二人の乙女
カルタス
「流石!ワン!!めっちゃ、ナイス。」
電撃で足が震えて小鹿の様に震える。
ワンに向かって親指を立てるが、反応が無かった。
ワン
「・・・」
目が真っ白になっている。
普段、ルシウスの雷鳴を使う前に防壁を展開してから発動させるのだが、今回はそんな暇が無かったのでほぼ直撃を受けて意識が飛んでいたのだ。
クロノス
「くそっ。めっちゃ痺れる。」
宙に浮いていれなくなったのか、地上へと降り立つ。
チリチリと散った火花を幾つか弾いて一つだけ掴んで渋い顔をする。
聖火の精霊セレ
『まったくだれ?寝てたの起こした馬鹿は?』
聖火から真っ白な幽霊みたいに透けた女性が現れる。
聖火の精霊が雷鳴にたたき起こされて不機嫌なのか、会衆一同を睨みつける。
『あっ。なんであんたがここにいるの?』
一番見たくないものがそこにはあった。
魔火の精霊マリ
『うげっ。なによ。気持ち悪い。なんで、神気がこんなに濃いの?私の寝室、勝手に触った馬鹿は誰?』
鋭い目つきで目を何回もパチクリすると、ある女性に気がつく。
『あっ!なんであんたがここにいるの?』
一番見たくないものがそこにあった。
ルーカル
「上手くいかないなぁ。だけど、まぁいいか。ねぇ、トップのお二人さん、今日、今ここで、はっきり言うね。今回は俺たちの負けだわ。だけど、これで終わるなんて思わないでよ?正式に宣戦布告するよ。我ら滅びの燈はルシウスをあるべき姿を取り戻す事に全力を尽くすよ。それと、お前ら、精霊の皮を被った化け物、そろそろ本性見せてもいいじゃないか?」
不機嫌な顔で衣服についた汚れを払ってこの場から立ち去ろうとする。
ギル
「はっ?何帰る前提で話してるの?帰すわけないじゃん。ここで死ぬんだよ。お前は!」
神術。
『座標指定、神気、圧縮、極点、融解、結合。』
発動、原子の瞬き。
神気を纏う者に対して神気を用いた術は直接的な効果を発揮は出来ない。
だから、ギルは神術から派生する複合的な物理攻撃でトドメを刺しにいく。
ギルは人差し指をルーカルに向けて中指でトリガーをひく。
小さな極点がルーカルの前に出現する。
あらゆる光を飲み込む超重力の極地がそこにあった。
全てを飲み込む暗黒の世界へとルーカルを引き込む、引き込む筈だったのだが、打ち消される。
「えっ?」
魔火の精霊マリを見る。
魔火マリ
「全く、化け物だなんて失礼な。こんな美しい美人に向かって、あんただから許すけど、次は無いよ?あと、だめだよ。殺したら、私を元の場所に戻して貰わないと?」
ふっと蝋燭を消すような息吹でギルの神術を消し飛ばず。
マリからしたら、こいつらの争いなどに微塵も興味が無かった。
精霊にとって大切なのは、居心地の良さなのだ。
死を愛する魔神(1)
「マリ様、寝床は私が作りますので、邪魔しないで頂けますか?」
1はすぐに提案をする。
魔火マリ
「ごめんね。あんたの寝床もさ、悪くはないんだけど。。彼が作る寝床の方がいいの!とっても、とってもいいの。わかるでしょ?彼の魔はとっても素敵だもん。」
ルーカル
「っていう訳らしいので!これで失礼しますね。」
聖火セリ
「さっさと立ち去って、あんたがいると空気が淀む。あっ、でもさ!立ち去る前に、私の寝室汚した罰うけな。」
神聖精霊術。
『圧壊』
バキバキとルーカルとその一同の骨が砕ける音がする。
「いいよ。ほら、さっさと立ち去りな。」
滅びの燈、全員
「あ゛ぁ。。」
どれだけ防御に徹していても防ぐ事が出来ない、圧倒的な術前に全員が倒れ込みうめきをあげる。
魔火マリ
「ちょっとあんた。私の邪魔しないでよ。」
黒魔精霊術
『魔の祝福』
セリにやられた傷をすぐに治す。
不滅の魔神(2)
「ありがとうございます。では、大変申し訳ないのですが、このトーチにまた入って頂けますか?」
次元袋からさっき消失した物と同じ物を取り出す。
魔火マリ
「特別に許してあげる。その代わりに前よりもっといい寝所を作ってよ?」
巨大な燈がビックリする位小さくなる。
ルーカル
「では、失礼します。」
手のひらサイズになった魔火を掬い上げて、2が持つトーチへと移しかえる。
2人の乙女の馴れ初めを神族も魔族も誰も知らないのだ、この世界の初まりから存在する原初の存在なのである。
ルシウスの長い歴史の中で、聖火は神族を庇護をして魔火を憎み、魔火は魔族を愛して聖火を穢す。
皆んなが、理解している事は、聖火と魔火に対する圧倒的な恐怖なのである。




