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人と云うモノ

作者: 柊 アンナ

現実というものは、

つくづく呆れさせてくれるものだ。


これは ある「モノ」の話である。


過去は変えれない、が、未来は造れる。

それもまた現実。

私は 今年20歳を迎え、人生を振り返ることや

これからの人生を考える絶好の年と考えた。

今までの自分を改めて考え成人という境目に

これから先の進路なども自分次第で変わるからだ。

先程言った様に、「過去は変えれない」ということは

要するに過去の事は考えるだけ無駄だと諭す。

むしろ、今までの善し悪しが現在の自分を

造っていると考えるのが妥当である。

未来の想像と現実を並べるのは無謀でしかなく、

想像を膨らませば膨らます程、

現実とは見事なまでに裏切ってくれる。

人はそれを恐れ、それを口にしない者や

いつか叶うと信じ口にし続ける者もいる。

それは、それぞれ人によりけりである

未来を想像するのは、凄く楽しい気持ちになれる。

将来あんなことして、何歳になれば何をして、なんて

子どもの頃からよく考えられる未来想像である。

その反面、人は 「今どうするか」を考えようとはしない

そんな現在想像をこの機会に考えることが大切だ。



今の私には、色々なモノが欠けつつある。


学校での 周りの表情はいつも余裕のある面差しで

“楽しいキャンパスライフ”とでも言うのであろうか。

私が理解するには、少し困難に思える。

今まで自分が訛ってきた証であるとも言える。

授業など 右耳から左耳へ トンネルのように

筒抜けである。もちろん評価は言うまでもなく、

未来を持てないと、嘆く者が多い。

未来を「持てない」のは被害妄想で、

「持たない」のが現実である。

そんな考えは、人生での一番の甘えに過ぎない。

頭ではわかっているのだが、周りを見渡すと

自信げに蔑むようにイキイキと

毎日を送る人ばかり。

不安ばかり募りに募って自分の自信が

完全に自動消滅してしまう。

体の怠けは 心の怠けとも言えるだろうか。


それが まず一つ目の現実である。





「友達」「両親」「先生」「上司」「同僚」

言っていけば 生きてる内には様々な人と出会う

一番私的に不安を感じるのは パートナー

俗に言う「結婚」であった。

この年でも 子供が居たり 結婚したりしている人も

幾人か見受けられる。

私も先日、高校時の同級生の結婚式に参加した。

幸せそうで喜ばしいことだったのだが

少し寂しく複雑な気持ちになったのである。

同じ歳でありながらも

私とは違い「安定」と「幸せ」を持っている。

勿論、未来の道は“結婚生活”という一つの道に

絞られたに過ぎないが、私はそれを望みたい。

なぜなら、結婚して無い人は 様々な道が設けられる。

何者にでもなれる。したい事ができる。

遊びたければ遊び、現実から逃避も。


なんて真っ赤なウソである。

生活のために、ただただ学校とアルバイトを往復し

疲れを癒すために、毎日晩酌グラスを傾け

自分に合った、ストレス解消や心の置き場所を探す。

お金もなく、冷たい弁当をひとり頬張る

これを「幸せ」と呼べれば どれだけ楽だろうか。

幸せはいつも味方しない

これが 二つ目の現実である。





生きていく上で支えてくれるもの、それは

両親や彼氏、友達など皆は口々に言うだろう。

一人暮らしを始めて気づいた事だが

家に帰ると、「おかえり」と聞こえる事があった

それは父母ではなく祖母のイメージが多かった

今では独りでに「おかえり」「ただいま」を呟く始末。

祖母は、忙しい父母の代わりによく面倒を見てくれた

今でも実家に帰ると、優しい「おかえり」が聴こえる

それが、いずれかは聴こえなくなるのだろうか。

そう思うと寂しさが込み上げる

彼氏といった存在としては、

居るも居ないも、そうたいして変わりはない

愛していない訳ではないのだが

所詮、肩書きに縛られているに過ぎない。

出会い別れを繰り返し、人は人脈を広げる

それが、愛だと気づけば隣にいる。

それで十分である

「来るもの拒まず、去るもの追わず」とは

まさにこの事なのかもしれない。

友達の延長線と言った者もいたが

