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【なろうラジオ大賞3】参加作品

【超短編】宮廷書記官リットと秘密のお菓子

作者: 鷹野 進


「アップルシュトゥルーデルが食べたい」


 よく晴れた昼下がり。執務机でリットが呟く。


「何ですか。その呪文は」

 主人の仕事の手が止まる気配に、トウリが眉を寄せた。


「アップルシュトゥルーデルだよ。知らんのか?」

 リットの言葉に、トウリが首を傾げる。


「知りません。見たことも、聞いたこともありません」

「簡単に言うと、林檎を生地で包んだ焼き菓子」

「アップルパイとは、違うんですか?」

「違う」

 リットの翠の目が力強く光った。


「アップルシュトゥルーデルだ」

「その呪文を言いたいだけではありませんか?」

「そんなわけあるか。急に食べたくなっただけだ」


 リットが手にしていた羽根ペンを置く。トウリが嘆く。


「ああああ、本格的に休憩する気ですね」

「宮廷で休憩とは、優雅なものだな」


 はっはっは、とリットが笑う。席を立ち、窓辺へと移動した。窓の外には青い王旗が風に翻っている。


「と、いうわけだ。トウリ」

「……その、()()()()()()()()()()を持って来いと?」

「アップルシュトゥルーデル、だ」

 無駄に発音良くリットが訂正する。


「厨房の人たちは、作れるのでしょうか?」

 不安げなトウリに、リットはあっさりと言う。


「無理だろ。遠方の国の菓子だから」

「あんた無理難題が多すぎます!」


 主人をあんた呼ばわりしておいて、はたとトウリは気づく。


「どうして、リット様は遠方の国のお菓子を知っているのですか?」

「昔食べたことのあるからさ」

「どこで?」

「うん?」


 リットが人差し指を唇に当てた。


「秘密」





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― 新着の感想 ―
[良い点] 本編未読ですが【超短編】の文字につられてこちらから♪ 憧れの宮廷書記官リットシリーズ、雰囲気を少し味わえたのかしら(*´ー`*) 微笑ましい主従関係、きっとお互いに信頼があるのですね。アッ…
[良い点] アプフェルシュトゥルーデル、私も食べたいです [一言] りんごの薄切りを半透明になるまでレンジでチンして、砂糖と香り付けのブランデーを少量足して、溶かしバターを塗った春巻きの皮でくるんでオ…
[一言] お久しぶりのリット様!ああ、この後が知りたい。無事にトウリは、それを手に入れる事ができたのだろうか?
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