公爵令嬢は、駄目の烙印をここで押す①
……よろしくお願いいたします。
お母様が、お亡くなりになった。
死因は、落馬による事故だけど、過労死だと後になって思う。
お祖父様がすまなかったと泣くのを、背中を撫でて慰めた。
この時。私は十歳になったところだ。
私が泣かなかったのは、悲しくなかったからじゃない。ぴんときてなかったのだと思う。何故なら、お母様と仕事で離れる事は日常茶飯事。ひょっこりと帰ってくるよねと思っていた。思い込もうとしていたんだ。
葬儀が終わる頃。お父様の姿が消えていた。
一足先に王都へと帰ったのだろう。
別にいいけど。一緒に馬車に乗るとか、嫌だし。
お祖父様と、伯父様(お母様のお兄様)と王都へ帰る。
お父様に遅れる事二日。帰り着けば、屋敷の中は大変な事になっていた…。
お祖父様にとってもだけど、私にとっては、嫌いが上乗せされる事ばかりだった。冷たい笑みを浮かべた伯父様を、初めて見たのは、この時だったかもしれない。
我が家は公爵家。現公爵はお祖父様。
お父様は、たった一人のお世継ぎだ。
お祖母様が、お父様を可愛がるのは…仕方の無い事なんだろう。そして、孫の私を邪険に扱う事も。
お母様のご実家は子爵家。才女と呼ばれたお母様を、お祖父様が見込んで嫁にした。災害続きで困窮しはじまった公爵領の建て直しの為。伴侶のお祖母様も、息子のお父様も、当てには出来なかったんだ。頼りなくって。
兎に角お祖母様は、身分の低い所の出のお母様を嫌ってた。私の事も嫌ってた。私が分かる程明らかに。
で、色んな事の不一致で別居してたけど、お葬式の間に舞い戻って居たんだね。お祖母様お気に入りのお父様の愛人と、二ヶ月違いの妹を連れて。
お父様の愛人さん。ご実家は、ちょっと羽振りのいい伯爵家。お祖母様は、こちらの方をお嫁さんに欲しかったらしい。なので、お父様は、お祖母様公認でそちらの方と暮らしていたんだ。私がお父様に懐いて無い理由はそれ。お父様? それって役に立つの? が、私の認識だった。
それよりも、そんな事はどうでもいい。問題は、お母様がお使いだった部屋が愛人の。私の部屋は、その娘の部屋になってた。
ん。それも、対して問題じゃ無いかな?
空いた客間に詰め込まれたお母様と私の荷物。全部あれば文句なしだけど、無い物があった。宝飾品の数々。っていうか、宝飾品全部。公爵家縁の物は、別に要らない。だけど、お母様がご実家から持ってきた物とか、お母様やお祖父様や伯父様に買って貰った物とか返して。
お祖母様もお父様も愛人も、オマケの娘も知らばっくれたが、私達の持ち物にはちゃんと目録があった。なので、お祖父様監修、伯父様立ち会いで全部きちっと返して貰った。売られる前で、本当に良かった。
もうお母様は居ないんだ。この騒ぎの中で理解した。理解なんてしたくなかった。
お母様からのプレゼントは、もうこれから先、増える事なんて無いんだ。そう思ったら、涙が止まらなかった。私は、お母様が亡くなってから初めて泣いた。
お母様を思って泣く私は、楽しく暮らしていこうとする人達の気に触ったのか、お祖母様は、顔を見せては物を投げつけたり罵倒する様になった。お父様は安定の無視。愛人は、手続きさえ出来れば嫁の立場だとでかい顔をし始め、娘は母親の真似をした。
お祖父様は、敷地内の離に私を移した。私の精神衛生上良くないと判断したのと、もう一人の孫が、歪まない様にとの判断で。
大丈夫。分かってるよ、お祖父様。あの子も、お祖父様の孫だもんね。
お母様の残したものや私の立場を守る為に、奔走してくれているの分かってるから。だから、少し休んでね。お祖父様まで居なくなるのは嫌なの。無理しないで休んでね。
私の暮らす事になった離の居間で、うたた寝してしまったお祖父様に、そっとブランケットを掛けた。
なろうさんで、書き始めて一年経ちました。
あっという間だなと思います。
書き始めたものが、まだまだ途中なのに新しいの…。
すみません。何だか、まとまった文字数の文が書けません。
気分転換のノリです。
あちこちと手を出しての状態ですが、優しい気持ちでお付き合い下さい。