吸血鬼の少女
「今日はどの依頼を受けようか」
リューたちは依頼掲示板の前にいた。
「これなんかどうかな?」
コレットが指さしたのは魔物の討伐依頼だった。
「スライム討伐、か」
スライム、某ゲームでは最弱モンスターとされていたがここだとどうなんだろうか。
(まあ、最悪逃げればいいか)
リューはスライム討伐の依頼の紙をとって受付嬢のところに行った。
「はい、スライム討伐ですね」
受付嬢がサインをする。
「では、行ってきます」
「いってらっしゃい、あ!」
慌てて受付嬢が呼び止めるが既に2人の姿はなかった。
「どうしたの?」
別の受付嬢が聞きに来た。
「先ほどの2人、スライム討伐の依頼を受けたんだけど」
少し考えこんで続ける。
「あの2人、魔法使えるのかなって」
「とう!」
ぽよん。
リューはスライムに切りかかるがリューのマグロはスライムを切り裂くことはなく、その柔らかさゆえか、ほとんど聞いている様子はない。
「リュー、どう?」
「ダメだな」
半液状のようなスライムは物理攻撃が効かないのか、全く手ごたえがない。
「参ったな、依頼キャンセルするか?」
「そうするしかないのかな」
リューは何か方法はないかと考えるが近くに使えそうなものはない。
(くそ、魔技使えるようにしとけばよかった)
魔技とはPROの魔法のようなものだ。ただ、魔法と違って詠唱などはない。
「魔技、魔法じゃなきゃ倒せないのか?」
「たぶん」
リューは首を上に上げる。
「まじか」
リューがそういった瞬間、後ろから火の玉が飛んでくる。
「え?」
火の玉はスライムに当たり、スライムが燃える。
二人は驚いて後ろを見る。
そこには傘の柄をこちらに向けているゴスロリの少女がいた。
「全く、スライム相手に魔法使いもいない、魔道具もなしで挑むなんて」
少女はそういうと連続で火の玉を出してスライムを次々に燃やしていく。
スライムを一掃し終わると少女は傘を半回転させて傘をさす。
「あなたたち新人?無知にもほどがあるわよ」
「あなたは?」
少女は黙って二人を木陰に誘う。
木陰に入ったら少女は傘を閉じた。
「私はアイン。あなたたちは」
「私はコレット」
「俺はリュー、おととい冒険者になったばかりなんだ」
「リューとコレット、ああ」
アインは納得したようにうなずく。
「あなたたち昨日強盗を捕まえた」
「ああ、知ってるのか」
「まあね」
アインはバックから赤い液体が入った瓶を取り出し、それを飲み干す。
「あなたもしかして吸血鬼?」
「ええ、そうよ」
(吸血鬼ということは、さっきのは血か)
リューはアインの傘を見る。
(そういえばさっき、その傘で魔法打ってたよな)
「なあ、その傘って君の武器なのか?」
「ええ。そうよ」
アインは少しいぶかしむような顔をする。
リューはアインの手をガッとつかんだ。
新キャラ登場です。
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