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転生特典は抽選の結果、ティラノサウルスになりました。

作者: くりーん

何となく短編かいたらこんな感じかなと思って、宣伝がてら書いてみました。

よろしくお願いします。

「おめでとうございます。博愛希龍(はくあきりゅう)さん、貴方はファンタジー世界01の転生者に選ばれました」




 唐突に変な所へ転移したと思ったら唐突に変なことを言われた。


 目の前には白髪の少女。


 そして回りは真っ白の目映い空間。


 ここが果たして何処なのか、ラノベ脳の俺が結論に辿り着くのは早かった。




 「転生...転生!?死んだの!?」 




 「はい。申し訳ないですが、貴方はキューピッドの喧嘩に巻き込まれ、頭に矢が刺さり死亡しました」




 待って、キューピッドの矢が刺さったら恋せずに死ぬの?


 初耳なんですけど。


 そのまま転生について質問をしようとしたところ、口を塞がれる。




 「そういうわけなので私、女神アルカンが早速転生特典を与えようと思います。博愛さんは早速この箱の中から1枚、カードを取ってみてください」




 そして、取り出されるは真っ白い立方体のくじ引き箱のような物。


 俺は今から転生できると内心ワクワクしながら、箱の中から一枚のカードを取り出す。


 すると、そのカードには何か二足歩行のトカゲのイラストが...




 「恐竜...?」




 「成る程、そう来ましたか。それはティラノサウルスですね」




 「は?」




 聖剣か、はたまた最強の鎧か、それとも現代兵器か。


 そんな定番のチート装備を想像していた俺にとって、全く予想外な発言が飛び出してきた。


 唖然としてしまい、動けなくなった俺は悪くないと思う。




 「ティラノサウルスですよ!百獣の王ならぬ、百竜の王!白亜紀に生息していて、大量絶滅までの約三百万年の間、生態系の頂点に君臨していた、史上最強、最大級の肉食恐竜です!!」




 「お、おう」




 嬉々としてティラノサウルスについて語っている女神さん。


 そんなに恐竜が好きなのだろうか。


 そんな自分が恥ずかしくなったのか、顔を少し赤くして咳払いをする女神さん。


 俺、そういうの好きだよ。




 「ま、まあそういうわけで、転生特典はティラノサウルスです。博愛さん、よい第二の人生を祈っています。それでは転移を始めます。そこから動かないでくださいね」




 女神さんがなにやら呪文を唱え始めると、俺の回りに魔方陣が現れ、元々輝いていた空間が、さらに目映く輝き始めた。


 そして、笑顔で見送ってくれる女神さん。


 願わくば、俺の人生が前よりも良いものになりますようにと。


 俺の前の人生ってそんなに言われるほど悪くは無かったのだが...












