表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/8

プロローグ

ライル

リューさん今日は何処に行きます?

リュー

そうだな

リュー

皆、今回実装されたゲリラクエストにはもう慣れたか?

ユウカ

バッチリです。攻撃パターンも大体憶えたです。

SYUNN

そろそろいつもの、ですか?

リュー

ああ、そろそろやろうかなと

ライル

了解。準備してきます。


リューこと斉藤龍也は「Planet Research Online」通称PRO(プロ)でチームリーダーをしていた。このゲームは惑星調査隊の一員として様々な惑星を探索するゲームだ。チームとは他のゲームで言うところのギルドみたいなものだ。


ユウカ

準備できたです

ライル

こっちもできたで

リュー

よし、それじゃあ行こうか


 リューたちは4×3人のパーティを組んでクエストに向かった。今回追加されたのは火山の惑星ヴォルケールでのドラゴン討伐だ。

 12人でパーティを組んでクエストに挑むのはべつにおかしなことではない。しかし、子の12人はおかしい。何がおかしいかといわれるとその装備だ。

 全員がマグロを装備しているのである。


冷凍マグロ/大剣

凍らせてカッチカチになったマグロ。そのマグロに切れ味を追加させて武器として使えるよう加工したモノ。どうやって切れ味を追加したのか。なぜ氷が溶けないのか。なぜ冷たくないのかすべてが不明。


 完全にネタ武器。運営がネタのために追加したとしか思えない。別にレアリティが高いわけでも攻撃力が高いわけでもない。そんな装備でゲリラクエストの最上位難易度に挑むのは彼らくらいだろう。ネタ装備ガチ勢の彼らくらい。彼らのチーム「ネタでガチろう」のメンバーくらいだろう。


カタカタカタ

リュー

皆揃ったか?

ライル

こっちはおk

SYUNN

おいユウカ、それマグロじゃなくてカジキじゃねえか


カジキこと冷凍カジキは冷凍マグロの上位互換的なものでレア度が1つ高く、攻撃力も若干高い。


ユウカ

ごめん、付与能力変えようと思ったんだけど失敗して今攻撃アップ1しかついてないのです

ライル

付け替えなかったのか?

ユウカ

お金がないです

ライル

しゃーない。終わったら金集め付き合ってやる

ユウカ

ありがとうです!

リュー

まあいいか、出発しよう


龍也はテレポーターを起動する。


ナビゲーター

これより、フレボリュス・ドラゴンの座標に転送します。

いまだにフレボリュス・ドラゴンの暴走は続いています。

このままでは原生生物に甚大な被害が出てしまいます。

このままでは生態系にも問題が生じてしまいます。迅速な対処をお願いします。


3,2、1


 転送した先には巨大なドラゴンの後ろ姿があった。頭が少しだけ見えていて上下している。口の下には何かの死体が見えた。おそらく食事をしていたのだろう。

 ドラゴンがこちらに気づいたのか振り返り、咆えた。


ユウカ

やっぱあれ、グロイ

ライル

あれくらい慣れろ

ユウカ

無理

SYUNN

お前ら話してないでマグロを振れ



ライル

すまん、しくじったわ

ユウカ

回復するです

ライル

すまん、助かった


オートワード(条件によって勝手に流れるセリフ)が飛び交う中、クエストは終盤を迎えていた。BGMが変わり、相手の体力が2割を切ったことを告げる。ただ、やることは変わらない。ただマグロで殴る。ただそれだけだ。マグロを持った12人がドラゴンに向かっていき、ひたすら殴る。


SYUNN

終わったー

リュー

お疲れ

ユウカ

お疲れです

ライル

何やかんやで行けるもんだな

ユウカ

今度はサンマ縛りとかやりません?

リュー

サンマ、刀だな

リュー

面白そうだな


 チャットでの会話がひと段落すると龍也は椅子から腰を上げ、ベランダに出た。


「んー、やっぱネタ装備縛りは楽しいな」


 伸びをしてふと空を見上げると、何か違和感を感じた。違和感の正体を探すとすぐに分かった。

 月が、紅かった。


「紅い月、ねえ」


 少し不思議に思ったが、深くは考えなかった。


「まあいいや。コーヒー淹れてくるか」


 龍也はキッチンに向かうために階段を降りようとする。すると、突然足に力が入らなくなり、目の前がぐるぐる回りだす。


(これ、目眩ってやつか?)


 ここは階段だ。このままじゃまずい。そう思っても身体はいうことを聞かない。龍也は階段を落ちていく中意識を手放した。


なんか最後すごいクトゥルフぽくなった気がする。きっと気のせい。そう気のせいだ!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