第四話 人気マスコット
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想一と希美の楽しいデート?が始まろうとする話です。
秋ヶ原。
オタクと言われる者たちが自分を開放出来る数少ないオアシス。
勇気を振り絞り、希美を遊びに誘った想一は希美と二人で歩いていた……はずだった。
「どうして……こうなったんだ。」
想一の隣で歩く軍人ファッションの希美。
そして、その希美の格好にドン引きしつつ楽しそうに話す“光太”と“優香”の二人。
「じゃあ四人で買い物スタートだね!」
希美は嬉しそうに皆を引っ張って行く。
「何故だ……。折角の予定が台無しだ。」
あからさまにテンションが低い想一に対して光太と優香は気まずそうに希美へ付いていく。
――時は戻り1時間前。
軍人少女の希美と待ち合わせ、目的のショップへ向かう想一と希美。
「それで希美は何が欲しいんだ? アニメとか観てたっけ?」
一緒に探すにしても、目的の品が分からないと探しようがない。想一は希美に尋ねたが、予想外の画像を見せられた。
「ふふふ、それはね……こちらですっ!」
希美は眩しい笑顔で携帯の画面を見せてきた。
――その画面にはバケモノという言葉が似合ってるキャラクターが写っていた。
「希美……これは何だ? 画像間違えてるぞ。」
想一は希美のうっかり操作間違いを冷静に対処した。
全く、希美は高校生になっても、まだスマホに慣れてないのか。まぁ俺で無ければ誤解してたな。
想一は心の中で先程の画像を間違いだと思いこむ事にした。……が、希美からは衝撃の言葉が放たれる。
「え? いや間違てないよ。私はこの“阿修羅んさん“が欲しいの。ぇへへ可愛いよね。」
その画像を見ながらニヤニヤと笑う希美。
正直、その光景に想一はドン引きしていた。
「阿修羅んさん……カワイイ? これの何処が!?」
つい本音が出てしまった想一に希美が物申す。
「えー!?可愛いよ。この逞しい目、そして凛々しい顔立ち! さらにこの子は三つの顔を持ち優しく、とても泣き虫で、時には悪い人に激怒するんだよ! これは今やマスコット界の王者であり、知らない女子は居ないと言っても過言じゃない、分かった想一くん!」
とても熱く語られた。
想一は再び画像を見るが、そこには丸い体をした死んだ魚の様な目をして、眉毛が濃く脚が無い、更に腕が三本ある”バケモノ“がやはり写っていた。
「……こいつどうやって歩くんだ?」
「え、腕で地面を殴って歩くよ。」
想一の素朴な疑問に、当然と言わんばかりの顔で希美は答える。
(気持ち悪! 脚が無くて腕で地面を殴って歩くってバケモノじゃねーか!?)
想一は再び希美にドン引きする。
「いや待て希美。これは冗談何だよな? 女子の中でこれが流行る訳が無いよな?」
想一は頼むと言わんばかりに希美に質問するが、やはり希美の答えは変わらなかった。
「むぅ、まだ信じてないんだね、想一くん。クラスの女子も皆好きだよ。子供達にも人気何だから。」
子供にも人気? 泣くんじゃ無いだろうか。
想一はそうツッコミたかったが、抑える。
「そうか、因みに何のキャラ何だ?」
「この子はね、朝にやってる特撮ドラマの、戦隊ヒーロー達のリーダーだよ。」
いやいやいや、やっぱりオカシイだろ。
子供はそれで喜ぶのか? 泣いてるだろ?
