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もう1人の

 聖騎士と共に僕たちは火山に向かった。

 山の中腹までは移動魔道具により、進むことが出来たがそれより先は徒歩となる。

 僕たちは険しい山道を歩いていく。


「ヘンリー君、そもそも火山の様子を見るってどう言うことなんだ? 今からどこに行くんだい? 」


「ああ、魔力源の調査だよ。 山頂にこの火山のコアとなっている「魔光岩」がある。「魔光岩」から魔力を吸収して、魔力を得ると共にこの火山の活動を抑制してるんだ」


 説明を聞いたと同時に、僕と同じようなことを思ったのか、リザが僕に耳打ちする。


「クリス君……これって……」


「ああ……」


 リザのいた森の「神樹」と同じだ。

 帝国は森と同じようにこの火山から魔力を吸い取り、供給しているらしい。

 また、「魔光岩」が変形して魔物になるんじゃ無いだろうな。


「ヘンリー君、その「魔光岩」って魔物に化けたりするのかな?」


「「魔光岩」が魔物? ははは、「魔光岩」はただの岩だよ。魔物な訳無いだろう」


 僕は断言する。どうせこの後「魔光岩」ってのが化けて、ドラゴンにでもなって僕たちが戦う羽目になるんだ。


 神樹が巨人に化けたときは確か、おじさんが神樹から魔道具で大量に魔力吸収をしていた。

 それが化けるトリガーだったのかはよく分からないが下手に刺激を与えない方がいいのは確かだろう。




「みんな止まれ。魔物だ」


 ヘンリーが僕たちを制止する。

 眼前には魔物の群れがこちらを向き、襲いかかろうとしている。


 溶岩のスライム、岩石のゴーレム、炎をまとったリザードなど、いかにも火山系といった魔物達だ。


 膠着状態になると、前だけでなく周囲からも魔物が現れる。完全に囲まれた状態になった。


「火山が活発化しているからか……。予想以上に多いな……」


「それじゃ、いっちょやりますか!」


 ミラは詠唱し自身の両刃剣型の魔道具を起動させた。剣持ち手の両側に氷の刃が生成される。ミラは群れの中に飛び込み、魔物達を蹂躙する。


「はっ!!!」


 ヘンリーは十字架型の魔道具を地面に突き刺す。

 地面が隆起し、鋭い溶岩石が現れ魔物達を貫いていく。


「あ…危ないですっ!!!」


 メアリーは詠唱し、魔防壁を張り僕たちに降りかかる攻撃を防ぐ。防壁に接触した魔物は防壁の圧により吹っ飛ばされる。


 さすが聖騎士だ。

 手強そうな魔物達をものともせずに倒していく。


 だが、僕たちだって負けていない。


「行きます!!」


 アイラは詠唱し、巨大な氷結魔法を放つ。

 エルフの森で僕同様杖を強化してから、アイラの魔法出力は跳ね上がった。

 元々アイラのポテンシャルは高かったのか、出力だけなら聖騎士達にも引けを取らない。


「いくよっ!」


 リザは風を纏った弓を放ち、魔物をアイラの魔法射程内に吹っ飛ばす。

 また聖騎士達が撃ち漏らした魔物を弓で貫いていく。

 リザは破壊力、出力は聖騎士達に一歩及ばないが、魔術、弓の技術が高く、戦況に対する最適な動きで味方の力を最大限に生かしている。

 総合的な貢献度で言ったらこの中でもトップクラスだ。


「レナ達に近寄らないで!!!」


 レナが死霊術を行使し魔物達を締め付け、窒息させていく。


 レナはそんなアイラ、リザと僕でやっとの事で抑え込んだほどの強力で規格外な力を持っている。死霊術という魔術を貫通し、魔力消耗なしで発動できるチート技を使いこなす少女。聖騎士団でも彼女に勝てるのは一握りしかいないんじゃないだろうか。



 魔物達はこの最強パーティによって一瞬で倒される。


「君たち、やるじゃないか」


 ヘンリーはアイラ、リザ、レナの戦いぶりを見て感心する。


「リザは私に勝負で勝った女だからな。これくらいやってもらわなきゃ困るぜ」


 ミラはあのポーカーでどんだけリザを気に入ったんだろうか。



 しかしこの面子ならどんな敵でも倒せるんじゃないだろうか。聖騎士3人とそれに匹敵するアイラ、リザ、レナそして僕。

 アレスだろうが木の巨人だろうがどんな奴が敵でも負ける気がしない。



 僕たちは魔物を倒しながら進んでいき、やがて「魔光岩」近くの帝国の拠点にたどり着く。

 しかし、そこに帝国兵は見当たらなかった。


「おかしいな、誰もいないなんて…」


 ヘンリーが不気味そうに呟く。


「嫌な予感がする…。みんな、「魔光岩」に急ぐぞ!」


 僕たちは更に山を進む。

 しばらくして赤黒く光る半透明な巨大な岩石が見える。

 おそらくこれが「魔光岩」だろう。


 そしてその前に1人の男が立っていた。

 男は僕たちに気づき、こちらを向く。


「あれ、また帝国の人達? 嫌だなぁ」


 聞き覚えのある声。

 確かレストランで聞いた、「僕」みたいな言葉を吐いていた声。


 その男は「無個性」だった。

 黒髪で、どこにでもいそうな。

 まるで、「主人公」のような。

「ある日、僕は異世界に飛ばされた」人間のような。


「いや、会ってばかりでこんな事を言ってはいけないね。まずは自己紹介からだ」


 男は笑顔で言う。


「僕は栗栖川。栗栖川 類って言います」


「よろしくね」

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