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マダムバタフライ

マダムバタフライと呼ばれる由縁描ききれなかった……キャラ濃いですな。でもおねぇキャラは好き。

バターブロンドの髪に紫の瞳、少し露出の多い服にたくさんの宝飾品を身につけてフッサフッサと形容するのがしっくり来る何かの毛皮を羽織った美人な女……性???

「まさか、アタシのことも覚えてないの?」

直ぐに違和感の正体に気づいた。

女性かと思ったその容姿とは裏腹に少し低い声と独特の口調…所謂オネェな男性。

「あ、あの、、、申し訳ありません。ティターニアの記憶は何も持っておりません…恋心?と言うものが私の中には居るそうなのですがそれ以外は…」と言葉を濁すと「ごめんごめん、ちょっと懐かしくて…改めまして、アタシはオリヴィエ。海の妖精王って呼ばれてるよ。見ての通りオシャレが大好きなの」

バチっとウインクされた。


「アキナと申します。オリヴィエ様。お会いできて光栄にございます」

「もう、そんな堅っ苦しい喋り方やめてちょうだい。昔みたいに気さくに話してよ」

「おい、秋菜がビックリしてるだろうが。少し落ち着け」

カティス様の声で我にかえったオリヴィエ様に「気楽に行こうよ」と言われた。

「アキナの身に付けるものは全て、このアタシ、オリヴィエがデザインから縫製まで一貫して創るから安心なさい。とびっきり、エレガントにしてあげる」

秋菜を立ち上がらせくるりと一周回らせると頭のってっぺんからつま先までじっくり眺め

「うん!創作意欲が湧いてきたわ!カティス、アトリエに籠るわ!後で染料の花と布を届けて!」

ごきげんよう と口にするや否や青く光る魔法陣の様な文字の中に吸い込まれた

「全く、騒がしいヤツだ。秋菜?大丈夫か?」

面食らった秋菜を心配そうに見守るカティスに「驚きましたけど、とてもお綺麗な方ですね。ティターニアとも親しかった様ですね」と返すので精一杯だった。

「驚きました……伝説的なデザイナー……マダムバタフライではないですか…」

「最近は誰の依頼も受けず、弟子も取らずに何処にいるのかさえ分からなかった…」

同じく面食らったユリウスとクレーべ。

カティス様がオリヴィエ様についていくつか教えてくれた。

「ティターニアに服飾のデザインと縫製技術、絵画の技術を叩き込んだのがアイツだ」

「あんな形だが、腕は良い。ただ困った癖があってな…女の子には見境なく化粧だの着せ替えだの本人の意思に関係なくやっちまうんだ…」言葉を濁しつつ俺でも止められんとポソッと呟いた。


「そんな伝説的な方にドレスを作って頂けるなんて嬉しいです」

ニコニコと笑顔の秋菜を見て各々、思う事はあったが触れない事にした。

「では、アキナの引越しは明日の朝、日の出前に。荷物は後から運ぶ様に。貴方も手元には最小限の荷物だけで」そうクレーべに告げられた。

「殿下、私はセバスやヴィクトールと明日の経路や邸の警備について相談して参ります」

そう言って席を立った。

「心配しないでください。アキナのことは必ず守りますから」ユリウス殿下のイケメンスマイル。

「なぁ、ユリウス。提案なんだがしばらく秋菜の側で護衛についても良いか?」

「それは、願ってもないことです。カティス様と我が騎士団がアキナの側に居てくれるなら後顧の憂いは晴れます」「そうか、ありがとう。秋菜もそれで良いか?」

「もちろんです。とても心強く思います」

「人の世の事はヴィクトールや侍女たちに教えてもらえ。俺はお前に魔法の使い方を徹底的に仕込むからな」「はい、よろしくお願いします」立ち上がり頭を下げた。

それを見て満足そうに頷くと、ワイングラスを空にした。

(そういえば、カティス様ってお酒がお好きなのね…ボトルが4本も空いてる…でも全く酔ってない。妖精はお酒にも強いのかしら?)

「ん?どうした?」しげしげと眺めているアキナの視線に気づいたカティス。

「あ、いえ。カティス様はワインがお好きなのですね。このワインとっても美味しいですものね」

そう答えると気を良くしたカティスは「薔薇よりワインの方が良かったかな、次は城のセラーから山ほど出してやるからな」と更にワインを煽った。


カティスのペースに付き合って飲んでいたユリウスは、既に顔も色づき、虚ろな目をしていた。

そこは皇太子。失態はないものの辛そうなのでアキナから退席の旨を申し出た。

飲み足りないカティスは私室にお酒を運ばせると席を立った。


まだ飲むのかと半ば呆れ気味のユリウスを見送るために玄関ホールへ。


「ご気分は悪くありませんか?」

「こんな姿をお見せして…お恥ずかしい…」ふらつくユリウスを支えながら茜色が差し込む廊下を歩く。


換気のためか中庭への扉が開いていた。

ユリウスがふらりとそちらへ向かうのでアキナも引き寄せられた。

屋外に出て壁に凭れかかるユリウスはぼんやりと中庭を眺めている。

庭の中心には噴水があり、東屋と白い花を咲かせた大きな樹木、花壇にはスミレやマーガレット、チューリップにポピー、前世でも馴染みのある花がたくさん咲いていた。

何も言わないユリウスが心配になり

「ユリウス様?大丈夫ですか?ご気分が優れないようですね、誰か呼んで参ります」

と覗き込む様に声をかけた。


赤い整ったお顔に、少し潤んだ瞳のユリウス様。

「い、行かないで、、、ください……その、、、できれば少し、、、話したいのですが…」

と腕を掴まれた。

「ユリウス様の仰せのままに。ですが、立ったままなのは…よろしければベンチへ…」

と言ったものの、その場を動くのも辛そうなユリウスを見て、

「いえ、やはりココにお座りになってください」

座ってしまえば廊下からは丁度死角になる辺りにハンカチを広げその横にドレスの裾を広げて

腰を下ろしユリウスの手をそっと引く。

「ありがとう。実は少し、、、酔ったみたいで…いつもはこんな事ないのに……」

襟元を緩め、少しでも楽な姿勢になりたかったのかそのままアキナの膝に頭を乗せた。

アキナの手を取り、そっと自分の頬に当てその上に掌を重ねて心地良さそうに、眠くて仕方ない様子のユリウス。「少し、横になってくださいね。私がお側におりますので」

「いやです、アキナと、、、色々、、話したいんです、、、えっと、、ほら、、、」

そう言いかけた言葉は最後まで紡がれず、瞼を閉じた。


ユリウス殿下とも少し距離が近づき、カティス様の酒豪な一面も垣間見え新キャラも出て濃い話でした。

余談ですが、膝枕で寝るのは最高ですね、お花見時にやって貰いました。


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