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だから君王子様でしょ。

それから私は部屋に閉じ籠って療養と言う名の安息を手に入れていた。


只でさえあの小人の女のお腹に子供がいると言われた直後で疲れていたのにさらにはその弟に殴られてしまい、もういい笑い話にしかならないだろう。


だが今は、何だかんだ言い訳をつけて休ませて貰おう。


そう思い、私は被っている布団を自分の顔のところまで持ち上げて眠りについた。






はぁー。





ドスドスドス。

どすどすどす。










・・・・・・・・・眠りについたんだよ。



ドスドスドス。


・・・・・・何か聞き覚えのある足音なんだけど、。


どんどんドン。


このドラゴンが来たかのような足音。


・・・・何か私の部屋の前で足音が止まったような気がするのだけれど。


ドンドンドンッ。


うわ。最悪。本当に最悪。よりにもよって今一番会いたくない奴が来た。

・・・・・・・・・しかも、一応面会謝絶にはしてある筈なのだけれど。



ガチャ。


入ってくるよね。君。そう言う男だもの。


しかもこちらの返事なしかい?全く。


カチャっ。


カチャっ?ちょっと待って、ぇっ。


ドン。


・・・・・・・・・・うん椅子に座ったんだね。・・・・・・・今の音は何なんだろう?えっ?まさか別人?


バザッ。

・・布団をとって確認するんじゃあなかったよ。



「・・・・・・・・・・」

『・・・・・・・・・・』


・・・・・夢なら早く覚めてほしいのだけれど。


「・・・・・・・・・・」

『・・・・・・・・・・』


さぁ、もう一寝入りするとしようか。


布団を被って。


パサッ。

さぁ。お休みなさいzzz


「・・・・・・・・・・」

『・・・・・・・・・・』

「・・・・・・・・・おい。」


私はいないよ。もうあの世。。

ドスドスドス。

パサッ。


うわぁー。何となく予想はついてたけど人が寝てようと本当にお構い無しなのかい。

無言で部屋に入り病人の布団を勝手にめくるような野蛮な態度を取る奴なんて君ぐらいのものだけれど。



『ただ今営業停止中。次の営業は一世紀後だよ!』


さぁ。さっさと帰りたまえ。土に。


ぶちっ。


「てめぇ。」


・・・・・やば。


そう思うと同時に、この男は私の髪をわし掴みにして自分の方に向かせた。

因みに私はこの男に背を向けるように寝ていた為か髪がぶちぶちと抜けて頭皮が痛い。


「いっ。」


痛い。本当に痛い。こんな男を好きになる女性はどんな感じなのだよ!!ドM娘か!?。


本当に。


『痛いな。少しは女性に優しくしようとか思わないわけ?イノリ。』


「女性だぁ?てめぇ自分のことを女とでも思ってるのか?」


ほんと嫌い。誰のせいでこんな目にあってると思ってるのか。


『はぁー。君がこんなとこに来るなんてまさか南方の小競り合いについてかい?』


「ああ。」


話をふるとイノリは髪から手をのけたが、まだ頭皮が少し痛い。


『君ほどの実力者が手こずる相手なのかい?』


「敵が増えた。」


『はぁ?』


「いや、正確には元から敵だったと言うべきか。」


『・・・・・君ね。もう少し解りやすく話してほしいのだけれど。主語が無さすぎて話がわからないよ。』


「・・・・とにかくとっとと来い。」


この単細胞。相変わらず自分の事だけ考えて生きているみたいだね。


『嫌だ。』


なんなんだ。この男は全く。

本当に最悪。

どうやって回避しようか。


『私は、君と会うのは一年半ぶりだ。その私に何か言うことがあるんじゃないかい?

私は君の駒でも、部下でもないつもりなのだけれどねぇ。』


「ああ。そんなことは後でいいだろ。今は此方が優先だ。」


・・・・・私、此れでも婚約者なのだけれど。

本当に、何でこんなのの婚約者なんてやっているのだろうか。


『・・・・・・嫌。』


「・・・・・・・・。はぁー。」


『・・・・・・・・・。』


「てめぇが下らない我が儘言ってる間にも何人も死人が出ている。その中にはこの国の民や俺の部下がいる。この意味が分かるか?」


確かに、君が直々に来るなんて余程戦況が悪いのか、不足の事態になっているのかのどちらかだろう。だが、今回の件については私が出ていくほどではなかったはずなのだけれど。というか、


普通の女性なら泣いているよ。多分ね。

私はもうなれてしまったけれど。

まさか、報告を受けてないこともないだろうに。

ははは。全く君は。


『ねぇ。何で私の頬は腫れていると思う?何故私が部屋に籠っていると思う?』


きっと君にはわからないだろう。


周りに大事にされている君が。いくら言葉遣いが荒くとも民や部下を家族を大切にしている君には。


民や部下を家族を大切にしない私と違って。


私と違いすぎる君は。


『はぁ。もう疲れたんだよ。しばらく休ませて、』


一旦頭の整理をしないとおかしくなりそうだ。

今はお互いに時間をおいた方がいい。

いや、時間はおいた。おいても駄目だったんだ。

だって私は。


「ふざけんな。弟の事なら後からぶん殴って訳を聞く。それ以外に何かあるのなら終わった後に話せばいいだろ。」


弟を殴るって。


『君って本当に単純だよね。それで全部解決すると思ってるの?』


「っ。ちゃんと倍返しにするぜ。やられたら10倍返しが基本だ。」


・・・・・・何処のチンピラだよ。

こんなんが未来の国王でいいのか?この国。


『それと、好きな人がいるなら堂々と私に紹介したまえ。』


そう言って、私はベットに体を沈めた。

寝てていい訳ではないのはわかっている。

此れでも国を守るためにはどうすればいいのかなんて100も承知のうちなんだ。

自分の感情を優先させるべきではない。

わかっているさ。


ベットは柔らかくて体を癒してくれるが、心までは癒してはくれない、


『はぁー。君の部下やこの国の民は出来るだけ救うよ。』


だけど、私だって弱くなりたいんだ。私の逃げ場をなくしたのはこの国じゃあないかい?

私は、そんなには強くはないよ。










もういっそのこと全て投げ出して生きようか。

その方が・・・・・・・・。


「誰だよ。」


ポスッ。

・・・・・何故今私はイノリに押し倒されているのか。なにか不快なこと言ったのかな?いや手を出してこないということは違うのだろう。ならば何故?


『???何のことだい?』


「俺の女とか言ってる奴だよ。」


そう言う。イノリの顔は目の色が暗く淀んでおり普段の綺麗な空色の目は元の光を宿してはいなかった。


可笑しいなぁ。本当に可笑しい。何でこんなことになっているのか。


さっきまで私を戦場に連れていくことしか頭になかった筈なのに。


『そんなことより早く行くよ。一分一秒を争うんだろう?』


「・・・・ちっ。」


だから、その言葉王子様が使う言葉じゃないんだって。




これからどんどん面白くなる予定です!

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