めっちゃ可愛い幼女が出てきたんだが。しかもめっちゃ良い子なんだが
アイラを抱え、僕はリザと共に死霊術師の屋敷に向かう。
「クリス君、私から言っておいて何だけどあまり良い噂を聞かないから気を付けてね」
死霊術師。そのワード自体聞くからに怪しいし、胡散臭い。
だが関係ない。僕はアイラを生き返らせるためなら、悪魔にでも魂を差し出す。
屋敷に着く。かなり立派な屋敷だ。死霊術師というのは貴族階級なのだろうか。
「すいませーん!誰かいますかー?」
リザが大声で呼びかける。
しばらくして、屋敷の扉が開いた。
そこには超絶美幼女が立っていた。髪はピンク寄りの金髪で後髪をお団子状に束ねたツインテール。
可愛らしく、可憐な容姿をしている。年は10才くらいだろうか。
「お兄ちゃんとお姉ちゃんはお客さん?」
「この家の死霊術師に頼みがあってきたんだけど」
「いいよ!中に入って!お兄ちゃん、お姉ちゃん」
僕たちは少女に連れられ、屋敷の中に入る。
「クリス君!クリス君!」
リザが興奮した様子で話しかけてくる。
「どうした?リザ」
「あの娘、超可愛いんだけど!」
……。
どうやらこのエルフは金髪美幼女がお気に召したらしい。
屋敷の中は外見に劣らず、中身も立派だった。
僕たちはリビングに連れられる。
「レナがいまお茶を用意するから待っててねお兄ちゃん、お姉ちゃん」
少女の名前は「レナ」と言うらしい。
レナはきびきびとお茶を用意する。
幼いながらしっかりした少女だ。
「召し上がれお兄ちゃん、お姉ちゃん」
高級そうな紅茶が差し出される。
僕は紅茶に手を付けず話を切り出そうとする。
「レナちゃん、この家の死霊―
「飲まないの?」
しまった。この娘が頑張って入れてくれた紅茶だ。
まずはそれを飲んでお礼を言わなきゃいけない。
自分の思いばかりが先行した軽率な行動だった。
「ありがとう、レナちゃん♪いただきます!」
「あ、ありがとうレナちゃん。いただきます」
僕は紅茶に口を付ける。
紅茶とかあまり飲まないのでこれが美味しいのか美味しくないのかよく分からない。
「おいしいよ、レナちゃん」
レナは笑顔になる。
「それでね、レナちゃん。この家の死霊術師の人に用があるんだけどその人を呼んできてくれないか? 」
「レナだよ」
「え? 」
「レナが死霊術師だよ」
嘘だろ?いや、そもそも死霊術師自体よく分からないが、それにしたって若すぎるだろう。
「お兄ちゃん、信じてない」
レナが頬を膨らませて言う。
そしてレナは僕に向けて手をかざした。
「っ!? 」
今、「何か」が僕の背に触れた。
いや、触れた感覚がした。
レナは詠唱した様子はない、つまりこれは魔術ではない「何か」だ。
「疑ってごめんレナちゃん。実は僕の妹が死んでいる、というか体が生きていて魂だけがない状態なんだ。だから、僕の妹の魂を呼び戻して欲しいんだ 」
「いいよ」
「本当か!? 」
「レナと遊んでくれたら、いいよ!」
まさかこんなにあっさり行くとは。何か魂とか視力とか代償みたいなものが必要なんじゃないかと考えていた(その覚悟だった)。
「遊ぶ遊ぶ、遊ぶよレナちゃん!」
「私も私も!」
レナはそれを聞くと、嬉しそうに何かを持ってきた。
「それは?」
「トランプとオセロだよ!」
異世界にもトランプとオセロはあるのか……。
僕は陰キャラなだけあって、この手のゲームは得意だ。しかしレナちゃん相手に本気を出す訳にはいかない。絶対機嫌を損なわないようにしなくては。
「やったー!また私の勝ちー!」
「……」
レナが涙目になっている。
このエルフ空気が読めないのか?陰キャラの僕より空気が読めないのか?
「レナ、オセロのほうが得意だもん!」
レナちゃんはオセロ盤を広げる。
「オセロでレナに勝てたら、そこのお姉ちゃん生き返らせてあげる!」
「本当か?」
オセロよりはトランプのほうが得意だったが、それでもある程度の定石は知っている。
申し訳ないがアイラのためにも勝たせてもらう。
「やったぁ!レナの勝ち~♪」
まただ。僕は肝心な時にいつも負ける。
現実世界でも異世界でも変わらなかった。
体を変えようが能力を得ようが人間の本質は変わらない。
「負け犬」という本質は変わらない
だから、僕には何も成せず、だれも救えない。
「じゃあ次は私の番だねー!」
リザがレナと対局を始める。
「私の勝ちだね!レナちゃん!」
「……ぐすっ…」
2分ほどで決着が着き、8:2くらいでエルフの女が圧勝した。
「リザ、オセロ出来たのか?」
「クリス君、私をちょいちょい馬鹿にしてない?こう見えても私村で一番強いんだよ!」
エルフの村ではオセロが流行っているらしい。
「……ぐすっ……約束だから、そこのお姉ちゃん生き返らせるね…。レナ、約束は守るから…」
レナちゃんが泣きながらアイラに向かう。
どうやらオセロに相当自身があったらしい。
レナが目をつぶり、アイラの頭に触れる。
空気が変わり、先ほど感じた「何か」が周囲に流れているのを感じる。
しばらくしてアイラは目を覚まし、体を起こした。
「…?ここは…?」
「アイラっ!!!」
僕はアイラに駆け寄り抱きしめる。
「アイラっ…アイラっ…ごめんな……。僕のせいで……」
「お兄様…、苦しいです」
僕はアイラを強く抱き、何度も何度も謝った。
「そろそろかなぁ♪」
レナが小さな声で呟く。
…?レナは何を言ってるんだ?
その時リザが横で倒れこんだ。
「すぴー」
え?なんでリザは寝てるんだ?
というか僕も眠……
僕は意識を失った。
「お兄ちゃん、お姉ちゃん。ずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずーっと、レナと一緒にいようね♪」