「あー最後はリーダーが悪でしたってオチとか?」
想一は是が非でも認めんと引かない。
「そんな事無いよ! 最後は”阿修羅んさん“が優しく、泣きながら、相手に怒ってあげるんだよ。そんな悪さばかりをしてないで、他人に優しく、子供達に笑顔を与えなさいって。」
「いや、そんなので改心したら苦労は無いだろう。そうか、悪の親玉がリーダーに洗脳をかけて、嫌だけどリーダーと一緒に親玉を倒すってやつか。」
意地でもリーダーを悪にしたい想一。
「だから違うって。勿論、それで改心はしないけど反論する親玉に”正義のビンタ“を与えるの! 泣きながらビンタをして、何度も諭すの。 これが痛みだ。これが皆の想いだ。これが愛だ! って。」
いい奴だ……と思わせる口ぶりだが、いやイジメだろ。早く倒して楽にしてやれよ。分かるまで殴り続けるって何処の度が過ぎた正義だよ。
内心、ツッコミまくる想一だが口にしない。
「そうか、根はいい奴何だな。じゃあその可愛いか分からんがキモカワ的な奴遠探しに行くか。」
いくらツッコんでも何かしら言って来ると悟り、無理矢理話しを進める。
そう行こうとすると、目の前に汗を大量に流し、軍人スタイルでモデルガンを装備している太った男性が居た。
「キ……キミ、サバゲーとかそう言ったゲームやアニメに興味があるのかな……デュフ。
特徴的な笑いをする男性はどもりながら希美へ声をかける。
「も、もし興味あるなら一緒に回らない? ぼ、ボクが案内してあげるよ。可愛いしね。」
一緒に行動をしないかと希美へ声をかける軍人男性。
「え、あ、あの私違います。ここは戦場だと聞いたからこれで来ましたけど、サバゲー? とか興味無いです。」
突然の事で戸惑いながらも否定をして断る希美。
だが、男性はしつこく誘う。
「遠慮する事無いよ。ぼぼ、ボクは何度も来てるから、道に詳しいんだ。オススメのショップもあるし行こうよ。」
そう言って男性は希美へ手を伸ばす。
希美はそれに対して怖がり身を縮め身構える。
――だが男性の手が希美に触れる事はなかった。
「おい、アンタ。さっきから黙って聞いてれば自分勝手な事言って、希美が嫌がってるだろう。」
想一が男性の腕を掴んだのだ。
男性は驚きつつも反論する。
「な、何を言ってるんだオマエ。ボクは彼女が慣れてなさそうだから助けてあげようとしてるんだぞ。邪魔するな。」
男性は怒り、声を大きく文句を言う。
びびるな。怯むな。相手は身体が大きいから強いとは限らない。
想一は大きく深呼吸をして睨み付ける。
「何が助けてるだ。どう見ても嫌がってるだろう! それに希美は一度もアンタと一緒に行くとは言ってない。」
想一も声を大きく怒鳴ってやる。
「な、ひ、人を変態の様に言いやがって、ふざけるな。オマエは大体何だ。途中から割り込んで来て。」
初めから一緒に居たはずの想一に気付いてなかったらしい男性。
想一は呆れつつも文句を言おうとした所に、予想外の人物が現れた。
「なになに、どうしたの? 希美ちゃんがヘンタイにでもイジメられてるのかな?」
「ちょっとアンタ、私の大事な友達に何しようとしてくれてるの? 警察呼ぶわよ。」
光太と優香だった。
「な、け、警察!? ふ、ふざ、……もういい、変な不良と頭の悪そうな女のせいで萎えた。」
そう言って男性は逃げる様に去って行く。
「誰が不良だ。」
「誰が頭の悪そうな女よ。」
光太と優香は文句を言い足りない表情だったが、希美に視線を戻す。
「希美ちゃん平気? まさか変なヤツに絡まれてるなんて驚いたよ。」
「ケガとかして無いわよね? 全く。」
二人は希美の心配をしてくれる。
「う、うん。大丈夫。ありがとう光太くん、優香ちゃん。」
それを見てた想一も安堵した。
「いやー驚いたよ。まさか軍人スタイルの変わった女の子が居ると優香と話してたら、それが希美ちゃんだし、その後さっきのヤツに絡まれるしで。」
「そうね、けど想一……案外やるじゃない? 腕を掴んで怒ってる想一、格好良かったわよ。」
二人は遠くから気付いて助けてくれたらしい。
「うん、想一くん格好良かった。想一くんもありがとうね。」
希美はテレながらお礼を言う。
「なっ、別に、大した事じゃねえよ。助けるのも当然だろ。」
同じくテレて最後は小声になりながらも想一は答える。
「はぁ、お熱いですねお二人さん。」
光太がその空気に我慢出来ずに水を差す。
「な、お前らこそ、二人で何してんだよ。」
「あ、私も気になってた。光太くんと優香ちゃんは二人で何してたのかな?」
想一の言葉に便乗して希美はキラキラとした眼差しで問いかける。
「はぁ、別にそんな期待された目で見られても、違うからね? 私は光太に頼まれてPCを買うお供をしてるだけ。」
優香は溜息をつく。
「あぁ、そうだよ。最近のPCゲームって凄いんだろう? やりたいなって思ったけど、その辺良く分からないから優香に頼んだんだよ。」
光太が優香にお願いしたのか。
少し残念そうにする希美。
「あ、私達これから向かうんだけど、二人もどうかな?」
希美はナイスアイデアと目を輝かせながらも誘う。
想一は勘弁してくれと二人に目で訴える。
「うーん、俺たちは構わないけど……想一は迷惑だったりしないか?」
光太は断り辛そうに想一へ委ねる。
「そうね、私も良いけど誰かは困ったり……とか?」
優香も素直に断る事が出来ないので任せる。
「え、何で? 想一くんも別に良いでしょう? 折角集まったんだし、皆で行動しようよ。」
希美は想一の気持ちを知らずに想一へ確認をする。
「……あぁ、そうだな。折角集まったんだし、さっきのお礼もしないとな。」
これは断れない。そう悟った想一は諦めて提案を受ける。
さっきのお礼はしたいと感じいたのも事実だ。
こうして、秋ヶ原で四人での行動が始まった。
読んで頂きありがとうございます。
予想外のマスコット、トラブルに巻き込まれて光太と優香の二人に出会った想一たち。
次話も秋ヶ原の話となります。
どうぞ宜しくお願いします。