理屈を並べるだけでは愛す事は知れない。

いづれ今以上に年を重ねると

共に生きる者は生き、離れる者は離れるのである。

愛する者はずっとそばで居ないのは

言うまでもないことである

これが三つ目の現実。


全てフィクションと収めるには難しい

そうできれば、どれほど楽だろうか。

ぼーっとしてても明日は来るし

何をしていても歳はとって行く

抵抗は生きているかぎり皆無なのだ。

どうしようもない気持ちの中で

どれほどの器で生きていけるかが問題である。

明日があろうと来年があろうと

笑って生きていければ問題は無いはずなのだが

そう上手くいかせてくれないのが現実である。

思ってた事と違う人生もまた、面白くていい

良い様にいけばの話だが。


お金とは 人を一瞬にして変えてしまう力がある

人の欲を、全て叶えれる魔法の道具なのだ。

この世にあるものは、全て人間の欲の塊であり

人間は欲そのものでもある。

きっと、その「欲」は誰にでもあって

きっとそれは あっても邪魔なものでもあるが

なくてはならないものでもあるとも考えられる。


これらの 現実たちは、いくつもの人生を潰していく





さて

私はそれから2年の時を経て

就職し 真っ当に昼の仕事に務めた

人生平均80年もの中の たった2年でも

人は変われる のだと。思っていた。

変わったのは環境のみ。

私自身は何も変わってはいない

妬みや 疲労 憂鬱に 渦巻く22歳夏

つくづく現実を 突きつけられるものばかりだ。

平成最後の夏は…なんて。

学生だった頃が懐かしい

戻ろうとは思わないが 毎日が 楽だった。

楽しいと 楽は 漢字は同じでも

意味は正反対だと。私は思う。


夜の街に毎日のように繰り出し

浴びるほど好きな酒を飲み

大好きなネイルを好きなだけして

髪の毛の色も何だって出来た。

可愛く見せる為なら 幾らだって惜しまなかった。

全ての欲の塊が 私に取り付いて離さなかった。

それで全てが満たされていた。


どこから狂ったのだろう。


そんなことを毎日のように考える

今の私には何も無い。

友達も 彼氏も お金も 地位も

そして何より自分自身の意思も。

やりたくもない仕事に就き

毎日のようにはびこるストレスの中で

家賃の催促郵便に目を落とす。

全ては自分の肩書きと地位を保つ為

親族一落ちこぼれと言われないように。

消防隊や看護婦 薬剤師や 海外留学

それに勝てるわけがない保育士

やらなければいけない意味が

どこにも見つからなくて 不安ばかり募る

しかし 全て 甘えだと 周りは言う

欲は我慢してなんぼなんだと。

私に歳が近い子の呟きは

どれもキラキラしてて 楽しそうで

忙しくても お金が伴ってると思えば羨ましい。

週に何日かは 美味しそうなディナーの写真が上がる

仕事が終わって帰ると

それを見ながら冷凍パスタをレンジへ投げる

全ては 妬み だ。

お金があって 整形でも ブランドでも

なんだって 自慢できる。

誰しもが その人を見て振り返る

綺麗だ 可愛いと 口々に言葉が通り過ぎる

そんな存在でありたかった と言う 妬み。

現実は厳しいと言うより

運命は残酷という方が妥当なんだと。


人は なぜ それほど身勝手なんだろう

全ては ないものねだり だと。


毎日相手の都合に合わせて会いに行き

寝顔しか見れない時間の中で

1人暗い部屋で 時間を潰す。

私は次の日の仕事に備えて家へ独り足を運ぶ。

暗い道をただひたすら独り。

言葉を交わすことも無ければ 心を通わすことも無い。

なにも期待してた訳じゃない

ただ そばに居るだけでもいいなんて

そんなの綺麗事でしか無かった。

1度だって相手から会いに行くと

言われた事なんて無かった。

好きだなんて言葉にすると簡単なことで

離れたくないなんて

どこかの歌手が考えそうな 易い言葉

それを信じると後は泥沼。

2度と終わりのこない昼恋物語である。


色々なモノが 欠けつつあった 20歳

今では何も無い事をまだ知らなかった20歳

これを「幸せ」と呼べればまた 幸い。














そういう 自分(モノ) だ。


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