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携帯が鳴った。僕はベットで寝がえりをうつ。オンにする。桐谷だった。
「錦糸町で爆発です。」
「成功ですか?」
「はい。」
「そうですか。依頼者へ連絡をお願いします。」
「はい。試作品2918はどうしますか?」
「失敗作ですよ?」
「はい。」
オフ。画面が消える。
依頼は成功した。TTKは政府に食い込み、さらに大きくなる。そして、“強力な指導者”を目指す。
兄さん。ジュリアスと兄さんは清潔な人だった。清潔な世界を望んだ。僕もそうだ。清潔な世界を望む。苦しいほど望む。
ベットから立ち上がり、窓を開ける。夜明けの冷たい静寂が部屋に流れ込む。
「奇跡!」
僕は叫んだ。
「奇跡! 奇跡! 奇跡!」
声は静まった繁華街に響く。うずくまっていた人が顔をあげた。もうすぐゴミを漁るカラスがやって来る時間だ。