 「んーイッツファンタジー」




 目の前に広がるはのどかなレンガ造りの町並み。


 そして、町行く人には鎧を着る人も。


 俺は本当に来たんだ。


 空気を吸うだけでもそう実感させてくれている気がした。




 「さて、早速何をしようか」




 「ガウ」




 謎の鳴き声に思わず隣へ振り向く。


 そう、ティラノサウルスを忘れていた。


 見てみると、化石の姿以外では初めてのご対面。


 目の前には――――――






 「...ちっこい?」




 「グルルルル」




 唸りを上げこちらを睨んでくるティラノサウルス。


 恐らく怒ってるのだろう。


 どうやらちっこいは禁句らしい。


 だがな、ティラノよ。有り余る巨体をイメージしていた俺にとって、五メートル満たないティラノは小さいと出てしまうというものだ。




 「すまんすまん。お前がティラノで合ってるのか?」




 「ガウ」




 「そうかそうか!これからよろしくな!」 




 「ガウ!ガウ~ガウ」




 恐らく『おう!よろしくな!』と言っていることだろう。


 まあ、正直何言ってるか何てわかるはずもないので所詮フィーリングだが。




 「さてと、早速定番通りギルドにって流れなのだろうが...」




 何やら回りの目が痛い。


 モンスターテイマー的なあれが存在しないのだろうか、それとも恐竜が物珍しいのか、様々な人からの視線を感じる。


 できれば後者であって欲しい。




 「ま、気にしちゃ負けだよな!早速探しに行くか!」




 「ガウ!」




 散策がてら町並みを歩き、ギルドを探す。


 町並みはおおよそ中世ヨーロッパと言った風景だろうか、海外旅行は一度も行ったことがないが、世界史の教科書などで同じようなものを見た覚えがある。




 そして、町の人に聞き込みをした結果、無事にギルドまで辿り着く。


 中へ入ってみると、どうやら酒場と一体になっている造りらしい。大分広い印象を受ける。


 ギルドへ来るときに見た時計では恐らく午前のはずだが、早速飲んでいる人達も見受けられる。




 「よし、早速受付で登録してくるか」




 「ガウ!」




 受付には一人の受付嬢が立っているようで、早速受付へ登録をしに行く。




 「はい!では少々お待ちください!」




 実は戸籍情報とか必要なのでは?等と心配はあったが、特に問題は無く登録は出来るみたいだ。


 それだけ治安が良いということだろうか。


 そしてそのまま少し待っていると、受付嬢がカードを持ってくる。


 それに俺が名前を書き込み、登録は終了。


 至って簡単。本当にこれで良いのか少し不安になってくる。




 「そちらの地竜はテイムモンスターということでよろしいでしょうか?」




 ...地竜、モンスターという言葉を聞いて、早速機嫌が悪くなるティラノ。


 あまりすぐムスッとされると困るのだが。




 「まあ、大体そんな感じです」




 「わかりました、ではこちらの書類にサインをお願いします」




 そしてサインをしてやっと登録が終了する。


 ティラノについては何も起きなくて本当によかった。


 町中でも変な目で見られていたからてっきり町中に入れてはいけないものだと思った。




 まあ無事登録もできたので、クエスト受注をすることにする。


 どうやら掲示板から好きなクエストを選んで良いらしい。


 クエストにはにはランクが書いてあり、ランクが高い程難易度が上がる。


 まあ、今回は無難に簡単な2番目のランクの討伐クエストを選ぶことにした。


 因みに、一番簡単なランクは採取クエストしか存在しないみたいだ。




 「よし、じゃあ俺らの初陣ってことで、気合い入れて行くか!」




 「ガウ!」




 果たしてティラノはどの程度の実力なのだろうか。










 そしてとある近場の平野。


 そこらじゅうに狂暴そうな牛が歩いている。


 支給品として剣は貰ってあるのだが、流石に戦う勇気が起きない。


 やはり採取クエストにすれば良かった。




 「だがそこで戦ってこそ俺だ」




 さあ、大地へ一歩踏み出し英雄への道を切り開こうぞ!!




 「ぐふっ」




 俺が突撃を仕掛けたところ、相手も突撃してきて結果見事に吹き飛ばされる。


 そして周辺の牛が一斉に振り向く。




 「ぐっほぉぉぉ痛ぇ!!めっちゃ痛ぇ!!」




 腹の変なところに入ってひたすらに悶える。


 これが股じゃなくて本当に良かったと思う。


 もしそうだとしたら、今頃俺は牛の餌になっていたことだろう。


 違う、牛は草食だった。




 「クッ覚えてろこの牛野郎全員纏めて...あれ?」




 見渡してみると、先程までこちらに憎悪を向けていた牛達が姿を消し、周囲には俺とティラノだけになっていた。




 「...何が起きたんだ?」




 隣にはひたすらにムシャムシャと音を立てるティラノサウルス。


 そしてティラノの満足そうな顔。


 いや、まさかそんなことは...だが。




 「食べたのか?」




 「ガウ!」




 「...マジか」




 流石、生態系の頂点と言うべきであろうか。


 まだ小型とはいえ、この食欲には思わず脱帽だ。


 だがこの短時間で一体どうやってあの牛達を頬張ったのだろうか。




 「ティラノ...お前どうやって食べたんだ?」




 「ガウ?」




 何て言っているのだろうか。


 恐らく『何のこと?』とでも言いたげな雰囲気だ。




 「なんか...強いとかそういうベクトルじゃないな。チート特典なのは良いんだけどさ...せめてその力を俺にくれよ!」






 「よし...帰るか!」




 「ガウ!」




 俺が弱すぎるという事実を目の当たりにして、さっさと町に帰りたくなってしまった。


 これ、俺いらねぇなぁ...














 「はい、これが今日の報酬となります。ご苦労様でした」




 「うわーい。お金だーやったー」




 俺の前には決して大きくは無いが、そこそこ重そうな麻袋。


 まだここの金銭事情を完全には把握していないが、少なくとも3日は持つと俺の本能が言っている。


 本当は肉を持ってきて完全にクエストクリアとなるらしいので、肉を持ってこなかった俺達は少し減俸されている。


 だが、ティラノの餌代が浮くと考えれば美味しいものだ。




 「にしても良く倒せましたね。今は繁殖期に近くなってきて狂暴になっていて、慣れている人でも少し苦戦する筈なんですよ」




 「へーそうなんですか...まあでも結構弱かったですけどね。俺の力でモンスターを...て痛い痛い!」




 ティラノが頭をめちゃくちゃ齧ってきた。


 バカ野郎、んなことしたら死ぬじゃねーか。




 「すいません。全部こいつがやりました。ついでに倒した分の肉はこいつが食っちゃいました」




 「ガウ!」




 「な、成る程。道理で帰るのもかなり早くなったわけですね。確かに、竜はあの牛にとっては天敵なので、このクエストにはもってこいですね」




 俺は全く相性抜群じゃないけどな。


 戦いを挑むや、早速ボコされた。


 あいつら絶対俺のこと馬鹿にしてたと思う。




 「では、次も頑張ってくださいね!」




 「はい!次は俺がやってやりますよ!」




 笑顔でそう言ってくれる受付のお姉さん。


 多分全部ティラノの手柄になって、少しブルーになっていた俺に励ましを込めてのものなのだろう。


 まあ、俺自身もそこまで気にしているわけではない。


 今度のクエストこそ俺が活躍するつもりだ。


 剣だって全く使ったことが無かったんだ。


 今回は不甲斐ない結果に終わってしまったが、めちゃくちゃ練習して次に繋げようと思う。














 ...ティラノを置いてくれる宿って何処にあるんだろうか


 







 「ほ、本当ですか!?」


 「ええ、庭に置いておくだけなのでしたら問題は無いですよ」


 「いやー助かります」


 色々町を周り続けた結果、なんとかティラノを置いてくれる宿を見つけることが出来た。

 これでクエストでお金を稼いでいれば、当分は暮らしていけるだろう。

 異世界へ来て早速路頭に迷うのは流石に厳しいので、本当に良かった。

 

 「よーしポチ。ここで大人しく...痛い痛い!!」


 こいつのすぐ噛む癖どうにかならんかね。


 「そんじゃ、また明日な。マジで大人しくしてろよ」


 「ガウ」


 どうやら大人しくしていてくれそうだ。

 今日は初めてのことばかりだったのて疲れてしまった。

 俺も早めに休むとしよう。


 なんか成り行きでティラノと異世界で過ごすことになったが、なんとか楽しくやっていけそうだ。

 何が起きるかなんて異世界だから予想もできないが、のんびりこの生活を楽しみたいと思う。

読んでくれてありがとうございます。

良ければ本編もどうぞ。

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