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彼女と共に、歩み続ける  作者: 七瀬夕
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第三話 デート

第三話になります。 楽しんで頂けたら嬉しいです。


 教室。


 カッカッと黒板をチョークで叩く音が聴こえる。


 ――で、あるからして答えはこうなる。

 テストに出すからな、今日はここまで。

 数学の授業が終わり、昼休みの時間になる。


 想一達はいつもの様に集まる。


「腹減った、早く食べようぜ。」

 想一は希美が作ったお弁当を広げる。

 いつものメンバーでの昼休みを始める。


「羨ましい、羨ましい、羨ましい、羨ましい、羨ましい。」

 光太は小声でブツブツと呪文を唱えている。

「お前……キモイぞ。」

「うるせぇ、お弁当を作って貰ったお前には俺の気持ちが分かるわけねぇだろ!」

 朝の調子で光太は半泣き状態で購買パンを開ける。


「そんなんだからモテないのよ。もっと自分を磨きなさい。そして歳を重ねて気付くのよ、俺は……俺は自分を磨いてもモテないダメ男なんだぁぁ。って。」

「最悪じゃねえか! 自分磨いても結局報われないのに何でそれを勧めたんだ! てか優香、俺をそんなダメ男だと思ってたのか!?ショックだよ!」


 優香と光太が戯れ合う。


「まぁまぁ、落ち着いて、ご飯食べちゃお。」

 そしてフォローもせず、誤魔化す様に昼飯を急かす希美。

 想一も広げたお弁当を開ける。

「おぉ、すげぇ美味そう。」

 お弁当には唐揚げ、卵焼き、ウィンナー、ポテトサラダ、ご飯には海苔が敷かれている。


「あ、その……余り物だけど、召し上がれ!」

 テレながら希美は言う。

「おう、頂きます。」

 想一は直ぐに卵焼きへと箸を伸ばし口に入れる。

「美味い! 甘くて最高だ。」

 その後、唐揚げ、ご飯と食べ進める。

「手作り唐揚げも最高だし、海苔と下にあったオカカとかベストマッチングだな。」


 笑顔で感想を言う想一に、その言葉を聞いた希美は真っ赤にして舌を向きながらパクパクと小さくお弁当を食べ始める。

「照れちゃって、希美良かったわね。」

 優香も、少し嬉しそうに言って、自身のお弁当を食べ始める。


「希美、明日は土曜日だし何処か行かないか?」

 想一はチャンスと思いさりげなく誘ってみる。

「ウェ!? なな、突然何を言っとるのん!?」

 希美はパニックに陥って変な語尾を付ける。

「な、デートか? デートなのか!? くぅぅ俺もそんな(ひと)が欲しい。」

 光太が一人嘆いてるが、無視だ無視。

「ふーん、良いんじゃない? 用事も無いんでしょう?」

 優香がフォローしてくれる。


 ナイスだ優香、今度缶ジュース奢ってやる。想一は心の中で優香に感謝する。

「う、うーん。ちょっと驚いたけど、明日は大丈夫だよ。その……久しぶりだね。一緒に出かけるなんて。」

 頬遠赤くして希美からOKが出た。

 そこ表情にドキッとしながら、悟られない様に平常を保つ。

「そ、ソウダナ。」


 ヤベ、声が裏返った。


「っぷ、なに緊張してんのよ想一。ふふ、面白い。」

 それに反応して笑い出す優香。

 くそっ、馬鹿にしやがって。


 こうして明日の土曜日に希美とデートが決まった。


 ――そして当日。


 普段は平日にしかならない目覚ましが鳴り出す。

 そしてなった瞬間に直ぐに止める想一。


「やべぇ、緊張で少ししか寝れなかった。」

 目覚ましを止めた時点で、既に着替えて準備も出来ている状態だ。


 想一は下へ降りる。

 するとリビングから呼ばれる。

「想一、おはよう。早いわね。 まだ朝食は作って無いけど、どうするの?」

 母がこちらに気付く。

「あー、いや、いいや。今日は向こうで食べるよ。」

「そう、分かった。希美ちゃんと楽しんで来るのよ。」

 伝えてあるので直ぐに納得をする。


「おう、想一おはよう。気合入ってんな。勝負を決めるのも良いが、勢い余って襲うなよ〜?」

 父も起きて来る。

「なっ、んな事する訳ねぇだろ。何言ってんだ。」

 想一は動揺しながらも反論するが、父はずっとニヤけている。


「じゃあ行ってきます。」

 そう言って想一は希美と待ち合わせの秋ヶ原へと向かう。


 ――秋ヶ原。


 アニメやゲーム等の作品に関連するショップがあり、グッズも多く存在している。


 いわゆるアニメやゲーム等のオタクと言われる者たちにとっては最高の場所であり、自身の趣味も(さら)けだす事が出来る数少ない癒しの場である。


 更に共通の友人が出来る可能性があり、出来た時の喜びはとても大きい。

 語り、共に周り、共に遊ぶ。

 そう、大切な友人との出会いの場でもあるのだ。


「確かここで良いんだよな?」

 秋ヶ原に着いた想一は近くの自販機近くで待つ。

 時刻は待ち合わせの15分前だった。


「それに、しても希美がまさか秋ヶ(あきが)に行きたいなんて言うとはな。」

 昨日に昼休み、希美は「秋ヶに行きたい! 丁度、欲しいのがあったの。」と言っていた。


「秋ヶで欲しいのか……アニメはあまり観てなかったしな。」

 想一は希美の欲しい物が何なのか考えていると、想一を呼ぶ声が聴こえる。

「おーい、想一くーん。」

 呼ばれて顔を向けると、そこには女性の軍人が居た。


 ――いや、軍人の様な格好をした希美が手を振っていた。


 迷彩柄の帽子にジャケット、リュックにハーフパンツ。


 一言で言うと「ヤバイやつ」だ。


 想一は迷彩少女を見た瞬間に目を逸らし、深呼吸をする。

「スーハー、スーハー、ス〜ハ〜。」

 某洋画の漆黒の仮面や鎧を着た者の様に深呼吸を繰り返す。

「いやいやいやいや、いくらデートだと思われて無くても、これは無いだろ。迷彩セットってなんだ? お前は何をしに来たんだ!? うぅ今日一日、周りの視線に耐えながら軍人と共に行動しないと行けないのか。」


 想一は壁に向かいブツブツと呟く。


「想一くん? どうしたの、体調悪いの?」

 希美が心配そうに寄って来る。

「え? いや大丈夫、大丈夫。」


 冷静になれ。希美とせっかくのデートだ。

 格好?そんなの関係ない。デート、それが目的だ。

 距離を縮める為に、誘ったんだ。そこに服装は関係ない。


 そう必死に自分に言い聞かせ、想一の望んでいたデート? が今、始まった。


読んで頂きありがとうございます。


進展があるのか、無いのか。

今後も見守って頂けると嬉しい。

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