3話 親愛
父の名前はアラン、母の名前はメリッサとなります。
紹介するタイミングが掴めなかったためここでの紹介となりました。
父が俺を抱え、母と並んで帰路に着く。
どうやら鑑定の儀の為、赤ちゃんは教会で産むそうだ。
これは後で知ったのだが、赤ちゃんを産むとシスターが回復魔法を使い母親の体力を回復させると言う面でも勝手がいいのだ。
回復魔法というのは光属性の魔法である。
魔法には四大元素の火、水、風、土の4つの魔法が主な属性で魔法の祝福のほとんどがこれらの属性である。そのほかに、光と闇の属性が稀に授けられ、各教会にはその光属性の祝福を得た者が1人はいる。鑑定の儀も光属性の魔法の一つだ。さらに稀に氷やら、雷やらの特殊な属性を授かるものもおり、その祝福を得た者は国で重宝される。
魔法には、最下級、下級、中級、上級、最上級とあり、祝福の度合いによって行使できる魔法の上限が変わる。この世界の魔法は大体こんなところだ。
家族3人の足取りは重く、空気も暗い。
どうやらここは、田舎の村のようで、畑があり、すれ違う人々は皆知り合いのようで子供が生まれたことを祝う為声をかけようとしていたが、空気の暗さを察して、声をかける前に踏みとどまっていた。
小さな戸建ての家に着く。父は俺をベットに寝かせる。
空気は未だ重い。
「クソッ」
父の拳が振り上げられる。
あぁ、殴られるのか…。
こんな無能な子供産まれなきゃよかったってか?
前世の記憶もあり、そんなことを考えてしまう。
俺は目を瞑る。
ガンッ!
大きな音がした。
だが、来るはずの拳は降りてこない。
目を開けてみるとそこには壁に拳を打ちつけ俯く父の姿。
流石に子供は殴れねぇってか?
再び訪れた静寂。
そして、聞こえ始めたすすり泣く声。
これは母の声だ。
母の方を見るが、長い髪に隠れ、表情は見えない。
不意に母から抱きしめられる。
なぜ?
「ごめんね…。レオナルド……。」
わからない。
誰に向けられた言葉なのか。何に対しての謝罪なのか。
続いて父がその上から覆いかぶさるように俺と母を包む。
「ごめんな。レオナルド。でも、お前のことはお父さんとお母さんが立派に育てて見せるからな。」
その言葉に一瞬頭が真っ白になり、そして理解する。
この人たちは、ろくな祝福をもらえなかったこの俺を、無能なこの俺を、育てて見せると言っているということ。
そして、母の謝罪は、壁に打ち付けられた父の拳はこんな俺を思い、そんな風に産んでしまったことへの自身へのやりようのない後悔からの言動だということ。
このとき、俺は初めて、愛を知った。
はじめて受け取るその感情に俺の心は変化する。
神を恨んで運命に抗うんじゃない。
俺を思ってくれるこの人たちのために
俺は、運命を掴み取るのだと。
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ではまた次回