ルシウスの雷鳴3
金の刺繍
「明日になれば、理解するよ。緊急のトップ会談でトップニュースになるからさ。何なら俺らのボスに聞いてみなよ。」
手のひらを上に向けて少し上に持ち上げて聞いてみなよと促す。
クロノス
「お前が言う事を疑ってる訳じゃないんだよ。ただ、どっから毎回ネタを仕入れているんだい?」
この組織を立ち上げた時から、恐ろしい程正確な情報を持ち込んでは、この組織を巨大な物へと変革させた人物の素性を知りたくてたまらなかった。
ユウキ
「だとしたら、特訓あるのみだな。黒は、動くときにケツだけ光る癖直すだけじゃないか。」
クロノスのお尻を指差す。
クロノス
「お前ら徹夜に付き合えよ。」
七色のローブを着なおす。
最初は綺麗に透明な姿へと変身する。
金の刺繍
「やればできるじゃん。歩いてみなよ。」
空間に目を凝らす。
ネズ
「いいんじゃないか?わざと足音立ててよ。忍び足使われたら、動いてるか判断出来ない。」
キョロキョロと視界を広くとる。
クロノス
「しゃべりかけるなよ。一個に集中しないと出来ないんよ。細かいリクエストは受付ませんから。」
急にフードを外して顔が現れる。
ネズ
「すまん、すまん。でも出来てるじゃん。」
ここにきて成長を見せる姿に感心する。
金の刺繍
「腐っても魔王だな。一回コツ掴めば、早いじゃん。今夜である程度の所まで、習得出来そうだな。」
嬉しそうな声で褒める。
~翌朝~
ネズ
「ふぁー。。眠たい。」
大きな欠伸をする。
クロノス
「この感覚を忘れなければ、行けそうだな。ねむ。」
重たい目を擦る。
黒い瞳が淀んでいる。
金の刺繍
「洞窟の中にずっといると時間隔が狂うよな。」
疲れを少し覗かせる。
魔鬼が一人駆け足で洞窟の奥へとやってくる。
魔鬼
「速報、今日、神族と魔族のトップ会談を開くってさ。」
息を切らしながら入ってくる。
金の刺繍
「だろ?で、会場は?」
自慢げな口調でクロノスを見る。
魔鬼
「ネフタニアだそうです!」
金の刺繡
「成功だな。聖なる大陸のアルベル地方か。完璧じゃないか。」
一番大きな声で喜びを爆発させる。
白尽くめ1
「・・・」
ぼそぼそと金の刺繍に耳打ちをして急ぎ足で洞窟を飛び出す。
飛び出すとフードを脱ぎ捨てる。
素顔はエヴァン・カルタス、その人だった。
顔は青ざめている。
「やばい。マジでやばい。」
目にも止まらない速さでネフタニアがある方角へと飛び去るのだった。
もう一人の白尽くめも一緒に付いてくるのを感じたが、振り切って森を突き抜けてガール山脈を通り越すと視界が開ける。
海へとやって来たのだ。
躊躇う事無く、海の中へと飛び込む。
しばらく泳ぎ続けていると海中にサンゴ礁で囲まれた小さな洞窟を見つける。
エヴァン・ワン
「ビックリした。弟よ。合流するの明日じゃ無かったのか?」
水面から飛びだしてきた弟の姿に驚く。
ここは二人の秘密の隠れ家なのだ。
エヴァン・カルタス
「最悪の展開だわ。俺たちの上司、マジで裏切りやがった。」
手が震えていた。
ワン
「嘘だろ?あの方が裏切るなんて?」
そう、金の刺繍をつけた神族は過激派の撲滅のために潜入捜査で潜り込んでいたモグラだったのだ。
この兄弟すら素顔も名前も知らない。
神族の影を担うトップなのだ。
唯一、その正体を知っているのが、今日、会談を開く龍神族の長でもあり神族の長も務めるエヴァン・ギル、彼しか知らないのだ。