067
いつもどおりダラダラと過ごし、次の日になった。
二日に一日しかいけない秘密基地。
神崎 美幸の家に行けない日は、家にいるのが主だ。
家業はなくサラリーマン家庭なので、涼しい部屋で携帯ゲームをやっていた。
暑い夏を過ごし、夕方を迎え、夜になった。
ご飯を食べて、風呂も入って、九時になった。
今日は、亘から電話がかかってくる。
それを待つために、僕は電話の前で待機していた。
家に帰ってきた母親が、興味本位で見てくる。
だが、恥ずかしさからか母親を締め出す。
こういう時に思う、(携帯持たせてほしいな)と。
家の都合上、僕は携帯電話を持たされていない。実際僕が携帯を持ったのは、中学入ってからだ。
そんな僕は廊下に椅子を置いて、固定電話の前で待っていた。
そして、九時を迎えた。
だけど、亘から電話がかかってこなかった。
(おそいな……まだかな)
それから三十分経過、僕は椅子に座ったまま足をバタバタさせていた。
(こないな)
僕は固定電話を見ながら、半分イライラしていた。
亘はもちろん僕の電話番号を知っている。でも、僕は亘の携帯の番号は知らない。
(どうしよう、亘は……)
僕は一瞬電話を取ろうとしたが、それをためらう。
手を飛ばして引っ込める動作が何度も続いていた。
そうこうしているうちに気が付くと……
(十一時か、流石に今日はかけてこないか)
僕は既に電話の前で二時間待っていた。
十一時になると、僕は眠気も増してきた。
そんな僕を察してか、リビングから母親が出てきたちょうどその時だった。
ピロロロッ
「鳴った」僕はすぐに反応して白い固定電話の受話器を取った。
「もしもし」声も弾む。
「ごめん」泣いている声が聞こえた。その声は亘の声だ。
「亘?」
「明日の夏祭り、行けない」
「えっ、どうして?」
「親に……言い出せなかった」
「言い出せない?」
「うん、だから……」
「そんなに怖い人なの?」
話を聞いていて、僕は単純に疑問だった。
「いや、怖いというか……なんでもない」
「ねえ、明日亘の家に行っていい?」
僕は電話口で、思わぬことを口にしていた――




