俺頭良すぎワロタ! 徹夜したら最上級魔法完璧にマスターした件について
後書きにこの回の内容をまとめました
妹とデートをした日の夜、僕は魔術の勉強をする事にした。今まで魔術はその場凌ぎで何とか使ってきたが、今後学校での生活や授業を受ける上で魔術の学習は必須である。
本棚、机からクリス君が記したであろう魔術ノートを引っ張り出す。ノートにはクリス自身の魔術パラメータ、独自の魔術式、詠唱式が詳細に書かれていた。
※魔術パラメータ‥身長、体重、血圧、体脂肪率など体の性質を数値化したものの魔法版
魔力最大貯蓄量、時間当り魔力回復量、エネルギー→魔力変換効率などの値
高度な魔術であれば魔術パラメータによって式が大きく変わるため、これらのノートに書かれた魔術式、詠唱式はクリス専用のものと考えていい。
また、術式はデバイスとなる魔道具(杖)の差異によっても変わってくることが分かった。クリスが中等部時代に記した魔術式、詠唱式は比較的簡単なものが多い。対して、高等部になると式の複雑さ、高度さが大きく跳ね上がっている。式を比較してみると、デバイスが異なっていることが分かる。恐らく高等部から使う杖の種類が変わっている。
スクールバッグから物々しい箱を取り出した。
箱の中には杖が入っていた。杖の長さは30cm程度、表面に螺旋状の跡が刻まれている。恐らくこれが高等部から用いている杖だろう。
また、机の引き出しを探すと中等部で使っていたであろう杖が見つかった。アイラが今日使っていたものと似た形状をしていて、螺旋状の跡はなく高等部の杖の形状と明らかに異なる。
式を見ると中等部の杖は平均的な魔術パラメータを基準に作成されているのに対し、高等部の杖はクリスの魔術パラメータを基準に作られていることが分かった。クリスが2つの杖で同じ魔術を使った場合、高等部の杖の方が明らかに出力、精度諸々が上回る計算になる。
また中等部と高等部ノートで明らかに異なっている点は、使う魔術の属性である。中等部のノートでは四大属性(「風」「火」「土」「水」)それぞれの魔術式が満遍なく記されているのに対し、高等部のノートには第五属性「エーテル」属性の魔術式のみが記されている。
クリスの趣味なのか、学校の方針なのかはよく分からないが、クリスの得意属性は「エーテル」であることが分かる。
ノートによると「エーテル」は主に時空間に干渉する魔術、あるいは他属性に分類されない「その他」に当たる魔術であると記されている。恐ろしいことにノートには「時を止める魔術」の魔術式が書かれていた。(消費魔力が大き過ぎるため、効果時間は0.5秒程度だったが)
ノートを読み耽っていると、いつの間にか夜が明けていた。徹夜の甲斐あって、150冊ほどあったノートの魔術式、詠唱式は全て記憶することが出来た。
しかし、さすがにこの記憶力は異常過ぎる。
もしかすると一から記憶しているのではなく元々この体が覚えていた記憶を呼び起こしている、と言うことなのだろうか。むしろそうであってほしい。
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流石のこの体でも徹夜明けはきついらしい。多少の気怠さと疲れを感じる。
そこで、「魔力を睡眠に変える魔術」を試すことにした。これは魔力を消費することで、体に睡眠と同じ回復効果をもたらす魔術である。高等部ノート一冊目の最初のページに記されていた。
もしかしたらクリス君は高等部に入ってから一度も寝てないんじゃあないか。少なくとも高等部に入り真っ先に作成した魔術がこれのようなので渇望していた魔術であるには違いない。
僕は杖を持ち、詠唱式を唱えた。
体の中の魔力らしきものが消耗される感覚を感じる。と、同時に体の疲労は回復していった。
頭の中はクリアに、体は軽くなった。そして魔術式を作成した訳では無いが勉強して、実際に成果を出せたということがとても嬉しかった。これが勝ち組の生きている世界か。
そう、感傷に浸っている間にドアから声が掛かった。
「おはようございます、クリス様。食事の用意ができました」
また、今日が始まるらしい。
僕は制服に着替え、食卓に向かった。
主人公はクリスのノートを見て魔術式、詠唱式を完全に覚え魔法をマスターする
主人公は中等部の杖と高等部の杖の2つの杖を持っている(高等部の杖の方が能力が高い)
主人公の得意魔法は時空間に干渉する「エーテル」属性の魔法
時を止める魔術がある(実用的でなく効果時間は0.5秒)
主人公は魔力を睡眠に変える魔術で、徹夜の疲労を回復した