やっと、掴めそうだったのに。あぁー、寝ないで!!どうやってきたの??せめて教えてよ!!」
意識が遠のいていくクロノスを激しく揺さぶる。
返事が無かった。
〜ハザマ〜
カルタス
「ここが、奴らの隠れ家か。なんだ、ちっぽけな世界だな。」
カルタスはまだ気が付かなかった。
後ろに浮かぶ神魔の存在に。
神魔
「ねぇ?叔父さん、誰?」
不思議な感覚でいっぱいだった。
ぼやけた世界をはっきりとした視覚で捉える。




