ネタ装備ガチ勢は町を目指す
「なあ、あと町までどのくらい」
「あと2日ぐらいかな」
ザシュ
「村が心配だし少しペース上げようか」
「……、そうだね」
ザシュ、ザシュ
「どんな町なのかな、楽しみだな」
「…………、ねえ」
「何?」
「良くこの状況でそんな話できるね」
「ああ」
リューは周りを見回す。リューとコレットは魔物に囲まれていた。鳥型、虫型、獣型色々な魔物が2人を取り囲んでいた。
「まあ、大丈夫でしょ」
「その自信はいったいどこから」
魔物同士は連携しないのか襲ってくるのは1度に1匹か2匹だ。
すでに魔物の死体が10匹ほどできている。しかしいまだに10匹以上の魔物に囲まれている。
「しゃあない、突っ込むか」
「え?」
リューは魔物に突っ込みマグロを横なぎに振る。
獣型の魔物の首が飛ぶ。すると魔物どもはリューを脅威と判断したのか全員がリューの方に押し寄せてくる。
「リュー!」
「大丈夫」
リューはマグロを振る。縦に、横に、斜めに。1振り毎に魔物の屍が出来上がっていく。
「おりゃー!」
リューはマグロで横に回転切りを行った。残りの魔物はそれに巻き込まれて血を噴出して屍と化した。
「ふう、終わった」
「………」
コレットがポカンとしたような顔でリューを見ている。
「貴方、ほんとに何者?」
「旅人」
「♫~」
「それ、歌?聞いたことない言葉だし、それに、よくそんなに早く口回るね」
「慣れかな。これは俺の故郷の歌なんだ」
リューはボーカ○イドの曲を口ずさんでいた。
「いただきます、ごちそうさまでしたもそうだし、その歌もそうだし、知らない言葉をしゃべってるところを見ると本当に外国人なんだって思う」
そう、今口ずさんでいた歌は日本語で歌っていた。
「それ、どう意味の歌なの?」
「ああ、これは」
リューは歌詞の意味を説明する。
「え?なんていうか、残酷な歌だね」
さっき歌っていたのは忌子の少年が虐げられるという歌だ。
「その少年はその後どうなったんだろうね」
「さあ、ご想像にお任せしますって感じじゃない?」
「他には?明るい歌とかない?」
「あるよ、例えば」
リューは別の歌を歌い始める。
リューは空を見ていた。そこには月のようなものがあった。
「どうしたの?月なんて眺めて」
(この世界でも月なのか)
「いや、何でもない」
月を見て思い出したのは階段から落ちる前、ベランダで見た紅い月だ。
「なあ、コレット」
「何?」
夕飯の支度をしているコレットがこちらを向く。
「最近月がおかしかったことあったか?」
「月がおかしいって?」
「例えば色が普段と違うとか」
「んー」
コレット少し考えた後思い出したのかこちらを見た。
「そう言えば、あなたを見つける前の日、月が紅かった気がする」
(なるほど)
「そんなこと聞いてどうしたの?」
「いや、少し気になっただけだ」
「そう」
そう言うとコレットは夕飯の準備に戻る。リューは火の弱まったたき火に拾った薪をつぎ足す。
(おそらく間違いはないな)
リューはこの世界に、紅い月によって導かれたと思っていいだろう。
(しかし、なぜ?)
リューは神様にあって転生させてもらったわけではない。この世界に呼ばれた理由は何なのか、それは分からない。
(冒険してれば見つかるかな)
答えの出ない疑問にそう思うことで終わりにした。
「出来たよ」
「ありがとう。毎回ごめんな」
「大丈夫だよ。私は戦えないからこれくらいはやらせて」
2人は持ってきた野菜や近くで採れた果物を夕食に食べた。
「あ、あそこ」
コレットの指を指した方向には大きな町、いや街があった。
「ようやく着いたか」
2人は街に入る列の最後尾に並んだ。
歌のイメージは6兆年です。