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超絶美少女エルフと遭遇!この世界には美少女しかいないのか?

 意識が戻った時、体の痛みは引いていた。


「良かったぁ、目を覚ました!」


 意識を失う前目にしたエルフの少女が側に座っていた。


「君が助けてくれたのか‥‥?」


 周囲を見渡す。アイラがいなかった。


「アイラは‥‥アイラはどこだ‥‥?」


「アイラさんなら無事だよ。今水を汲みに行ってもらっている所 」


 すると丁度アイラの姿が見える。


「お兄様、目覚めたんですね!」


 アイラが駆けつける。僕はアイラを抱きしめる。


「無事でよかった‥‥!」


 アイラの表情を見る。

 またアイラを泣かせてしまった。僕が弱いばかりに、これから何度も彼女に心配をかけることになるのだろうか。

 助かった喜びよりも、自責の念が募る。


 アイラが汲んできてくれた水を飲む。

 体に染み渡り、回復していくのを感じた。


「助けてくれてありがとう、えっと‥‥」


「私は森番のリザ。よろしくねっ!」


「僕はクリス。よろしく」


 握手を交わす。

 墜落した所にこの人が居てくれて良かった。

 誰も居ない、あるいは居たのが魔物とかだったなら詰んでいたかもしれない。


「じゃあ、私の村に案内するから付いて来て!」


 エルフの村、どんな所だろうか。リザを見る限りエルフは人間に友好的なんだろうか。


 森の中を10分ほど歩き、村に到着した。


「リザ、誰だそいつは」


「空から落ちてきて、怪我をしてたから助けたんだよ。悪い人じゃないから安心して」


 リザの言うことを無視し、彼らは僕に武器を突きつける。

 左右に剣士と槍士、木の上に弓士が複数、僕を警戒する。


「そいつの格好を見る限り帝国の人間じゃあないのか? リザ、そいつから離れろ」


「みんなやめて、この人は悪い人じゃ無い!自分の身を呈して女の子を救ってたんだよ?」


 リザが僕を庇う。


「「僕」は帝国の人間じゃ無い。むしろ囚われていたんだ。逃げ出してきたんだ。さっきも奴らに追われて酷い目にあったよ」


「本当だよ」


 彼らは警戒を緩めない。


「皆、やめなさい」


 奥から老人が出てきて戦士たちを制止する。


「此奴は嘘をついていないようじゃ」


 老人に従い、彼らは武器を下ろした。


「若い者がすまなかったね。歓迎するよ。非礼を詫びよう」


「いえ、こちらこそすいません(?)。歓迎有難うございます」


 和解することができた。基本的にはエルフは人にも友好的な種族らしい。帝国という括りさえ無ければ。


「帝国と何かあったんですか?」


 ♦︎


 話によると帝国はこの森の魔力を搾取していたらしい。帝国は数年前、この森の生命力の源となる「神樹」という大樹に魔道具を取り付けた。魔道具は「神樹」の魔力を吸い上げ、それによって森全体の生命力が弱まっていった。エルフたちは魔道具を取り除こうと帝国と戦ったが帝国の武力の前に歯が立たず、死人も出たと言う。


 キリシアで不自由ない生活を可能にしていた魔力の源泉はここにあったらしい。僕はその恩恵を受けていたし、元の世界でも似たようなことは行われている。だから僕に何も言う資格は無いが、帝国がエルフを力で制圧し、死人を出しているのは気に入らない。

 

「今日はここに泊まっていって下さい」


 村長にそう言われ、施しを受けることになってしまった。村には杖、武具以外の魔道具はなく、自然に近しい生活をしていた。



 木のみ、果物、山菜、猪肉といった森の恵みを調理した食事を頂いた。申し訳なく思いつつ食事を終えると、少年に話しかけられた。


「兄ちゃん、追われてたって本当?」


「ん?本当だよ。何でだい」


「だって兄ちゃんからものすごい魔力を感じるよ!兄ちゃんなら逃げるまでもなく大抵の人は倒せるんじゃ無いかな」


 まあ、相手が相手だから‥‥


 クリスに対する劣等感が湧き上がる。僕は魔法を使いこなせていればもっと戦えたのだろうか。


「ちょっと杖を見せてよ!」


 僕は少し迷ったが、背中の杖を差し出した。


「もしかしたら兄ちゃんの杖を改良できるかも」


 少年は詠唱し、杖の解析らしきことを行う。


「すごい精巧な作りだ。多分、兄ちゃんの魔術に最適化した構造になっているけど、でも、肝心な機構が抜けてる」


「機構?」


「魔力をそのまま魔法に変換しても大した出力は得られない。一度杖の中で魔力を循環、増幅させてから魔法に変換することで実用的な出力を得られるんだ。この杖にはその機構が入ってない。これじゃあ杖としての意味がないよ」


 クリスが持っていた杖は出力を抑えられていたってことか?あの日、戦争に持ち出した杖は戦闘用というわけでなく、制御のない本来の杖って事だったのか?


「その出力ってどれくらい変わるんだ?」


「少なくとも30倍は違うんじゃ無いかな」


「30倍!?」


「この杖借りていい?」


 そう言うと少年は詠唱し僕の杖に魔法を使った。

 少年が唱えた詠唱式が具現化し、杖へと染み込んでいく。


「多分これで、「杖」になったんじゃ無いかな。試しに撃ってみてよ」


 僕は「あの」魔術を使ってみることにした。以前の杖の出力だと実用的でなかったが、この杖なら使いこなせるかもしれない。


 僕は詠唱する。

 人、物、木々、風。全てが静止し僕だけがこの世界で動くことができる。


 1、2、3、4、5


……


 魔力を使いすぎる前に解除する。



「あれ、兄ちゃん魔法撃たないの?」


 どうやら僕は縛りプレイをしていたみたいだ。

 僕はクリスの本領の1%も発揮していなかったらしい。


 僕は笑う。


 これでもう逃げずに済む。


 戦うことができる。

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